このミステリーがひどい!

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著者 : 小谷野敦
  • 飛鳥新社 (2015年7月30日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864104142

このミステリーがひどい!の感想・レビュー・書評

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  • まあ、ミステリーもちょこちょこ読む身ではあるんだけれど、正直な話としては、名作で通るものでも「?」と思うものが結構ある。私の感覚がファン歴が長い人の評価とずれまくっているような気もするので、あんまりそこは言わないで黙っておこう…と思っていたところに、こんな本が出たのが昨年の夏。読みそびれていたものをこのたび手に取った。

    作家・比較文学者の小谷野敦さんによる、ミステリーのメッタ斬り書評…かと思えばちょっと違った。小谷野さんは小説の中でも私小説を至高のものとお考えのかたなので、「私小説にあらずんば小説にあらず」とばかりにばしばし切り捨てていくパターンを予想していたのだが、実はそうでなく、お若いころにガチでミステリーを読みあさり、今でも心が動けば手にとって読んだ末の、作品ごとの「ひどい」認定である。「あんなもんつまんねえよ」とジャンル全体をくさすのではなく、読んでみたうえでの「まあ自分にはよさがわからなかった」という、非常に個人的・紳士的なダメ出しである。ミステリーと非ミステリー文学が交互に出てくるので、私みたいにジャンルを問わずにふらふらと読んでいるものにとっては非常にうなずける部分も多い。ねちねちした怨嗟がなく、意外なことにすがすがしさを感じる。

    小谷野さんの人生が文章の端々から立ち上がってくるし、登場人物(特に女性)の好みが「ふふふ~、文系男子!」という感じだし、さすが私小説作家の筆致で面白い。それに、「むしろモンテ・クリスト伯のように、自分自身の恨みのために戦うやつのほうが私は好きだ(p162)」や、「私はノワール化の中にも二種類あって、静かだけれど恐ろしい人間の性を描くものはよしとするが、残酷趣味に走っているものは歓迎しない(p198)」をはじめとするいくつかの観点は私のストライクゾーンど真ん中だったので、「私、小谷野作品好きなんじゃね?ちゃんと読んだことないけど」と思ってしまった。

    文中に登場する作家に関する脚注と、巻末の推理小説年表、索引が充実していて素晴らしいので、この本をミステリーファンが無視しているとすればそれは視野が狭いのだと思う(まあ既知のデータだろうが)。ジャンルのマニアに突き付ければ嫌な顔をされる部分が多いだろうけれど、そういう部分が怖くてミステリーの話ができない読書好きも結構いると思うので、私はそういう人には「それでいいのだ」とこの本を勧めたい。ネタバレ続出なので、繊細なかたはちょっとよけたほうがいいかもしれないけど。

  • ミステリ愛好家としてはかなり構えて読んだのだが、意外にもうなずけるところが多い。
    ねちねちしたところのないさっぱりとした「面白くない」の断定は、ときにユーモアも感じられ、小谷野節健在だなあとニヤリとさせられる。ここ数冊の著書の中では最高の質なんじゃないかなあ。

    にしても「俗謡に合わせて人が死ぬと何が面白いのであろうか」には吹き出してしまった。えー!面白いじゃん!むちゃくちゃ面白いじゃん!
    そこの感覚の有無が、ミステリ好きになるか否かの分水嶺になるような気がするな。

  • この人の本は読んでる時は面白いのだが、断定のもたらす爽快感によるところが大きいな、と気づく。

  • いつも思うのだけど、なぜ小谷野敦は全方向に敵を作るような書き方をするのか。
    推理小説嫌いと言いながら、それなりには読んでいるのだ。
    そしてほぼボロクソにけなしている。
    嫌いなら読まなきゃいいのに。

    彼は純文学の人だ。
    だからトリックのためにストーリーやら人物造形やらが不自然にゆがめられるのが許せない。

    好き嫌いはしょうがないと思う。
    私も結構毒舌を吐くし、気持ちはわかる。
    だけどどうにも彼の書く文章は品性に欠けるような気がする。

    “『赤毛のアン』が好きなのは、二流大学卒の女子あたりが中心だろうと書いたのだが、これが何だかバカにしていると思われて、いまだに話題になる。(中略)だいたい、私自身が『赤毛のアン』が好きで言っているのに、なんちゅうひがみ根性であろうか。”
    もし本気でこの文章を書いたのだとしたら、作家をやめればいい。
    この文章を読んで、「『赤毛のアン』が好きなんて、趣味が合いますね」と握手を求めてくる人はいないだろう。
    意図した読ませ方ができない自分を嗤うがいい。
    そして“『赤毛のアン』が好きなのは”ではなく“『赤毛のアン』を好きなのは”と書くほうが文章的に正しいのではないでしょうか。

