- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784864101660
感想・レビュー・書評
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洋の古今東西を問わず、様々な分野で予測がされているがその殆どは当らない、と豊富な例を挙げている。人口、食料、政治体制、経済指標、石油価格、2000年問題とテーマはその時どきで違えども、その外しっぷりはまさに圧巻であり、本当に予測は難しいというものだ。
例えば80年代後半から90年台にかけて日本礼賛の評論が世を席巻し、アメリカはあと10年もすれば日本に追い越されると言われたのだが、90年代以降の日本は失われた10年どころか20年で今やすっかり日本病に犯された形だ。
何故にしてこうも予測は外れるのか、との問いに対する明確な答えは無いものの、世の中の殆どの事象は非線形モデルなので予測の前提にある線形モデル(所謂釣鐘型対称グラフ)には当てはまらないのが一つ。そして脳科学の観点からは、人間は意味の無いところに何らかのパターンを認識してしまいそれが予測のベースとなってしまうということが挙げられている。
この当りは果たしてそうなのだろうかという疑問が無いわけではないし、余りにも単純化している嫌いはあるので読み流すわけだが、面白いのは「自信たっぷりに明確にされる予測ほど外れ易い」と云う下りだ。あることを語るに際しては当然そうした態度が説得力を持つのは良く判るし、故にマスコミ受けし大きな声を持つことになるのだが、その信頼性は逆に低下するという。
本書の唯一の教訓は即ち「自信たっぷりの大きな声の予測には気をつけろ」ということのようだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
草むらがガサガサ音を立てたら、そこには危険な動物が潜んでいるのかもしれない。人間はこのように、物事の因果関係、パターンを学習しながら、生き残ってきた。一方で、ランダムな現象に対して、あまりにも無力である。ランダムな現象を勝手に理屈付けて解釈してしまうのだという。そうした歪から、予測の間違いが生じていく。
上記は、専門家の予測が見誤られる一因だ。他にも、確証バイアス、バタフライ効果、認知的不協和や単なる確率論の話などがこの原因として挙げられる。なるほど、理解し易い話。
予測が無意味だとか、全くの無力だという話ではない。前提条件や因果関係を明確化しておく事が大事だというだけだろう。冗長だが、実証論、統計的というよりは、最初から最後まで、心理学的な内容。それはそれで面白いが。 -
・他の人より正確に将来を予測した専門家は、自分が正しいことに自信が持てない人たち。そもそも将来を予測する能力に疑念を抱く。
・読み手は非常に強いバイアスを持っている。が、読み手は自分たちのバイアスに気づいていない(トインビー現象)。
。過去の出来事は、適切なパターンに並べ上げれば、どんな証明にもなりうる。トインビー教授は、それらのパターンを、最初から彼の頭の中にあった形に体系的にまとめることに成功しただけ。 -
専門家の予想は何故間違うのか?を豊富な実例(それだけたくさんある)を基にユーモアを交え考察。原題よりキツイ題名ですが、言いえて妙です。