【小説5巻】本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第二部「神殿の巫女見習い2」

著者 :
  • TOブックス
4.31
  • (105)
  • (73)
  • (33)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 964
感想 : 59
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864724470

作品紹介・あらすじ

青色巫女見習いとして、忙しい毎日を送るマインに朗報が届く。母親が妊娠したのだ。生まれてくる赤ん坊への贈り物として、絵本作りを開始する。一方、神殿内では慣れないことばかりで、自由に動けない。巫女としての教養を身につけさせられたり、新しい側仕えの管理に追われたり…。孤児院長しての仕事も山積みだ。相変わらずの虚弱な体も何のその、本への愛情を武器に全力疾走を続けるマインが、念願の一冊を手にする時、貴族世界への扉が開き、物語は急展開へ突入してゆく!近付く冬を前に、風雲急を告げるビブリア・ファンタジー!書き下ろし番外編×2本収録!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 面白かった。とうとう、マインの初めての本ができる。
    これは大感動だった。
    マインの貴族教育の一つ
    フェシュピールという馬頭琴みたいな楽器の練習と
    その教師となる巫女ロジーナ、
    マインのお抱え絵師となるヴィルマが側仕えに。
    図書館が荒らされ、”ブラッディカーニバル”危機により
    マイン十進分類法(笑)がもたらされる。
    巨大トロンベの討伐事件
    これで、かなりの転機となる。
    平民でいられるのも10歳までと期限がつく。
    このことにより、神官長は本格的にマインの調査
    ”夢の中”を調べる、というところで終了。

  • 本に囲まれる生活どころか、紙をつくるところから、それ以前にその道具作りから始まった、マインの活動。
    本の完成に、ついにここまで来たんだなぁと、感慨深かった。

    じーんときたのが、神官長とのエピローグ。
    すっかりこの世界になじんでいるようで、決して麗乃時代を忘れたわけじゃないのだと。

    全体的に順風満帆すぎて、やや盛り上がりに欠けた。

    貴族世界やこの世界の魔法のことが徐々に明かされ、さらなる下剋上へのステップになりそうな話。

    番外編は「青色巫女見習いの側仕え」「神殿の料理人見習い」。

  • いつも通りの神殿での日常から、中盤にかけてすごくファンタジー色が出てくる。世界観が今までと繋がってるけど別物になっていってる。
    ラストの日本の日常を(やや長いと感じるほど)見せてもらえたので、ずれを認識できたのがよかった。
    神官長のスーパーマンっぷりが際立ってて、裏でこそこそしてる神殿長とえらい差ですね。
    とうとう念願の自分の本ができたところはすごくよかった。若い工房の力をたくさん使って、若い人たちが奮闘してるところは活力みなぎってていい。

  • 思い立ったが吉日、とこの本のシリーズを何冊か入れた。この本はとくに好きで、インクづくりのところはドキドキして読んだ。この本の魅力は登場人物が多いのに、キャラクター一人一人に個性があり覚えやすいので物語を純粋に楽しめることだと思う。

  • ついに念願の本が完成しますが、失敗もあって思うように量産体制が確保できない、というあたりも現実的であるように感じます。

    はじめて貴族社会の中での神事を行う際も、平民出身であることから想像をはるかに超える差別的な扱いを受けることも、作品の世界観がよりリアルに感じられておもしろく読めました。
    とはいえ、転生物の展開通りに差別してきた貴族たちの度肝を抜くような活躍で彼らの鼻を明かす場面は、予定調和ではあるもののやはり爽快です。

    神殿内でのマインの庇護者でもある神官長との信頼関係も深まり、周囲を固める側仕えたちもマインへの忠誠心を高めていて、次回作での更なる活躍が期待できそうです。

  • エーファの妊娠で赤ちゃん向けに本を作ると意気込んで、絵本作成に取り掛かり、そのためにインクの作成、紙の切り抜きで絵本の作成
    トロンベ退治と癒やしの儀式、夢の世界を見るために神官長が同調するまで


    貴族と縁を繋ぐ際に、より良い待遇にするための教養
    なのでフェシュピールも練習しなければいけないのですよねー
    貴族の嗜みとは言うけど、周囲にいるのはロジーナにフェルディナンド様にヴィルマ
    例外ばっかでまったく参考にならないけど、それが当たり前だと思ってしまうのも仕方がないですね
    それにしても、練習時間の交渉がベンノさん仕込みだなぁと思う



