FUKUSHIMAレポート 原発事故の本質

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  • Amazon.co.jp ・本 (500ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864430005

感想・レビュー・書評

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  • 今となってはおかしな内容。
    この本の本題とも思える、第1章の「メルトダウンを防げなかった本当の理由」で「少なくとも2、3号機は制御可能状態がある程度の期間あり、この間に海水を注入すれば、これほどの惨事にはならなかった。そうしなかったのは、海水注入は廃炉につながるので、東電の経営者は決断できなかった犯罪行為だという。」と主張されているが、これは同様の内容を雑誌に発表した2011年夏時点のものと見るべき。各種報告書やビデオが公開されて、減圧操作や海水注入も、やりたくても出来なかった事情がわかってしまった(発行は中間報告よりも後だったので直す余裕はあったはずだが)。

  • 最初の数ページにて「福島第一原発の事故ではベント操作によって大量の放射性物質が発電所の外に放出された」と記載があり、いきなりの事実誤認で読むのを諦めようとしたが、頑張って読んだ。

    正確には、原子炉建屋の水素爆発によって大量の放射性物質が環境へ放出されたのだ。一般に、ベント操作は圧力抑制プール(サプレッションプール)を経由して放出されるため、一旦水に触れられる。であるので、ヨウ素のような水に溶けやすい物質はその水に溶け、外には放出されないのだ。外に放出されるのは希ガスのような非凝縮性ガスです。

    環境に放出されたという事実は同じであるが、そこらへんのタレントのコメンテーターじゃないのだから、正確に記載して欲しいです。
    ちなみに建屋が爆発しないで、ベント操作によって放射性物質が環境に放出されていたならば、おそらく今回の事故の放出量と比較して数分の一から数百分の一となっていたはずである。

    原子力のエンジニアなら、こんなミス(原子力分野に対する専門性の欠如)は絶対しないのに。。。と思って作者を見たら、なんとびっくり、専門家が作者に加わっていないじゃないか。
    (一人原子力専攻卒業がいるけれど、専門は核融合です)
    それでいいのか・・・

    あちこちによくわからない論点が示されている。
    1)原子力を進めていく本当の理由は核兵器を作ることであると断言している
    確かに原子力発電と再処理技術によっては、(がんばれば)核兵器を作ることができるが、原子力推進の本当の目的が核兵器だったとは。。。
    初めて知りました。どこからこんな話を聞いたのでしょうかね。
    いろいろな所で参考文献を載せていてさも格調高い雰囲気を醸し出しているが、このような重要な論点については参考文献なしって、それはなしでしょう。

    2)原子力の発電コスト
    いろいろな理由から原子力のコストは高いと書いてあるが、昨今の東京電力の値上げをみれば一目瞭然じゃないですか(東京電力の値上げは賠償ではなく、燃料費の増加分を電気料金に反映しただけです。念のため)。
    あと余談で、海外の発電コストと比較しているが、なぜアメリカのような天然資源保有国と発電コストの比較ができるのかわからないのですが。

    3)原子力がなくても電気の供給はこまらない
    去年乗りきれたから大丈夫って。初心者ですか、あなた。

    などなど、挙げていったらきりがないくらいに突っ込みどころ満載です。
    FUKUSHIMAレポートという題名なので、何か公式なレポートなのかと感じるが、原子力素人が書いた、中途半端な書籍である。

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