子どもたちの未来を創るエネルギー

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  • 子どもの未来社
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  • Amazon.co.jp ・本 (134ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864120616

作品紹介・あらすじ

私たちの子どもたちの未来のために、今、やれるだけのことはやっておこう。原発がなくても電気料金を上げないで済むこれだけの根拠!「原発推進」で潰されてきた安価で持続可能なエネルギー源を紹介。これほどの事故があってもまだ、なぜ原発を推進するのか、そのカラクリも明らかにしていく。
本書は、『省エネして自然エネルギーにしたら、原発はいらなかった』(武田ランダムハウスジャパン)のあとがきを一新して改題し、子どもの未来社より発売。

感想・レビュー・書評

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  • 「原発がある社会」と「ない社会」ではなく「原発がなくてこういう社会」を示してくれる本でした。
    原発がどうして推進されたのかもわかり、スッキリしました。

  • 東日本大震災の後(2011)、原発事故は発生し計画停電が実行され、多くの人が影響を受けました。電車が間引き運転となり、駅のホームは薄暗く、少しでも節電しようと努力したものです。特に、夏にはエアコンは電気を最も使うものだと言われ、クールビズ期間が延びたり、エアコンの使用を控えたことも覚えています。

    当時、エアコン・冷蔵庫・照明は電気を消費するものとされ、エアコンが25%占めると言われていました。しかし、この数字は間違っていたことが、この本に掲載されていて(p70)、ショックを受けました。計算の根拠が、1日18時間、最大性能で運転するというもので、実情にあわせると、25%が7.4%となり、冷蔵庫・照明・テレビについで4位ということです。これは資源エネルギー庁の2012年のパンフレットで改訂されたとのことですが、果たしてどれだけの人が知っているでしょうか。

    また、ピーク時に停電の恐れがあるとされていますが、原発必要ラインを超えるのは1年間で5時間程度のことだそうで、原発の必要性は電力需要とは他の部分にあるようです。原発を廃棄すると、今の原子力発電所関連の資産が資産でなくなり、破たんする(p106)という解答がありました。

    更にショックだったのは、全体の38%程度しか使用していない、家庭と小規模事業者が、利益の91%を提供していて、大口事業者は段階式電気料金体系でないので、節電する気持ちがわかない方式である(p80)という事実もショックでした。

    この本では原発以外の電力供給をする提言も行っています。日本は本当は技術を持っているので、多くの人に悪影響を及ぼす原発以外で電気を確保する方法を、日本は開発し実行していくべきだと思いました。このためには、政治家の決断が求められているように思います。

    以下は気になったポイントです。

    ・ドイツが素晴らしいのは、自然エネルギー導入量が大きいことでは無く、電気使用量を伸ばさなかった点(1990-2010ほどんどゼロ、日本は2割以上増し)にある(p22)

    ・家庭消費量は全体の22%程度、多いのは産業用(39)と、業務用(23)である(p26)

    ・照明がオフィスのエネルギー消費の21%を占めている、例としてヤマダ電機「あかりレンタル」の利用も良い(p32)

    ・通常ガスヒーポン(ガスヒートポンプエアコン)なら、最新式電気エアコンの10分の1の電気量、15年前の電気エアコンの1/20である(p35)

    ・以前は自治体が水道局をもつように電気局を持っていた、JR東日本が信濃川に発電所を保有しているのと同じ、自治体は戦前に政府に接収されて返されていない、その分を株式で返済されたので、大阪市が関西電力の大株主である(p38)

    ・電気会社は総括原価方式なので、原価x3%が利益であるので、原価が高い原発が儲かる。天然ガスコンバインドサイクルは60%の熱を電気に換えられる、原発の33%よりも効率的だが(p42)

    ・2005年の深夜電力は 6.05円だったが、2012年は11.62/kWhであり、1.95倍の値上げされ、オール電化はお得にならない(p44)

    ・2011年の電力逼迫時には、東京電力管内の200万キロワットの電気がオール電化のために使われた、これはそれがなかったら余った計算になる(p45)

    ・原子力の発電単価は、大島氏(有価証券報告書ベースで計算)によると、資源エネ庁の 5.3円に対して、10.68円、揚水発電コストも入れると 12.23円/kWhとなる(p50)

    ・電気消費量のピークの定理は、夏場・平日・日中・午後2時と3時、東京都の気温がその夏の最高を記録するときであり、過去最大の猛暑であった2010年において、1年8760時間中、5時間、またピーク時の家庭消費量は10%で残りは事業者(p57、64)

    ・本当に電力がひっ迫していたのは、2011年3.16の午後6-9時と、3.17の午前8-10時のみ、その後の計画停電はしなくても電力は不足していなかったのが事実(p66)

    ・ピーク時の14時に家庭エアコンが全体の53%を消費するというグラフを資源エネルギー庁は描いているが、全体の3分の2世帯が不在なので非現実的(p69)

    ・家庭や小規模事業者の電気消費は全体の38%だが、東京電力1537億円の利益において、91%がそこから得られている(p72)

    ・事業者の電気料金を節電するほど得になるように、家庭と同じ段階式電気料金にすれば良い(p78)

    2013年6月9日作成

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著者プロフィール

1957東京都生まれ。地域での脱原発やリサイクルの運動を出発点に、環境、経済、平和のさまざまなNGO活動に関わる。現在「未来バンク事業組合」理事長、「日本国際ボランティアセンター」理事、「apbank」監事、「一般社団 天然住宅」共同代表を務める。現在、立教大学大学院、和光大学大学院、横浜市立大学の非常勤講師。著書(共著を含む)に『環境破壊のメカニズム』『日本の電気料金はなぜ高い』『どうして貯蓄が行けないの』(以上 北斗出版)、『非戦』(幻冬舎)、『Eco・エコ省エネゲーム』『戦争をやめさせ環境破壊をくいとめる新しい社会のつくり方』『戦争をしなくてすむ世界をつくる30の方法』『世界から貧しさをなくす30の方法』(以上 合同出版)、『戦争って、環境問題と関係ないと思ってた』(岩波書店)、『地球温暖化/人類滅亡のシナリオ』(扶桑社)、『おカネで世界を変える30の方法』『天然住宅から社会を変える30の方法』(合同出版)、『いますぐ考えよう!未来につなぐ資源・環境・エネルギー 1~3 』『いますぐ考えよう地球温暖化 1~3 』(岩波書店)、『おカネが変われば世界が変わる』(コモンズ)、『環境教育の落とし穴』(大月書店)、『原発に頼らない社会へ こうすれば電力問題も温暖化も解決できる』(武田ランダムハウスジャパン)、『地方論』(子どもの未来社)など。著者ホームページ「田中 優の“持続する志”」 http://www.tanakayu.com

「2013年 『子どもたちの未来を創るエネルギー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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