    妊娠をマインに伝えるときのエーファの躊躇いの理由
    以前の時にはマインが兄弟なんていらないと言ったから
    周囲から投げかけられるありふれた言葉
    「元気な子が生まれると良いね」という言葉は、裏を返すと病弱な子は良くないという意味にも捉えられる
    どうして元気な子に産んでくれなかったという呪詛の言葉
    舞台は現代と異世界という違いがあるものの、悪意のない言葉で傷つく人もいるんですよね……

    まぁ、今のマインだから大丈夫ですけど、確かに以前のマインならそう思ってしまいますよねぇ



    子供向け聖典絵本の次の構想としてのシンデレラ
    富豪の娘が王子と結婚が非現実的とかね
    一体何のフラグだ?w
    この時点でまさか後の伏線だとは思わなかったよなぁー

    あと、妙な呪文で魔術というのも伏線ですね
    水鉄砲、コピペ その他にも作ろうと思えば新たな呪文を作れそうではある



    最初に読んだ時にはダームエルが可哀想と思ったけど
    後にフェルディナンド様からロートをすればよかったと諭されて、読者目線でも納得
    騎士としての基本行動が出来ていなかったのは、確かに処罰対象ですね


    あと、シキコーザの描写で気になったところ
    闇の神の御加護を得ていないのにメッサーでトロンベを切っているよな
    もしかして魔力が効かなかったり全てを吸収するのではなく、切ることはできるけど余計に成長しちゃうって事なのか?
    よくわからん


    騎士団に聞かせるためのシキコーザへの叱責
    神官長がマインを平民だと認めているっぽい?
    ま捉え方によっては、どんな立場であれ青の衣を身に着ける事を認められているとも取れるけど
    フェルディナンド様の事だから、どうとでも取れる表現をしただけなのか?



    書籍版だからこそ気になった、癒やしの儀式の挿絵
    マインの服に穴が空いていないんだよなー



    そして神官長との同調
    同調薬を甘く感じるのはマインが薄っすらとした全属性だからなのか、それともエーヴィリーべの印を持つ子だからなのか
    でも、トロンベの上で手の傷を治すときには魔力の反発を利用したよな?
    どうもこの辺の違いが未だによくわからん……


    やはり、ここも泣ける
    逆縁の不孝とその謝罪、母への感謝
    だからこそこの世界では家族を大事にしたいという想い
    本よりも大事に思える数少ない存在は、やはり家族なんですよね
    そして後にフェルディナンド様がこのときどう思っていたかというのを知っているが故に余計泣ける
    家族同然って重いよw



    そして、マインとの同調はこりごりというフェルディナンド様
    後にまた同調する時には、懇願の思いを込めながらする事になるんですけどね!
    長大な物語の中でのこの前フリはやはりいい!

  • スゲー!ドンドンおもしろくなっていく・・・
    転スラより面白いかも?!

  • アニメ第二期後半(第21~26章)らへん。
    ようやく異世界っぽいファンタジー展開や魔法、魔道具(使うやつ)ポーション、荒れ地の魔力再生など出てきます。しかし、麗乃、いろんな物の作り方良く覚えてるよね。インクに至っては感心する。天然酵母とか。グーテンベルクを崇めてる時点で偏執。活版印刷の最初はイソップ物語なのか?
    司書だっただけあって"デューイ"十進分類法が出てきてるところが面白かった。
    フリーダのあたりから少しずつ愛娼や花捧げ、慰み者などの表現出てきていて、小学校には検討ラインかな。ジュニア文庫化で表現丸くなるといいなぁ。

  • あ…っ、そっちに話が進んでいくの…? と、いうくらいファンタジー色の濃い展開やった。
    転生した意味(?)がようやく出てきた(??)と、いうか。

    しかし、ベンノさんにしろ神官長にしろ、マインちゃんが出会う人たちはいい人ばかりでよかったなあ。
    今回の、記憶を云々のくだりなんて特に、神官長めちゃくちゃええ人やんか、と、なってしまった。イヤ、悪い人ではないのは重々知ってたけど。

    それを言うと、マインちゃんのご家族もめちゃくちゃ理解あるし(言い方が悪いけど、ルッツのご家庭やったらマインちゃんはここまで自由にできなかったかもしれんもんな…?)、そもそもルッツという理解者が一番の味方やでなあ。

    ちゅうかルッツ…。
    こんなに神殿およびマインちゃんの手伝いばかりして、本業のダプラは大丈夫なんかとちょっと不安になるな…(笑)。

    ベンノさんやマルクとはちゃんとやってそうやけど、ダプラと(あともう一つの身分何やっけ…。ダ…ダ…ダウニ…違う…)閑話休題、同僚(?)のみんなとはうまくやってるんかな?

