ゼロからトースターを作ってみた

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制作 : 村井理子 
  • 飛鳥新社 (2012年9月14日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864101943

ゼロからトースターを作ってみたの感想・レビュー・書評

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  • <所要期間9ヶ月、移動距離3060キロ、費用は1187.54ポンド(約16万円)>

    やぁ。今日はちょっとおもしろい本を紹介するよ。
    「ゼロからトースターを作ってみた(”The Toaster Project”)」。書いたのはイギリスの大学生、トーマス・トウェイツだ。卒業制作として、テーマに選んだのがこれってわけ。
    ゼロからトースターを作るってどういうことかって・・・? そりゃつまり、本当にゼロから、つまり原材料から作るってことさ!
    実に大変なことだった。えっと、そりゃまぁちょっとズルもしたんだけどね。
    トーマスはその顛末をブログにアップしていたんだって。写真もたくさん撮影していて、もちろんこの本にも載っているよ。

    トーマスはまず、一番安いトースターを買ってみたんだ。約4ポンド(約530円)。これを分解する。闘うにはまず敵を知らないとね。
    本当にバラになるまで分解したら、何と404もパーツがあった。・・・うーん、大分多いね。
    最低限必要そうなものに絞り込んで、種類別に分けてみた。
    鉄。マイカ(雲母)。プラスチック。銅。ニッケル。

    さぁ、じゃこれらを調達しに行こう!
    トーマスは大学教授や企業の担当者に問い合わせたり相談したりしながら、何とか材料をかき集めていくんだ。鉱山に旅したり、近所のゴミ捨て場から発掘もしたよ。ニッケルみたいに、ひどく環境汚染されたところに行くか、あるいは不法侵入するかしか道がなくて、ちょっとズルをしちゃったものもあったけど。
    集めた材料は成形しなくちゃならない。時には高熱を掛けることも必要だ。おかあさんの電子レンジをダメにしたり、自作の溶鉱炉と奮闘したりしながら、ようやくトースターらしきものができたんだ。
    さて、そのお披露目(トーストを焼くショー)がどうなったか、知りたい人は本を読んでみてね。

    結局のところ、トーマスがトースターを作るには、9ヶ月の期間と3060キロの移動距離と1187.54ポンド(約16万円)の費用が必要だった。
    で、結論は、といえば。
    安価に手に入るものだって実は長い間の技術の集大成であり、なかなか個人が作れるものじゃないってことだろうか。ありきたりすぎるかな・・・? でもこれって結構大事なことかもしれない。
    トーマスが言うように「世界を救うにはトースターを作ろう!」とまでは言えないけど、当たり前のように使っているものについて、ちょっと考えてみようか、と思えるよ。


    *・・・こんな感じの本です。口調が移ってしまったので、感想もこの調子で書いてみました。

    *そんなわけで読みやすい邦訳なのですが細かいことで1点。有名な天体物理学者「カール・サガン博士」というのは「カール・セーガン」でしょう(フランソワーズ・サガンじゃないんだから(^^;))。この本の読者層には「COSMOS」のカール・セーガンを知っている人は結構多いように思います

  • ご迷惑でしょうが、この本ごと著者さんを抱き締めたくなりました!なんて前向きなアホ(←最高の褒め言葉です)。「文明社会とは名ばかり、君に時計が作れるか?僕だってマッチ1本作れやしない」うろ覚えながら、星新一さんの文章が蘇ります。本格的探偵ナイトスクープネタ!?若さゆえの発想力、行動力、無謀さ。眩しくて素敵すぎ!身近にいたらハラハラものですが、こういう人大好きです♡企業への無謀なテレアポのくだりや、実際に値段が付けられ商品棚に陳列された写真は思わず吹き出しました。購入希望、子どもたちにも見せてあげたい!

  • トースターをゼロから作ろう。
    まずは鉄鉱石を取りに行って、鉄を精製しなきゃ・・・。

    なかなかパンチの効いた青年だ。頭のネジが一本取れているに違いない。最初はそう思いながら読んでいたが、最後まで読むとそうではないことがわかった。原材料からトースターを作り上げようと格闘する過程で、人間が作っている社会がどう動いていているのか、というより人間とはどんな生き物であるのかが彼の視点で浮き彫りになってくる。
    トースターのような比較的単純な機械ですら、人類の英知の歴史の結晶である工業技術の手を借りずにーつまり人の手を借りずにーゼロから組み立てることは現実的には不可能に近い。人は、本質的に孤独ではありえない。
    そして、本来作るのに多大な労力と費用を必要とするトースター(をはじめとする様々な製品)があまりに安価に入手できるためには、どこかで大切なものが犠牲になっているはずだ、ということもジワリとわかってくる。
    一つのトースターを形成する原材料から求める旅は、現在人間が営んでいる経済活動というシステムの病理へと繋がっていく。
    最後に彼が例としてあげた2つのニッケル精製工場の対比が秀逸だった。そしてそこに希望はあるのだと思う。
    彼なりの問題提起もあるので、詳しくは本書を読んでいただいた方がいい。
    しかし、最後に僕の胸に突き刺さった彼の言葉を記しておきたい。
    ”現状では実現できなそうだからって、未来もそうだと決めつけるのは無意味だ。”

  •  日本語版が刊行された3年前に、たぶんWIREDかなんかでこの本の紹介が出ていて興味を持ったけど、その後すっかり忘れてた。
     それがひょんなことから目の前に現れたもんで飛びついて読了。
     やっぱり面白い。トースターを作るために原材料から自力で手に入れるなんてことを本気で取り組む、そしてどうなるか。「マイカ」って、雲母のことなのね。
     