    と、ついこちらも厭味ったらしい文章を書いてしまうくらい、えげつない文章が続く。
    そして、つるっとネタバレ。

    そしてタイトルには表れていないが、純文学にもSFにもファンタジーにも毒を吐いております。
    私よりはるかに大量の本を読んでいながら、その9割に不満爆発なのは、不幸なことなんじゃないかな。

    ちなみに著者の推理小説ベスト
    1位 西村京太郎『天使の傷痕』
    1位 筒井康隆『ロートレック荘事件』
    3位 貴志祐介『硝子のハンマー』
    4位 ヘレン・マクロイ『殺す者と殺される者』
    5位 中町信『模倣の殺意』
    6位 北村薫『六の宮の姫君』
    7位 折原一『倒錯のロンド』
    だそうです。
    『六の宮の姫君』しか読んだことないや。

    『未来少年コナン』と『機動戦士ガンダム』と『風の谷のナウシカ』と広瀬正をほめてくれたのはうれしく思います。
    最後は気持ちよく読み終わりたいもんねえ。

  • まえがきを読み、なるほどと思い購入し読んだが、この人の文書がすごく分かりづらい。私が馬鹿なんでしょうか。

    結局、好き嫌いがこの人の評価基準なんだから、ここまで作者やその作品を貶す必要もないのでは。そもそも、作品を批判する際に、細かい瑕疵をあげつらう人がいるが、それって本当にその作の価値を徹底的に貶めるほど重要なことなのでしょうか。

    この人が褒めている「ロートレック荘事件」は私も面白い作品だと思うが、筒井氏の作品ではそれより良いものもたくさんあるような気がする。

    いずれにしても、読後感は良くない。作者の書いた小説を一度読んでから、この人の批評眼を信用するかしないか判断したい。

  • 著者の好き嫌いを紹介しているのでしょう。
    SFもあれば、漫画も映画もありと、非常に幅広く扱っている。
    筒井康隆『ロートレック荘事件』は絶賛。
    良い作品ではあるが、この作品と同等かそれ以上に面白い作品もたくさんあるのでは、というのが自分の意見。
    全体的に海外ミステリの評価は低すぎない?

  • おそらくあちこちで同じことが書かれたのだろうけど、”このミステリーがひどい!”がひどい。これだと、ただの酔っ払いの走り書きレベル。話題があっちやこっちへ飛びまくってまとまりがないし、文章ひとつ取っても、やたら長い一文があると思ったら、その上主語から述語へ上手く繋がっていなかったり。おかげで、何回か読み返さないと意味が分からないこともちらほら。作品の内容紹介にしても、詳細度にムラがあり過ぎて、いまひとつ何が気に入らないのかも伝わってこない。で、最後にひどいミステリーリストを挙げるのかと思いきや、お気に入りリストときたもんだ。”え!?ひどいミステリーの話をしてたんちゃうの??”って感じ。中には同感の部分もあったけど、基本的には、単に作者の好き嫌いを述べているだけだと思いました。ミステリーに止まらず、テレビ番組(お笑いにまで)とか音楽まで言及しているから、更に筆者の主観っていう印象が強い。期待していただけに、肩透かしでした。そういうことも含めて、久しぶりの2つ星。

  • 「通俗小説、通俗的」で済ませ過ぎ。
    作者の自分語りの方が数段通俗的だけど。
    映画が面白くなかったから原作は読んでないっていうのは書評にもなってない。

  • 前半は海外や古すぎてよくわからない。中盤は、ネタバラシや主観的で同調できないほうが多い。作者はバカミスなど毒舌で辛辣だがそこまで書いていいのだろうか❔
    後半でようやく自身もつまらないと思う作家や作品がうなづける。

  • いろんなミステリー作品についてヒドイ点を指摘している本。

    9割以上否定されていたのですが、「ロートレック荘事件」については面白いと言われていたので読んでみようと思いました。

    ブログはこちら。
    http://blog.livedoor.jp/oda1979/archives/4954338.html

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