    ルッツのそのあたりの(うまくやってる)話も読んでみたいな。なんしかルッツ、めちゃくちゃいい。この子めちゃくちゃ好き。早くイケメンやり手商人に以下略。
    (二度目)


    さて、この巻は後半は毛色の違うファンタジー展開やったけど、前半は久しぶりの、「新しい商品の試作」やったので、そのあたりはちょっとのろのろ読んだなあ。

    ちょうどわたしが副反応にヒイコラいいながら読んだっていうのもあったけど、ここ最近、この「試作品の試行錯誤」がなくなってたので、またこれか…と、ちょっと思った(ゴメンなさい)。

    本が出来上がるという感動に向けての山場やったのに申し訳ない。
    でも、無事に本が作れてよかったねー! それは思う。よくがんばったなあ。でも、まだまだ話は続くみたいやんな。ここで終わりじゃないところに、このシリーズの底力を見た気がする。

    先の展開ももちろん気になる。即予約してるけど、どうかなー。早く続きを読みたいな。

  • 【感想】
    ・今いちばん楽しく読んでるシリーズのひとつかな。

    【内容】
    ・生まれてくる妹か弟のために絵本作りに邁進するマインはインクという難関にぶち当たる。ベンノはインク業界に喧嘩を売るのかとワクワク顔だが?
    ・新しい側仕え。絵の上手なヴィルマは男性恐怖症で孤児院から出たがらない。マインの楽器演奏の家庭教師として付けられたロジーナは他の下働きの仕事をしようとしない。
    ・ベンノのイタリアンレストランはだいぶ形になってきたがまだまだ足りない部分が多い。
    ・孤児院のみんなによる絵本が完成。その出来は?
    ・青色神官の嫌がらせで図書室が荒らされたがこの機会に分類整理。
    ・冬支度に予想外の出費。お財布がピ~ンチ。
    ・騎士団の要請によりトレンベ退治に連れ出される。正確にはトロンベを退治した後の事後処理のため。マインはそこで貴族社会の恐ろしさを知る。
    ・神官長はある決心をする。麗乃=マインと神官長の記憶の旅。
    ・おまけは、ロジーナ視点とエラ視点。


    ▼本好きについての簡単なメモ(累積)

    【アルノー】神殿の側仕え。
    【イタリアン・レストラン】マインのアイデアでベンノが出すことになった店。ベンノはこの辺をとっかかりに独立を考えているようだ。料理人候補はフーゴ、エラ、トッド。
    【イルゼ】フリーダんち(ギルド長んち)の料理人。ぶっきらぼうだが協力的。頼りになる。
    【ヴィルマ】灰色神官の一人。美少女。絵が上手。孤児たちの世話を一番しているお母さん的存在。マインは絵本作りに必要な人材として側仕えにしようとするがかつて花を捧げされそうになって以来男性恐怖症となり孤児院からはなれたくない。
    【麗乃/うらの】本須麗乃。主人公マインの転生前。本さえ読んでいられれば他に何もいらないというくらいの本好きで、司書になれることが決まりこれからバリバリ読書三昧と思っていたところで地震で崩れてきた本の山であえなく圧死しマインとして転生した。たぶん麗乃としてはもう出てこない? 番外編でもない限りは。なんぼ読書家でも不思議なくらいなんでも知っている。本人は記憶力よくないと言うのに。だからこそこの世界に連れてこられたのかもしれないけど。
    【エーファ】マインの母。翡翠のような緑色の髪の美女。兵士長の娘で、ギュンターに惚れられた。
    【エーレンフェスト】主人公が転生した中世ヨーロッパ風の街。この世界の中では大きい都市のように思われた。領主の名前が付いている。
    【エラ】ベンノがイタリアンレストランのために雇った若い料理人。女性。
    【オットー】南門にいる兵士の一人。元旅商人なので文字を書け計算もできるので事務仕事を担当している。物語開始当時新婚さん。妻はコリンナ。マインに字を教えてくれ、その代わり事務仕事を手伝わせた。商人として培った営業力とプレゼン力を嫁自慢に使う男。
    【オットーの家】城壁に近い高級住宅街にあるコリンナの実家の三階にある。
    【オトマール商会】商業ギルド長がトップをしている商会。街よりも前からここにあり、前領主のときは御用商人でもあった。基本的には貴族対象の食料品を扱う店だったようだ。フリーダが属し、なんとかマインを取り込もうとしている。

