美術の物語

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制作 : E.H. Gombrich 
  • ファイドン (2011年11月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (1046ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864410069

美術の物語の感想・レビュー・書評

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  • ただその一冊を読むだけで、視界がパッと開けて豊穣な世界が広がり、その後の物の見え方が変わってくる。そんな優れた概説書が稀にある。この本は間違いなくそんな一冊。

    「これこそが美術だというものが存在するわけではない。作る人が存在するだけだ」「(古代の時代から、画家達は『これで決まり』という瞬間を求め悩み、この不完全な世界に、完全なものを出現させる」という言葉で始まる本書。

    美術がその時代の物の見え方を表すものであったこと、アルタミラ洞窟の時代から始まる美術の歴史は、前の時代の物の見え方を克服す連なりであったこと。その結果として現代美術があること。

    400以上の及ぶ図版を縦横無尽に使い(基本1頁1枚、全てカラー)、各時代の絵を比較し、当時の画家が何に悩み、克服した点がどの点なのかが、抽象的にではなく、実際の絵を使って具体的に指摘される。へー!と思うことばかり。美術において使われがちな難解な表現は一切ない。一方で、著者の記述に込められる熱量というか、美術・人の営み・「これで決まり」を求め続けた各時代の画家達に対する敬意というかは、尋常でない。とりわけ、レンブラント、ミケランジェリやゴッホを語る筆致などの何と楽しげなことか。

    文章だけで500頁、図版を入れると1000頁にも及ぶ大著であるが(でも2100円)、夢中になって読んだ。これまで好きな絵はあるものの、興味のない絵は、興味のないままふーんと素通りであったが、画家が絵に何を託そうとし、どこに着目して見ればその絵が興味深いものとして立ち上がってくるのか、わかった気がする。本書は世界で一番売れた美術書らしいが、そうであるのも当然なほど素晴らしい。また、折りをみて、読み返してみたい。たぶんまた新しい発見があるような気がする。

  • 0524.少しずつ読み進めてるが、非常に傑作。美術史の教科書に使われる理由がわかります。ゆっくりですが、要約しつつ読み進めていきたい。このテキストを使った授業を受けたいなぁ。

  • まさにタイトル通り,美術史家ゴンブリッチが一般向けに古代から現代までを図版に基づきながら解説した大著。書店で日本語版を見た時に身震いする思いでしたが,ようやく読むことができました。
    とりあえず,その長大な物語の構成を目次に語ってもらいましょう。

    序章 美術とその作り手たち
    1 不思議な始まり 先史,未開の人びと,そしてアメリカ大陸の旧文明
    2 永遠を求めて エジプト,メソポタミア,クレタ
    3 大いなる目覚め ギリシャ 前7世紀−前5世紀
    4 美の王国 ギリシャとその広がり 前4世紀−後1世紀
    5 世界の征服者たち ローマ人,仏教徒,ユダヤ教徒,キリスト教徒 1世紀−4世紀
    6 歴史の分かれ道 ローマとビサンティン 5世紀−13世紀
    7 東方を見てみると イスラム,中国 2世紀−13世紀
    8 るつぼの中の西欧美術 ヨーロッパ 6世紀−11世紀
    9 戦う教会 12世紀
    10 栄光の教会 13世紀
    11 宮廷と都市 14世紀
    12 現実をとらえた美術 15世紀後半
    13 伝統と変革Ⅰ イタリア 15世紀後半
    14 伝統と変革Ⅱ アルプス以北 15世紀
    15 勝ちとられた調和 トスカーナとローマ 16世紀初頭
    16 光と色彩 ヴェネチアと北イタリア 16世紀初頭
    17 新しい知の波及 ドイツとネーデルランド 16世紀初頭
    18 美術の危機 ヨーロッパ 16世紀後半
    19 さまざまなビジョン ヨーロッパのカトリック世界 17世紀前半
    20 自然の鏡 オランダ 17世紀
    21 権力と栄光Ⅰ イタリア 17世紀後半−18世紀
    22 権力と栄光Ⅱ フランス,ドイツ,オーストリア 17世紀後半−18世紀初頭
    23 理性の時代 イギリスとフランス 18世紀  
    24 伝統の解体 イギリス,アメリカ,フランス 19世紀
    25 永久革命 イギリスとフランス 19世紀
    26 新しい基準を求めて 19世紀末
    27 実験的な美術 20世紀前半
    28 終わりのない物語
     モダニズムの勝利
     モダニズムの退潮
     変わりつづける過去

