彼女たちはなぜ万引きがやめられないのか?

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著者 : 河村重実
制作 : 竹村道夫 
  • 飛鳥新社 (2013年4月2日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864102407

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彼女たちはなぜ万引きがやめられないのか?の感想・レビュー・書評

  • <摂食障害を併発している窃盗癖(クレプトマニア)についての手引き>

    いささか対象を特化した本である。
    取り扱われているのは、摂食障害を併発している窃盗癖の症例やその解説である。
    職業的犯罪者や非行グループなどは含まれず、窃盗・万引き全体に関する分析ではない。
    主な対象読者は上記の患者自身や家族・友人などその周囲の人々である。

    個人的には現在、身近にそういう人がいるわけではないのだが、新聞書評(http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2013060200012.html
    )を読んで、いささか胸を突かれた。
    患者自身がもがきつつ、でもどうしてもやめられないものとはどんなものなのか。

    本書で扱う病的な窃盗とは、それなりの地位がありながら、さほど高価でもないものを盗んでしまう、いわば「割に合わない」罪を犯してしまうものである。
    窃盗症と呼ばれることもあるが、本書では窃盗癖やクレプトマニアという言葉を使っている。
    窃盗癖を持つ患者の中には、摂食障害を併発している人が少なからずいる。摂食障害は嗜癖とも関連が強いと言われており、本書主題の窃盗や、またアルコールや薬物の乱用を併発する例も少なくない。

    本書の執筆者はグルメ・旅行記事のライターである。親族に窃盗癖傾向がある者がいることがわかったため、この問題に関心を持ったという。調べていくうちに、こうした症例について、一般にはさほど知識が普及しているとはいえず、患者本人や周囲の人に向けた本があってもよいのではないかと思うに至った。親族の問題について何かと相談に乗ってもらった医師に監修を依頼し、本書を上梓したということである。
    本書中の事例や患者の聞き取り等は、ほぼ、監修者の病院に関わりのある患者さんに関するものである。そういう意味では偏っていると言えなくもないが、視点がぶれなくて読みやすいとも言える。
    普段、文章を書き慣れているライターによるだけに要点はわかりやすく、そして医師の監修により医学的正確さもあり、現在この問題に困っている人には、対処法の取っ掛かりを知る上で役立つ本であるように思う。

    万引き・窃盗が難しいのは、たとえそれが病気によるものだとしても、歴とした「犯罪行為」が生じる点である。病気だからといって許されるものではない。患者が過度の自己否定に陥ることを避け、しかし犯罪はいけないという線引きをしていかなければならない。
    病識を持つことができ、治療を受けたとしても、再発率は低くはない。再度、犯罪に手を染めてしまう患者も多いという。患者も家族も医療従事者も、長い目で、焦らずあきらめず、といった姿勢が必要とされるのだろう。

    治療法の1つとして自助グループに入ることが勧められている。こうした話し合いの中で、窃盗衝動を抑えるための具体的方策も患者自身によってまとめられてきている。「買いものに行く際には財布のみ持ち、かばんは持たない」「買うべきものをリストアップし、その商品に直進し、レジに直行する」等、悲痛なまでの真剣さを感じさせる。

    職業的窃盗者や非行によるものとの峻別は必須だろうが、刑罰よりも治療が必要な人がいるのであれば、適切な対処がされることを切に願う。

  • 精神科専門医を受診した
    窃盗癖者の半分近くが、
    若年女性の
    摂食障がい者である
    という事実。

  • 私の興味は、窃盗症の前段の摂食障害のところだけみたい。

  • ○ライターの河村氏の作品。
    ○窃盗壁・窃盗症と過食等との関係を中心に、なぜ万引きを行ってしまうのか、その精神構造等を、事例を中心に紹介したもの。
    ○なかなか「万引き=病気」と簡単に捉えるのは難しいが、根本的な解決のためには、このような正しい認識と治療が必要なのだろう。

  • 病気としての窃盗癖。
    ただ罪を糾弾するだけでなく、治療の道を探ること。
    その道を知る人が多くなれば、窃盗の加害者も被害者も減るでしょう。学校関係者、青少年の福祉に関係する人たちに読んでおいてほしい本です。