    【カイ】孤児院の子どもの一人。
    【隠し部屋】マインにとってはお小言部屋。他者に聞かれたくない密談があるときいつも連れていかれるのは一定の魔力量がないと入ることもできないから。神殿でも入れるのはフェルディナンド本人とマインだけと思われる。
    【カトルカール】別名パウンドケーキ。マインがフリーダの家で作ったお菓子。小麦粉、卵、砂糖、バターが同量で作れるのでうろ覚えのマインでも作れそうだった。
    【鐘】エーレンフェスとの街では時報代わりの鐘が鳴る。二の鐘で開門。四の鐘はだいたい正午くらいのようだ。三の鐘でマインとルッツが待ち合わせにしているようなのでそれが九時くらいなら開門は、不定時報だとしても朝の六時前後になるか? ベンノの店は二の鐘の少し前から三の鐘までの間が最も忙しいようだ。六の鐘が閉門の時間でありベンノの店も閉店する時間。おそらく日暮れで商売は終わるのだろうから全体にぼくらの世界より早く動いているとは思われる。一の鐘は四時頃だろうか? 七の鐘が就寝を促す鐘らしい。鐘ひとつ分は二時間から三時間くらいと思われるが今のところよくわからない。
    【貨幣】小銅貨一枚が十リオン、穴が開いている中銅貨が百リオン、大銅貨が千リオン、小銀貨が一万リオン、さらに大銀貨、小金貨、大金貨と続く。
    【髪飾り】マインの稼ぎのひとつ。トゥーリ用に作ったものが一部で評判に。
    【カルステッド】騎士団長。
    【カルラ】ルッツとラルフの母。
    【簡易ちゃんリンシャン】衛生環境改善の意味もありマインが作った最初の発明品。メリルの実から採れる油を使った。
    【簡単パルゥケーキ】マイン二つ目の発明品。鶏の餌にしかならないと思われていたパルゥの絞りかすを活用したホットケーキ。パルゥのおからを使ったレシピは他にもいくつか考案したもよう。パルゥバーグとか。
    【騎士団】貴族の息子たちの中でも魔力の強い者が入るエリート集団。なのだが政変により貴族の数が減っているので本来なら騎士団に入れない程度の者も入っている現状。魔獣に乗って空を飛ぶ。
    【貴族】貴族の血を引き、魔力を持ち、貴族院を卒業したもの。青色神官は貴族院を卒業していないので正確には貴族ではない。この世界の貴族はかなり横暴で一般人は歯牙にもかけられない。貴族だけが魔力を持つ。逆に言えば魔力があれば貴族になれる可能性もあるということか。
    【汚い】現代日本から転生したマインにとって庶民の生活は全体的に不潔でことあるごとに「汚い」と感じる。ちょっと偏見も感じるがおそらくほとんどの現代日本人はそう感じるのだろう。特に身体の弱いマインにとって衛生は重要なので身近なところから改善していってる。
    【ギュンター】マインの父。三十二歳。エーレンフェスト南門を守る兵士で班長。青色の髪。エーファに惚れて猪突猛進で結婚までこぎ着けた。
    【教育】いわゆる教育を受ける機会がほとんどないこの世界の庶民の子。ルッツは「そういうの、教えてもらえることって滅多にないから、せっかく覚えたことは忘れたくなくて」と言った。
    【ギル】マインの側仕えとなった灰色神官で十歳の少年。目付きが悪く反抗的でよく反省室に入れられている厄介さだったがマインに篭絡された。
    【ギルド長】→グスタフ
    【ギルベルタ商会】マインがメインで取引するようになった商人ベンノの店。彼の実家の一階が店、二階が家族の住居、三階より上が賃貸しの住居で、その三階といういい場所にベンノの妹であるコリアンナと夫のオットーが婿養子的に暮らしている。貴族などが取引相手のようで高級な感じ。基本的に服飾関係、ファッションブランドのようだ。
    【グスタフ】商人ギルドのギルド長。オトマール商会のトップ。ベンノと仲が悪いのはベンノの父が亡くなったとき母親を後添えにしギルベルト商会を取り込もうとし、断られ、今に至るまでネチネチと嫌がらせを続けているから。実は意外にベンノに目をかけている感じがある。
    【契約魔法】貴族の横暴に対抗するために生まれた契約方法。かなり強制力が強く破る度合いによっては生命も失うほど。これはまったく関係ない第三者にも適応され、知らないうちにその契約に反することをしてしまうと知らないうちに何らかの罰則を受けるという恐ろしいもののようだ。なので、第三者が自分の頭で考えたアイディアがどこかの契約に抵触する場合にも適応される可能性がある。とりあえず効力の範囲は魔術結界の中、都市内だけのようだ。
    【クリスティーネ】以前神殿にいた青色巫女見習い。芸術をことのほか愛し、詩と絵と音楽に耽る毎日。ヴィルマやロジーナを初めて側仕えの灰色巫女は下働きはせず全員貴族の令嬢のように優雅だった。
    【ゲルダ】子守りのおばさん。危なくないところで放置するというタイプ。
    【コージモ】グスタフの右腕的存在。
    【コリンナ】ベンノの妹で、オットーの妻。有名な針子で業界では幹部クラスの立場。両親の工房を継いで工房長となっている。びっくりするくらい可愛らしくて細くてはかなげなのに巨乳。一目惚れしたオットーは彼女と結婚するため大金を出し市民権を手に入れ自分の店を持つ夢を諦めた。オットーがこの話を始めると長くなるのでベンノは止めようとする。将来的にベンノは店はコリンナとオットーに任せ自分は独立するつもり。