    本書の初版は1950年。それから最終的に1995年の16版を重ねる。ある意味でゴンブリッチのライフワークにもなった作品のようです。そして,この出版社。普通は原著の出版社に翻訳権を支払って,翻訳側の国の出版社が出版しますが,このファイドンという会社は芸術関係の多国籍企業。以前にもランドアート関係の翻訳を見たことがありますが,どうやらそういうことらしいです。なので,翻訳者の情報も巻末にちょこっと載っているだけです。
    さて,もちろん多くの読者にとって本書の醍醐味は本編にありますが,私にとっての最大の魅力は「序章」にありました。私たちがどのように芸術作品に立ち向かうのか,研究者として,批評家として,そして一般の芸術愛好家として。もちろん,ゴンブリッチは研究者ですが,研究者としての立場を十二分に意識しながら,同時にその研究内容をどのように一般の芸術愛好家まで伝えるのか,そんな事柄について思索した内容が記されていて,またその実践が本編ということです。
    単純に時代順に並んでいるように見えますが,古代の世界中に残された素朴なアート作品は後のヨーロッパにおける芸術の維新に関わってくるという展開で伏線になっています。そして,各章の冒頭では建築作品についても触れられているのも特徴。また,本書の原則が図版に示した作品に関してしか解説をしないというもの,また図版に示す作品の選別に関しても,著者が実物を確認したことがあるという事実を優先したということ。この辺りからも著者の美術に対する真摯な態度を学ぶことができます。
    ともかく,純粋に知的および感性的刺激を得られる読書体験です。

  • ここまで語れるのなら本物の証!
    正直、分からないところばかり・・・
    何回読み返せばいいのでしょう^^;
    でも、好きな画家の話が出てくると、
    やはり心が浮き立つものです。
    美術に対する真摯な愛あればこそ、
    伝わり広がる物語なのでしょう。。。

  • 美術史についてどこまでもわかり易く書いてある美術史では必読らしい教科書的な作品。文中に言及されてる作品は全部図が載ってるから参照しつつ読めばよりわかり易い。今までなんでこんな絵があるのかとか印象派ってなんなのとか思ってたけど多少なりとも美術史の全体が俯瞰できたような気がする。絵が好きな人は是非読んで欲しい。

  • 「描き方は作品の言語のようなもの」,作品を読み解くきっかけを教わった。
    「好きになるのは,どんな理由からでもいいけれど,嫌いになるのは,どんな理由からでもいいというわけにはいかない」,今まで分からなかったその作品を少しでも理解できるようになりたい。

  • 借り物

  • 私ごときが評価する本じゃない。
    スゴすぎる。

  • 【分類】702.3/G62
    芸術のコーナーに並んでいます。

  • 美術史というカテゴリの中では有名な本らしく、解説と図版で1000ページ位のボリュームなんだけど、文章は平易で読み易い。

    自分的には美術というと絵画のイメージが強いのだが、この本は建築と彫刻にも重きが置かれている。

    各時代の作品はその時々の世相が反映されており、時が経った後には違和感があるものも多いが、その時の時代背景や主義主張に則ったものだと理解。

    芸術家達はそれぞれの制約の下で手段や表現を模索していく。
    段々と芽生えていく自我とのバランスとの闘いがそのまま歴史と言えるのかもしれなく、その中で様々なイノベーションが発生していき、時代が戻るものもあれば進むものもある。

    表層的なテクニックよりも何故その様な表現がなされたのかを考え、その芸術家達の意図および時代に想いを巡らせる事の楽しみを見出せそうな気がした。

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美術の物語の作品紹介

原始の洞窟壁画から現代の実験的な芸術にいたる、美術の全体を論じた入門書。率直で単純な文体と、物語をくっきりと浮かび上がらせる話術で「絶えず変化しながら連綿とつづく伝統のなかで、ひとつひとつの作品が過去を語り、未来を指さす」ような美術史、「伝統という生きた鎖が、ピラミッド時代の美術から現代美術にまで延々とつらなる」物語としての美術史を目に見えるように描きだしている。

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