     翻訳もよかったと思う。英国の学生が卒業制作の過程をブログに綴った雰囲気の文体に思えた。原文ではどうだったかとか、そういうのは分からないけど。

     で、最後のギャラリーでの実演だけど、電圧の低い日本、それも100Vの東京だったら、ちょっとはパンに焼き色が付いたかもなあ、と思った次第。

  • 一見すると面白おかしいだけの内容に見えますが
    人類が発展してきた本質があぶり出されている
    マット リドレー著 繁栄 あたりと合わせて読むとよいかも

  • 2013年12月20日読了。タイトルのとおり、一人のイギリスの大学生が「ゼロからトースターを作ってみた」体験の記録。一見して「なるほどそれは面白そうだね」となるタイトルと内容だが、鉱物の専門家との会談で「そもそも『ゼロから』とはどういうことなのか?何を原材料とみなすのか?」と哲学的な問答を交わしたり、原料の生産地を調べるたびに「中国、行けない!」という結論が出てきたり、自分で決めたルールを最初の「鉄鋼の精製」からすでに破る羽目に陥ったり(「いや、ルールを広義にとらえるなら違反してはいない」と自問自答するのが面白い)と彼の取り組みは想像以上の困難な道のりをたどることになる・・・。面白いと思ったのは、彼がこの取り組みをリアルタイムでブログなどで公開していたことから援助者・情報提供者が現れたり、完成品の展示・稼動デモを行う場が用意されたりすること。10年前だったら「単なるアホ」として話題にもされなかったのかもね。鉄鉱石や石油由来の製品に囲まれた非人間的な生活を送っている我々だが、それでも世界は昔よりは少しは面白くなってはきているのかなあ。

  • これは面白い。イギリス人の男性が思い立ち、トースターを原材料から精製して作り上げるまでのドキュメント。鉄を得るために鉄鉱石を探しに鉱山に行ったり、鉄を精製するための溶鉱炉を自作したり…。普段何気なく使っているトースター一つ作るのにあれだけの苦労があるのかと。改めて現代人の産業力を思い知った。

  • 王立芸術大学の修士課程のテーマとして量産品のトースターを「ゼロから」作ってみたというレポート。
    分解してみると157のパーツ、そのパーツは複合体なのでさらに分解すると404の部品から構成されていたトースターを全て自力で作ってみようというもの。「自力」とは何か?鉄を作るためには鉄鉱石を手に入れ、プラスチックを成形するためには原油から手配するというレベルでの作戦。
    果たして結果や如何に。
    多分に著者が文系(芸術系)であったことが本書の特徴だったのだろうなぁ。
    同じプロジェクトを理系の学生が考えたら最初か途中かで「設計」というプロセスを経ていたと思う(結果は似たようなものだったかもだけれどね)

  • ポップアップトースターを原材料から作り上げたイギリス人のお話。
    市販のトースターを分解し「鉄」「マイカ」「プラスティック」「銅」「ニッケル」から成ることを知って、例えば鉄作りのタメに鉱山に出向いて鉄鉱石を採取し、そこから出来た鉄を型に流し込んで部品を作ったりしながらトースターを組み上げていく究極のDIY本。
    前半は物作りの楽しさや歴史、そして化学のことなんかをわかりやすく書かれていた。
    専門家に色々聞いてまわったり個人で作るために思考したりと頭も体も使って愛着のあるトースターを作り上げてた。
    しかし、最後は現在消費社会にたいするメッセージと変わっていくのでありました。
    確かに安けりゃいいってものでもないよな。
    俺もちょっと考えようっと。
    つーことでお薦めです^^

  • 図書館でみかけ、まずガラクタかと見紛う表紙写真に仰天。パラパラめくると、山に登ったり、精錬(らしきこと)をしたり、型を彫ったりしている写真がある。どうやらタイトル通り「ゼロから」本当に作ったらしい。
    なんだかめちゃくちゃ面白そうだ!
    ちょっと、マーク・ボイルの「ぼくはお金を使わずに生きることにした」を思い出したりして。
    ということで、さっそく借りてみた。

    まずは参考にするべき既製品を分解、作り出すべき部品を調査。素材は何か、その原材料はどうやって手に入れるのか、部品にする手順は…など独自の方法で調べ、どんどん行動に移していく。

    いろいろ失敗もし、実はちょっと「ズル」をしたり、やむを得ず予定を変更したりなど、当初の「ゼロから」というのが必ずしも思い通りではなく、あまりスマートでもない。一読者として大いに期待していた展開と結末にはなっておらず、正直なところ不満もある。また若者らしく軽いタッチの文章で、ページ数もさほどなく写真も多いため、あっという間に読み終わる。
    だが、世の中に当たり前のように存在するあらゆるものに、どれほどの人手や手間、コストや負荷がかかっているか、実際に自分ですべてやろうとすることで彼が行った問題提起は看過できないもので、非常に示唆に富んでいる。
    一番最後に、既製品のトースターの横に、その50倍以上の値段(彼がかけたコスト)をつけて手造りトースターが陳列されている写真もいい。

    『製品の「本当の」コストは隠されている。』

    彼の意欲と行動力に星5つ。

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ゼロからトースターを作ってみたの作品紹介

掘る!削る!砕く!溶かす!材料の調達から加工・組み立てまで全部自分でやっちゃいました!愛すべき若者が「手作りの限界」に挑む。

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