    【裁縫協会】工房長として認められるためには一年に五着以上の衣装の注文を受けることと、貴族の顧客を持つこと。コリンナはそれをクリアしている。
    【ザシャ】ルッツの兄。長兄。風貌は父親に似ている。建築関係の職人。
    【サバイバル】この世界はまだ文明社会だがマインにとっては毎日がサバイバル生活に近い。個人的には山登りが趣味やったんでキャンプ生活も長くマインよりはマシと思うがそれでもこの世界に放り込まれたら苦労しそうだ。
    【ジーク】ルッツの家の二番目の兄。木工工房で働いている。
    【シキコーザ】若い騎士団員。マインに反感を抱いた。
    【司書】図書館で本の管理やレファレンス業務を行う専門職。個人的に司書資格は持っているだけに今の日本で実際に司書になるのがどれくらい大変かは、ぼく自身は司書になる気はなく書店でバイトしてたし本好きの教養のひとつとして取った資格ではあるけれどなんとなく知ってる。麗乃さんは優秀なんやなあと思う。
    【市民権】街にすむことができる権利。旅商人になると手放すことになるらしい。
    【しめじのような茸】一回火を通さないと踊るらしい。
    【修ちゃん】麗乃の幼馴染み。麗乃の世話役。異世界でのルッツみたいなもんか。そのままだったらいつか麗乃と結婚したのかもね。「誰かが面倒みなくっちゃなあ」とかボヤキながら。母親が学会に出るというような記述があるので学者の息子か。麗乃を「妖怪本スキー」と呼ぶ。
    【シュミル】魔獣。おおむねウサギ。子どもでも捕獲でき肉も旨く他にも捨てるところがないくらい利用価値が大きい。ただし前足の爪に毒を持っているので注意は必要。
    【商業ギルド】商売に関わる者は必ずギルドに登録していないと厳罰を受ける。権力があり、がめつい。
    【白ラディッシュっぽい野菜】包丁の側面で叩き潰すと「ギャッ」と叫び赤ラディッシュになった。
    【神官】神殿の要員。青色の僧衣を着た貴族出身の青色神官、青色巫女と、多くは孤児出身の灰色神官、巫女がいる。マインは特殊な条件で青色巫女になった。政変により貴族の数が足りなくなり、神殿に追いやられた貴族の姉弟たちが呼び戻され、今の神殿は要員不足に悩んでいる。特に深刻なのが魔術具に魔力を籠められる者が減っていること。
    【神官長】→フェルディナンド
    【神殿長】自尊心だけは高い小者。貴族の嫡子だが出自のわりに魔力量が少なく劣等感を抱いている。マインに脅されて失神した。今後もいろいろ不愉快なことをやってくれるだろう?
    【煤鉛筆】木簡に字を書くために作った。竈や煙突の煤を集め粘土で固めた。
    【政変】どうやら貴族どうしの争いがあったようで貴族の人口が著しく減っているようだ。ゆえに一度は神殿に追いやられていた貴族の子弟たちが呼び戻されているようで青色神官の人数が減っている。そして側仕えだった灰色神官が孤児院に戻ってきて一人あたりの食糧が減りいつも飢えている状態。
    【洗礼式】七歳になると洗礼式があり以降は半ば大人扱いになる。

