背守り ― 子どもの魔よけ (LIXIL BOOKLET)

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制作 : 住友和子編集室  村松 寿満子  祖父江 慎  鯉沼 恵一  石内 都 
  • LIXIL出版 (2014年3月11日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (80ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864805087

背守り ― 子どもの魔よけ (LIXIL BOOKLET)の感想・レビュー・書評

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  • 「背守り」とは子どもの魔よけ。
    背縫いのない子どもの着物に、縫い目を施し、背後から忍び寄る魔を防ぐという風習。

    近世以前の日本では、3人に1人以上が5歳までに命を落としていた。お産で亡くなる母親も多かった時代だ。常に生と死が隣り合わせにあった。背守りは、子どもの無事成長を願う心が形象化されたものと言える。

    日本人が「背」というものに対してどんな観念を抱いていたかなどの考察は、とても興味深い。
    無事丈夫に育った子どもや長命な老人の古着の布を寄せ集めてつくる「寄せ着物」など、浮かんでくるのは強烈な親の愛情ばかりだ。

    色とりどりの着物の写真の美しさもさることながら、よくぞここまで集めたものと感心する。良書。

  • INAXの趣味の本シリーズ4冊・その1
    <写真の本>
    ●背守り ― 子どもの魔よけ
    ●山と森の精霊 高千穂・椎葉・米良の神楽
    ●文字の博覧会―旅して集めた"みんぱく"中西コレクション
    ●考えるキノコ 摩訶不思議ワールド

    INAXの趣味の本シリーズです。
    どれも内容はハイレベル。
    魅力的。
    なにせデザイナー、確か祖父江真だから。
    他にはないものばかりなので、公共は全部買い!
    学校はいるものだけ買えばいいでしょう。
    ネット見たらリスト、でてくるよ。

    2017/02/16 更新

  • 霊魂の世界との境界としての背中を守るためのもの、という論考がおもしろかった

  • 大阪のLIXILギャラリーで3月から5月までやっていた「背守り 子どもの魔よけ展」にあわせて刊行された、LIXILブックレット。会期中に展示を3度見にいって、このブックレットに掲載されている背守りなどの実物をじっくり見た(ブックレット掲載の写真は、石内都による)。

    「背守り」とは、背に縫い目のない子どもの着物は背後から魔が忍び込むと思われていて、それを封じるために背中に縫い取りや刺繍、ちょっと綿を入れた押し絵などをつけたもの。子どもが幼いうちに亡くなることも多かった時代に、健やかな成長を願ったもので、「背守り」のほかに、金沢のお寺に奉納されたものがいっぱいあるという「百徳着物」、お守り袋や迷子札など、子どもを守ろうとする心のこもった衣類が展示されていた。

    長寿の人がいるうちや、子どもの育ちがいいうちから端布をわけてもらって(=たくさんの徳をもらえるように)、集めた端布をつなぎあわせて着物にしたという「百徳」もよかった。

    展示で見たそんなんを反芻しつつ、小さな字でいろいろと書いてあるキャプションや、巻末に収録されている文章(佐治ゆかり「背守り、端縫い考」、夫馬佳代子「産着に託された願い」、鳴海友子「背守りを現代に継承する」、三瓶清子「ハギレの命を活かす百徳着物」)を念入りに読んだ。

    いろんな縫い取りとその伝承(たとえば「蝶」は幼虫から返信して成長するところから不死、あるいは復活のシンボルとして古来吉祥文の一つだったとか、唐辛子と多産の鼠の組み合わせは古くから子孫繁栄や豊穣のシンボルとされてきたとか)を読んでいると、このごろ綻びたシャツや靴下をときどきちくちくと繕っているので、ついでに私も自分で背守りの縫い取りをしてみようかな~と思った。

    子どもの着物は傷みが激しいので、背守りのついた古着が見つかることはなかなかないそうだが、そんな中でも「背守り」つきの子どもの着物を集めてきた鳴海友子さんが書く縫い目についての話は私には強く印象に残った。

    ▼…着物を一枚一枚丹念に見ていくと、昔の母親たちの姿が浮かび上がってくると鳴海さんは言う。
     「大きな針目でざくざく縫っているものもあります。縫い物は夜なべ仕事でしたから、暗い灯りのものtではどうしても針目が大きくなったのでしょう。また、すぐほどける粗い縫い目にしておいて、使い終わるとオムツなどに再利用したのかもしれません。…」(p.72、鳴海友子「背守りを現代に継承する」)

    ギャラリーの展示を見にいったときにも思ったことだが、このブックレットでも、とりわけ「母親」の願いや「母」の手仕事ということが強調されている。おそらく、実際に針仕事をしたのは多くの場合に母親だろうけれど(祖母など身内の女性という例もあったのではないかと思うが)、子どもの健やかな育ちを願うのは、そんなにも「母親」ばかりだったのだろうか?と考えてしまった。

    明治期には学校教育で使われた教科書にも背守りのことが記載され、「背守りを産着につける習俗は、当時では若き女性が結婚前に教養として身につける身近な生活文化であったことが窺われる」(p.70、夫馬佳代子「産着に託された願い」)というものであったことや、その後の教科書の記述が、背守りの刺し方の手順を具体的に示し、運針練習として位置づけられていき装飾技法の習得として記されるようになっていったことを知ると、もちろん親の願いもたしかにあっただろうけれど、同時に、いずれは母親になる存在である女性に必須の技術・教養として裁縫があった、ということも反映されて「母親」の強調になっているんじゃないのか?と思えた。

    お産で母親自身が命を落とすこともあった時代に、その子どもは別の大人たちに見守られ、育てられていただろうと思えばなおさらに。

    (6/21了)

    *「背守り 子どもの魔よけ展」は、東京のLIXILギャラリーで開催中
    2014年6月5日(木)~8月23日(土)10:00~18:00 
    休館日:水曜日、8/14-17
    入場無料
    http://www1.lixil.co.jp/gallery/exhibition/detail/d_002767.html?_ga=1.168920291.318561310.1403355006

  • 昔は、幼くして亡くなるということは今よりとても多かったのでしょう。「背守り」には母親や周囲の人たちの願いが込められています。

    「9つまでは神さまの子。10でやっと自分の子」とは「ペコロスの母に会いに行く」の中で聞いた言葉。

  • 背守り 子どもの魔よけ 展
    SEMAMORI  Stitched Amulets on the Back of Children’s Kimonos
    ギャラリー1(東京): 2014年6月5日(木)~8月23日(土) 休館日:水曜日□10:00~18:00 □入場無料
    http://www1.lixil.co.jp/gallery/exhibition/detail/d_002767.html

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    http://www1.lixil.co.jp/publish/book/detail/d_86480508.html

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