世界で一番詳しい ウナギの話 (飛鳥新社ポピュラーサイエンス)

著者 :
  • 飛鳥新社
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本棚登録 : 108
感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864101899

作品紹介・あらすじ

世界初!マリアナ海嶺で天然卵の採集に成功!アリストテレスから2400年、ウナギ誕生の『謎』が遂に解明される-。知的興奮を得られる上質のサイエンスアドベンチャー。

感想・レビュー・書評

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  • うなぎの研究、そしてそこからわかるうなぎ生態がわかりやすく書いてあります。
    わかりやすく書いてあるので大変読みやすい本です。

  • 文章がうまくグイグイ惹き込まれる。ウナギに限らず広く動物・生態・人間に関して新たな知見が得られた。

  •  本当のところ、多くの研究者は「何の役に立つか」を考えて研究をしているわけではありません。最初は、目の前にある不思議な現象に「あれ、なぜだろう」「どんな仕組みになっている農家な」と感じ、やがて気になって仕方なくなり、研究を始めるのです。そして、疑問が解けるまで、研究者をつき動かしているのは「知りたくてたまらない」という欲求です。(p.6)

     運動能力と方位決定能力、そして動因。この三つの条件が揃うと動物は「旅」に出ます。人間でも動因は重要で、能力が揃っているのに、やる気がないばかりに何の行動も起こせない人っがけっこういます。
     動因が働き始めるのは、場所Aから場所Bに旅立つ直前です。動物は、そのモチベーションを保ち続けて場所Bに到達する。アユの場合、水流や落水が刺激になって、遡上や飛び跳ね行動、つまり反応が起こります。(p.24)
     私はアユやウナギの会費を研究してきましたが、その根源的な問い掛けは「動物はなぜ旅をするのか」でした。動物の移動すべてに共通するのは、前の環境における「不都合」です。個体密度の上昇や餌不足、寒冷化などの不都合が生じ、動因レベルが上昇する。換言すれば、行動が始まる閾値が下がるということです。
     旧約聖書に『出エジプト記』という話があります。紀元前13世紀、モーゼに率いられたイスラエルの民がシナイ半島に脱出するのですが、その原因はエジプトのファラオによる圧政でした。4世紀にはゲルマン民族の大移動が起きます。東方の騎馬民族フン族が欧州のゲルマン民族を圧迫したため、ゲルマン民族は南下してローマ帝国領に雪崩れ込んだわけです。
     こうした現象は規模こそ小さくなりましたが、現代でも起きています。ベトナム戦争時はボートピープルが日本にまでやって来ましたし、直近では北朝鮮からの脱北者たちがいます。貧困、迫害、戦乱といった原因で、住み慣れたはずの地が不都合になると、人という動物も脱出に駆り立てられるのです。こうした歴史が「旅とは何か」を如実に物語っています。(pp.47-48)

  • 最初は少し面白かったけど、だんだん「うなぎはもういいよ。、」ってなった。つまり飽きた。うなぎに。

  • 【館長の本棚】 常吉図書館長<2017-2018>推薦

    【所在・貸出状況を見る】
    http://sistlb.sist.ac.jp/mylimedio/search/search.do?target=local&mode=comp&materialid=11201470

  • うなぎ研究者が卵を発見するはなし。やはり研究者本は面白い。日本人がうなぎを食べ尽くしてしまう前に卵が見つかってよかった。そこからわかる発生過程は完全養殖までのハードルの高さ。絶滅させる前に興味深い生態を知ることができてよかった。

  • はてな、この話どっかで・・・と思ったら、面白かった「アフリカにょろり旅」に出てくる塚本教授その人だった。
    うなぎの生態が謎、という話はなんとなく知っていたけれど、こんなに苦労して調べているとは知らなかった。卵がみつかるくだりは電車の中でおおーと声を出しそうに。
    何十年もかけてうなぎの生まれる場所を見つけた塚本教授たちもすごい(?)けど、こういう不思議で大変な生き方を何千年も続けているうなぎもすごい。こんなすごい生き物を蒲焼きにして食っちゃっていいんだろうか。食いたいけど。

  • 生き物の「旅」への興味から、魚類の回遊現象、ウナギの産卵場所の探索へと研究を進めていった著者によるウナギ研究の解説。
    一貫して、自身の好奇心からの研究態度を貫きつつ、ウナギの研究を続けてきた人間として、保全への具体策を提言している。

  • 読みやすくて、面白かったです。

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著者プロフィール

東京大学名誉教授・前日本大学教授

「2019年 『ウナギの科学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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