    【ダームエル】若い騎士団員。マインにも偏見なく接してくれた。
    【タウの実】森にときおり落ちている赤い実。中は水だけだが持って帰ると干からびているのだがそのまま放置しておくと水分が増え大きくなる。街の人々は夏の星祭りの夜それをぶつけ合って楽しむ。実はトロンベの種。魔力を吸い取る性質があるのでこれを使えば身食いで死ぬ子どもが減るのではないかとマインは考えた。ただし、それを明らかにすると社会が崩壊する可能性がある。
    【ダプラ契約】商人や職人の見習いの雇用契約。将来的に店や業務を任せるための徒弟契約。八年間。マルクはいつか実家の商店に戻るダルアとして数回の契約更新をした後、実家との折り合いが悪くなりダプラとして契約した。
    【ダミアン】グスタフの孫でフリーダの兄。
    【ダルア契約】商人や職人の見習いの雇用契約。店長との雇用契約で、ギルベルタ商会では他の商人の子弟をダルアとして預かることが多い。おおむね三年から四年の契約となる。
    【ディード】ルッツの父。建築関係の職人。頑固っぽい。
    【デリア】マインの側仕えとなった八歳の少女。神殿長のスパイだったがマインに敵対する態度を丸出しにしたため望まれた情報が手に入らなかった神殿長に切り捨てられマインに泣きついた。ツンデレではあるが取り込んでみれば貴族の習慣等に詳しいその知識はマインが「化ける」ためには有用だった。マインの部屋をきれいに保つことが主な仕事。
    【トゥーリ】マインの姉。一歳違いだがすくすく育っている。緑の髪の美少女。現代の日本人の目から見たら薄汚かったのがマインのお陰できれいになった。
    【トッド】ベンノがイタリアンレストランのために雇った若い料理人。男性。
    【トロンベ】ものすごく成長が速い木。見ている間ににょきにょき伸びていく。マインは「不思議なにょきにょっ木」くらいに思ってるが皆にとってはそんなに気楽なものではないようだ。伸び始めに刈り取らないと辺りの栄養が吸いとられてしまう危険性の高いものなので住民たちは発見したら何を置いても刈り取ることを最優先する。育ちきったらあたりを荒廃した土地にしてしまいさらに拡大しようとし、騎士団でないと対応できない。ただ、紙の材料として最適だったのでマインはけっこう危なっかしいことをしたりもする。本当に大きくなってしまうと一般人の手には負えず騎士団に依頼する必要がある。マインは後にその現場に参加することになる。ちなみにトロンベで作られた紙は燃えにくく、手に入りにくいこともあって高価なものになる。

    【ニコラ】灰色巫女見習い。オレンジ色っぽい髪を三つ編みにし美味しいものが好き。いつもニコニコしている。
    【粘土板】マインがパピルスの次に作ろうとした紙の代替物だが焼いて保存しようとしたら爆発。

    【パピルス】マインが最初に紙の代わりとして作ろうとして失敗。
    【パルゥ】甘い汁が採れる実。冬の晴れた日の朝、雪の中でしか採れない。実のなっている枝を暖めなければならないが魔力があるのか炎は消えてしまうので手で暖める。昼を過ぎるとぎゅーんと大きくなってぴゅーんと実が飛んでいき木は消えてしまうので午前中が勝負。
    【東門】街道に面していて旅人が多く活気がある分、治安が悪い。
    【フーゴ】ベンノがイタリアンレストランのために雇った若い料理人。男性。
    【フェイ】トゥーリと同じ年の少年。ピンク頭で悪ガキふう。
    【フェシュピール】楽器。リュートと琴を合わせたような感じで、バンドゥーラによく似ている。貴族の嗜み。
    【フェルディナンド】神官長。重要キャラの一人。マインにとっては神殿におけるベンノのような位置付けとなる。まあ、要するに保護者ですな。ルッツにつぐマインの秘密を知る二人目となる。落ち着いていておっさんぽいが実は二十歳。神殿では神殿長に次ぐ位。魔力量はけた外れに多く、彼の「隠し部屋」に入れるのは神殿でも他にはマインしかいない。貴族でもあり、愛妾の子どもだった。年齢的に案外マインの婿候補No.1かもしれない?
    【フラン】十七歳の灰色神官。落ち着いているので二十代に見える。フェルディナンドの信頼も厚い側仕えだったがマインの側仕えとなった。当初は不満だったようだがいつも落ち着いておりいろいろめんどうみてくれ、側仕えたちの中心となる。紅茶を淹れるのがとても上手。
    【フリーダ】商業ギルドのギルド長の孫娘。洗礼式のための髪飾りを欲しがっていた。桜色のツインテール幼女。会話のどこにワナが仕掛けられているかわからず油断できないが、親しい友人ともなる。一番好きなのはお金を数えることと貯めること。マインと同じく身食いを抱えているが金の力で貴族から魔術具を購入し生命を繋いでいる。将来はとある貴族の愛妾になることが決まっているがその代わり貴族街に店を持つことができるので売り上げの三割を貴族に差し出さねばならないもののむしろ楽しみにしている。ギルド長の家は将来貴族の中で暮らしていくフリーダために貴族の習慣や道具を取り入れている。マインとは異なり身食いがなければ健康体。
    【ベンノ】商人。特に重要なキャラの一人。オットーに紹介された。ベンチャー企業のトップのようなギラギラしたところがある。商人として遣り手で厳しくもあるがだんだんマインの保護者のような立場になっていってしまう。虚弱な姪を心配する叔父ってところか。結婚したかった女性がなくなっていて、彼女以上の女性は見つけられないだろうからおそらく結婚しないだろうと自分で考えている。近い将来商会は妹に任せ、自分は独立するつもりのようだ。
    【ヘンリック】下級貴族。フリーダの契約相手。グスタフが人柄だけで選んだらしい。ということは人柄はいいということなのだろう。
    【星祭り】夏の祭り。水風船のようなタウの実をぶつけ合う祭り。結婚した新郎新婦にぶつけるらしい。貴族の間では星結びの儀式というものがあるらしいが、水風船のぶつけ合いはなさそうだ。

