- Amazon.co.jp ・本 (468ページ)
- / ISBN・EAN: 9784864103671
感想・レビュー・書評
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シャルル・モネの感染から死に至るまでの筆致に震え上がった。後半の制圧戦など読みどころ満載。最近、臨床試験された治療薬が効果を上げた、との報道があった。エボラ出血熱は予防可能・治療可能な存在となるのか。しかし、また変種や新種が現れ、イタチごっこになるのだろう。人が地球に寄生し続ける限り...。
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1976年に現在のコンゴ民主共和国で発見され、これまで多くの人々を死に至らしめてきたエボラ出血熱の病原体であるエボラウイルスを題材にしたノンフィクションです。
1989年のアメリカを舞台に、サルの検疫所でのエボラウイルスの発生からその封じ込めに至るまでについて、最前線で戦う獣医師や研究者の視点から書かれています。
臨場感が溢れる描写からは、じわじわと体内を蝕んでいくエボラウイルスのおぞましさ、感染の恐怖と隣り合わせの中で戦う人々の気持ちの揺れがリアルに伝わってきます。
未知のウイルスへの不安と恐怖の中で、人々が何を感じてどのように行動するのかというところは、いま私達が直面している新型コロナウイルスの流行にどこか通じるものがあるかもしれません。
ノンフィクションではありますが、小説を読んでいるような感覚で読むことができます。ぜひご一読ください。(W.M)
宮教大OPAC
https://www.lib.miyakyo-u.ac.jp/opac/volume/539075 -
1967年~1993年にかけて起きた「エボラ出血熱」の
ウイルス感染のノンフィクション。
新型コロナウイルス・パンデミックの昨今、
エボラ出血熱と新型コロナウイルスの類似点を知った。
日本では、まだアビガンは承認されていないけれど、
このインフルエンザ治療薬はエボラ出血熱に効くらしい。
エイズ、エボラ、サーズ、マーズ、新型コロナには
類似点がある。
突然変異体のウイルスは、
これからもいろいろ出てくると思う。
「地球の免疫システムはいま、自己を脅かす人類の存在に気づいて、活動をはじめたのかもしれない」という
一文が印象に残った。 -
エボラウイルスによるバイオハザードのノンフィクション。
アウトブレイクの原作?
前半は登場人物紹介、エボラなどに感染して亡くなった方々(血液が保存されて、試薬というか確認するために名前が残った人々など)
後半はエボラウイルスがアメリカのレストンで確認されてしまって、どうしたかという話。
ノンフィクションというのがまだ救われる話。
エボラレストンの人に対して致死的でないところとか、逆に映画的には面白みがないとか判断されそうなレベル。
でもだからこそこの程度で済んだ教訓になったような感じがする。 -
日本の首都・東京。その郊外にある動物施設で動物たちが次々と
謎の病気に罹患したとしたらどうだろう。
明らかに感染症。もしかしたら人間にも感染するかもしれない。
1989年、アメリカの首都ワシントンの郊外に位置するレストン。
実験用の猿を輸入する業者の管理施設に突然現れたのは、致死率
90%と言われるエボラ出血熱だった。
感染が人間に拡がればパニックは必至。施設内だけでウィルスを
制圧せよ。アメリカ陸軍と疾病予防センターが共同で行った
制圧作戦の顛末を描いたのが本書である。
2013年末のギニアから始まり、現在も西アフリカで続くエボラ
出血熱の爆発的拡大に伴って約20年前に刊行された作品の復刊。
前半は1967年に初めて確認された患者等、いくつかの感染者の
症例が詳細に綴られている。これが怖い。とことん怖い。
致死率90%、特効薬なし。感染したら確実に死に至る。エボラ
出血熱に対してはそれくらいの知識しかなかった。
生きながら、人間が崩壊して行く。ウィルスは体内のあらゆる
ところへ入り込み、増殖し、人間をウィルス爆弾に作り上げる。
そして原因不明の大量出血で死に行く感染者と接触した人々の
体を介し、人間の体を乗っ取りながら拡大して行く。とんでも
ない野郎じゃないか。
世に悲惨な死に方は数々あれど、エボラ出血熱で死ぬのは
勘弁して欲しい。自分どころか、周囲の人間も巻き込んで
しまうのだから。
尚、本書後半のレストンの制圧作戦の話では猿の間では空気
感染もあったようだ。ただ、このエボラ・レストンに関して
は人間には感染しないようだが、今後、ウィルスが変異した
ら…と思うとぞっとした。
西アフリカでのエボラ出血熱はヨーロッパやアメリカに飛び火
している。日本にも現れないとは限らない。その時、日本では
どのような封じ込め作戦が取れるのだろうか。
人間の持つ科学を超えたウィルス。以前はエイズもそうだった。
エイズもエボラも、アフリカから来た。それは人類に対する
警告なのではないかと著者は言う。
熱帯雨林の奥で静かに棲息していたはずのウィルスを、人間が
そこに入り込むことで外の世界へ広めてしまったのだろうか。
20年前の作品とは思えないほどに新鮮な驚きと恐怖を与えて
くれた秀逸なノンフィクション。だが、接続詞がわりに「で」
を多用するのに違和感があった。話し言葉なら許容範囲なんだ
けどね。 -
配置場所:摂枚普通図書
請求記号:936||P
資料ID:95150107 -
エボラがどのように発見され、広まっていったかを学べる。
どれだけエボラが危険か、過去どのように人々がエボラに立ち向かってきたのか、緊迫感漂う文章で引き込まれる内容だった。 -
読了