  • 窃盗癖(経済的に困窮して、などの職業的窃盗や子供集団の示威行動ではなく、アディクションとしての窃盗)を扱った本。
    といっても、ここに出てくるのは、摂食障害と合併した、しかも赤城高原ホスピタルを受診した患者という限られた人たち。
    この病院と合わなくてこぼれてしまった人はたくさんいるだろうし、ここに出てこない人たちはもっとたくさんいる。
    これがすべてだと思われてしまいそうでちょっと怖い。

    著者はタイトルの「なぜやめられないのか」を知りたくて書いたのだろうけれど、まったくわかっていない気がする。
    精神科医に監修してもらって、当事者からの聞き取りを行って、文献も調べてる。
    これだけ調べて、調べたことをきちんと並べて、それでもなお遠い。

    たとえば解離という言葉の説明があるのに、「自分のことのような気がしない」と語る人の解離には気づいていないように見える。
    「やめられない」状態を説明しているのに、強迫を「意志の強さ」と受け取る。
    まっとうな人の鈍さ…なのか?

    日本では数少ない窃盗癖を拒否しない病院への取材にしても、あまりにもそこに頼りすぎている。
    治療成績にしたって、その数字が「窃盗癖の」治りにくさなのか「その病院の」限界なのかは他と比べなければわからないのに、特に考えることなく窃盗癖の問題にされている。
    日本で面倒をみてくれるのがここくらいしかないから、ここしか参考にできないというのがあるのかもしれないけれど。

    言葉や概念はこんなに調べているのに、そんなにもわからないものなのかってことが悲しい。
    ちゃんと当事者を取材して当事者の動きも書いてあるのに、どう「してあげれば」よいかが全面にでていて、当事者がどう「する」ことができるかという視点がすっぽり抜けている。
    フェミニズムを語る男性や人種差別を語る白人や障害者差別を語る健常者によく見られるような鈍さがもどかしい。

    問題自体も本の描かれ方も、「累犯障害者」を連想した。
    医療(福祉)からこぼれて刑務所の管轄にはいってしまう病人がいるという事実、病人としての対応が必要であるという、問題自体の構造がまず同じ。
    そして著者や問題との距離も似ている。

    著者は「身内」に当事者がいたから興味をもったとのこと。
    でも「親類」でいいところをわざわざ「血縁者ではないとはいえ」と断る必要はあるのか?
    この身内は「弟の嫁」という設定(プライバシーのため変更はあるのかも)だけど、小舅に病状を報告されてあまつさえ興味本位で調べられるって、ものすごく精神に悪そうな環境だな。
    ですます調の文章の中で、先生方(医師・弁護士)だけに尊敬語を使っているあたりにも、著者の意識が見える。

    赤城高原ホスピタルの取り組みにも疑問がある。
    摂食障害は、対人関係やコントロールの問題を抱える、見捨てられ不安の強い「良い子」の病気であることが多い。
    そんな病気の人を隅々まで管理したり「良い患者をしないなら見捨てる」というような誓約書を出させるのは治療環境にどうなんだろう。

    とはいえ地域への迷惑や病院への敵意(ひいては他の患者や病気自体への偏見)を引き起こしかねない事態への対処が必要なのもわかる。
    その一方で、被害側への目線が足りないとも思う。加害者側にぴったり寄り添えているわけでもないのに。
    ちょっと前にみた文章では、メンタル的にこの患者たちと紙一重の過剰適応系の人がブラックチェーンの店長として万引きに悩まされてボーナスで損失補填させられてうつを発症したという話があった。
    そういう話を思い浮かべると、加害者側がメインとはいえ、被害を軽んじているように思えてしまう。

    あまり光の当たらない問題を表に出したという意味で価値はある。
    けれど、わかってるつもりの著者はあく... 続きを読む

  • クレプトマニアについて。

    窃盗癖は、アルコール依存や薬物依存と同様、依存症であり、
    本人の努力や意志だけでは解決できない、「障害」である。

    アルコールや薬物依存に関して社会的認知は広まりつつあるが、窃盗癖に関してはまだまだで、自助グループも少ないのが実情。

    きちんとした統計に基づいているわけではないが、治療の脱落の割合に驚愕。

    2013.6.27

  • 【新刊情報】彼女たちはなぜ万引きがやめられないのか? 493.7/カ http://tinyurl.com/c32w446 職業的窃盗者や反社会的犯罪者による窃盗ではない窃盗癖を、摂食障害との関連において取り扱い、窃盗癖と摂食障害の概要からその治療法などを紹介する。 #安城

  • 2階書架 : WM176/KAW : 3410157179

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