    【マイン】主人公。本須麗乃の転生した姿。スタート時五歳だが身体が弱く三歳くらいに見える。何かしたら基本倒れるので何もさせてもらえない。あくまでも頭脳労働者。紺色(夜色)の髪。ふだんは金色の瞳だが怒ると複雑な虹色になる。たぶん油膜ができるのだろう? あるいは魔力膜? 本を読んでいれば他に何もいらないというタイプなのにこちらの世界には(容易に入手できるような)本がなくそれならば自分で作ってしまおうという考えに至った。オリジナルのマインは麗乃より音感がよくほぼ絶対音感に近いのではないかと思われる。エラ視点では超絶美少女のようだ。
    【マイン工房】マインが小遣い稼ぎのために立ち上げた。本作りと、そのための資金作りが目的だが孤児院の外貨獲得のためともなった。
    【マインの家族】父親の兵士長ギュンター。裁縫の腕がいい美人の母エーファ、将来美人になるであろうお針子見習いの姉トゥーリ、そしてマインの四人家族。後に一人追加。
    【マインの結婚】巫女見習いのとき神官長によるとマインの魔力量だと遅かれ早かれ貴族に取り込まれ、中級以上の貴族と結婚するしかなくなるとのこと。まあ、なんとか生き延びることができればの話なのでこの時点でのマインは特に気にしていなかったが。
    【マインの体調】マインは身体が弱い。最初は家を出るだけで青息吐息という虚弱体質。オリジナルのマインはすでに熱で死んでその身体に本須麗乃の精神と記憶(魂というか)が入った形。オリジナルのマインから病弱なところは受け継ぎちょっと無理をしたらすぐ熱を出して倒れる。どうやら「身食い」と呼ばれる病気らしい。マイン=本須麗乃はとてもわがままで自分の目的のためならそう簡単には誰の言うことも聞かないので突っ走っては倒れる。後に、マインの体調を最もよく把握しているルッツがベンノたちから「マイン係」? に任命された。彼女の身体が人並みだったら無制限に世界を変えるようなとんでもない騒動を引き起こすことになっていたかもしれないし、誰かの不興を買って殺されたりしていたかもしれないし、魔女として処刑されたかもしれないし、その後の成り上がりもなかったかもしれない。
    【マインの知人】まず、何かと世話を焼いてくれる幼馴染みで商人になりたいと思ってる少年ルッツ。門番で会計がらみの仕事を一手に引き受けている元旅商人のオットー。新進気鋭の商人ベンノ。その部下でよく気がつくマルク。マインをスカウトしようとしている商業ギルドのギルド長グスタフ。その孫娘でお金を数えるのが何より好きな桃色ツインテール美幼女フリーダ。など。
    【マインの知人・神殿編】神官長フェルディナンド。側仕えとして頼りになるフラン、腕白なギル、神殿長のスパイで貴族の愛人になりたいデリア、絵や文字の上手なヴィルマ、楽器の演奏が好きでマインよりよっぽど貴族のお嬢様に見えるロジーナ。
    【魔獣】体内に魔石を持ちそれに刃物が触れた瞬間溶けてしまう。騎士団が使う魔獣は手甲の魔石から変じる。どんな形になるかは術者の好みによる。魔力の供給が切れない限り動き続ける。ユニコーンが今のトレンド。フェルディナンドの魔獣は羽のあるライオン。
    【魔術結界】街を取り囲んでいるらしい。契約魔術が届く範囲はこの結界内。
    【マルク】ベンノの経営するギルベルタ商会の従業員。ベンノの右腕的存在。従業員の教育係でもあるようだ。マインとルッツに発注書(契約書)の書き方を教えてくれる。後々マインとルッツの面倒を親身に見てくれる。マインいわく「素敵紳士」なので作業服が似合わないから力仕事はさせたくない。ベンノならOK。実家も店をやっていたのでいつか戻る予定だったが長兄との折り合いが悪くなりベンノとともにギルベルタ商会を大きくした。その途中で実家を踏み台にしたらしい。
    【身食い】マインを侵す熱。魔力過剰症。魔力に食われて遠くない将来、死ぬことになる。対応手段はあるにはあるがそのための壁が厚い。フリーダもそうだった。後にマインはこれを回避する手段を見つけ出すが世界のありようを変えてしまうほどの情報なので外には出せない。
    【メリル】食べられる木の実。油が採れる。これを使ってマインは「簡易ちゃんリンシャン」を作った。
    【木簡】マインが挑戦したパピルス、粘土板に次ぐ第三の紙代替物。黄河文明。が、あえなく薪として燃やされた。
    【本須麗乃/もとす・うらの】→麗乃
    【モニカ】灰色巫女見習い。深緑色の髪を後ろでひとつにまとめている寡黙で真面目な性格。

