ひとり歩き

  • 幻戯書房
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864880176

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  • アメリカはセントルイス生まれの筆者が旅先や日常での街歩きを綴ったもの。日本に住んで長いというものの、ネイティブでない人にここまでの日本語を紡がれるともう完敗というか、ひれ伏したい気分。日本文化の研究者で有名大学の教授ともなるとこんなにも母語でない言葉を操れるものなんだな~と思いながら読んだ。

    本書は主に「アメリカ」「東アジア」「日本」の大きな3つの章に分かれている。個人的には「アメリカ」がとても興味深かった。というのも、ヨーロッパには何度も旅行に行ったのに、アメリカには行こうと思ったこともないくらい興味がなく、出てくる地名が聞いたことはあっても地理的な位置が全くわからず、(私のために載せてくれてると思われる)地図を何度も見ながら位置を確認して、ふむふむと思っても、次の都市に移ると、もう前の都市の位置を忘れているという有様だから、アメリカの諸都市の記述が新鮮でとても興味深かった。当たり前だけど、広大なアメリカは南北で気候が全然違うし、経済格差もあるし、南北戦争の傷跡というか信仰の違いというか文化的に根付いているものの違いみたいなものもあるんだと、文章を通じて初めての経験をした気分だった。アメリカに興味を持てないことに変わりはないけれど、世界経済を牽引する国についてもう少し知っておかないとと少し反省。

    そして「日本」の章では、筆者の冒険心に驚愕。いつも何か冒険を期待して、多くの人が臆してしてしまうようなことにも堂々と突っ込んでいく。美女に絡む酔っ払いに注意するとか、普通できない。高尾山に登ったその足で、赤羽、十条、王子と飲み歩き、最後にうちがある国立でも飲んで帰る、なんてそうそう真似できることではない。とにかく行動力のみならず行動量も素晴らしい。

    ちなみに、マイクさん、ジャズピアニストでもあるらしい。さらに尺八もできる。将棋や太極拳も趣味とのこと。色んな方面に興味があってしかもそれぞれ、そこそこできる人って、不器用な私にとってはまぶしすぎる。自分と違い過ぎて、人としても興味深いから、こういう人のエッセイは新鮮な気持ちでおもしろく読んでしまう。

    最後に、通勤も、近くの商業施設にも車で行っちゃう私が言うのもなんだけど、「散歩」っていい趣味だなと思う。もう少し時間ができたら散歩を趣味にしたいなぁ・・・。

著者プロフィール

1956年生まれ。シカゴ大学大学院東アジア言語文明学研究科博士課程修了(Ph.D.)。現在、早稲田大学教授。専攻は日本の戦後文化史、日本近現代文学。
著書に、『戦後日本のジャズ文化』(青土社、サントリー学芸賞受賞)、『ジャズ喫茶論』(筑摩書房)、『日本の居酒屋文化――赤提灯の魅力を探る』(光文社新書)などがある。

「2016年 『日本文化に何をみる?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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