    【ユッテ】フリーダんちの下働きの女性。
    【曜日】曜日のようなものもある。水の日、芽の日、火の日、葉の日、風の日、実の日、土の日があり順に繰り返される。土の日は安息日。
    【羊皮紙】マインが最初に見かけた紙のような物体。一枚でギュンターの月給くらい。
    【ヨハン】鍛冶工房の若い職人。腕はいい。仕事にこだわる完璧主義者だが遅い。

    【ラウラ】トゥーリの工房仲間。
    【ラルフ】ルッツの兄。トゥーリと同じ年の男の子。赤毛。子どもたちのまとめ役。たぶんそのままいけば将来的にはトゥーリの夫になれるかもしれない果報者。
    【リーゼ】ベンノの恋人だった人物でもう亡くなっている。その死後ベンノはもう結婚に対しての興味を失っている。商人としてもベンノと対等なパートナーになれるレベルだったようだ。商売に関する口喧嘩でベンノはリーゼに勝てたことがないらしい。ベンノにとってマインは娘のようなものでもあり、リーゼの生まれ変わりのような感もあるのかもしれない。三十歳くらいの歳の差があるので結婚はできなさそうだが。
    【リタ】トゥーリの工房仲間。
    【料理】マインはけっこう料理が上手い。麗乃だった頃は本しかよんでなかったのかと思ったら意外。本の知識だけでなんとかなるものではなかろうに。
    【ルッツ】マインと同じ年の少年。重要キャラの筆頭。マインの相棒となる。ラルフの弟。金髪で翡翠のような緑色の目。なんというかある意味色仕掛けでマインに利用されることになりマインの世話役として長く苦労を共にした。旅商人になるのが夢だが壁は大きい。マインの秘密を知った最初の人物。《だから、オレのマインはお前でいいよ》第三巻p.182。順調ならマインと結婚する相手候補No.1だが、貴族としか結婚できそうにないマインの立場からすると難しい。
    【ロジーナ】灰色神官の一人。楽器の演奏が得意。綺麗な顔立ち。マインの側仕えとなりフェシュピールを教える役目を仰せつかるが他のことをまったくしようとしないので他の側仕えと軋轢が発生。マインにとってはお嬢様ふう振る舞いのためのお手本となる。

全59件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

香月美夜(かづき みや)
小説家。1月22日生まれ。中学2年生の頃より小説を書き始め、社会人となり結婚後、子どもの世話がひと段落してから執筆を再会。2013年より小説投稿サイト「小説家になろう」で『本好きの下剋上』を公開して人気作品となる。2015年にTOブックスより書籍化され一般誌デビュー、シリーズ化される代表作になる。同作シリーズは累計100万部を突破し、「このライトノベルがすごい! 2018&2019」2年連続第1位に輝き、テレビアニメ化も決定した。

香月美夜の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×