疎開した四〇万冊の図書

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著者 : 金髙謙二
  • 幻戯書房 (2013年8月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864880305

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疎開した四〇万冊の図書の感想・レビュー・書評

  • 有川浩の『図書館戦争』シリーズはメディア規制と闘う図書隊を描いた
    小説。映画化された時、図書館内での戦闘で本が犠牲になっている
    映像を見て「本を粗末にするなっ!」といや~な気持ちになった。

    本書は同名のドキュメンタリー映画の書籍化。上記の小説は「図書
    館での戦争」だけれど、これは実際にあった「図書館の戦争」である。

    先の大戦で日本本土へのアメリカ軍の空襲が激烈になった昭和20年。
    図書という文化が戦火の犠牲にならぬよう、大量の本を疎開させた
    記録である。

    「読み物」というよりは本当に「資料集」という作品である。手に取った
    のは「読み物」を期待したからなので、その点では少々肩透かしだ。

    だが、これはこれで貴重な記録と言えるだろう。メインとなっているのは
    都立日比谷図書館なのだが、日本各地の図書館が所蔵する図書を
    いかに戦災から逃れさせるかに苦心した様子が興味深い。

    日本の敗戦濃厚な戦争末期。本を梱包する資材さえ不足していた
    時代に、文化を守り、保存しようとした人々の証言記録は貴重だ。

    若い男性は兵隊に取られ、40代以上の職員や高等中学校の生徒が
    梱包した本を大八車に積み、あるいはリュックに詰めて背負い、何
    往復もして東京郊外に本を運んだ。

    それは図書館所蔵の本ばかりではない。一般市民や研究者から
    貴重な図書を買い上げて疎開させている。

    この買い上げ図書の協力者として登場するのが古書店・弘文荘
    店主であり、日本の古典籍の第一人者でもある反町茂雄。まさか
    ここで反町氏の名前を目にするとは思わなかった。

    古書店主として一時代を築いたのは勿論、多くの著作を残しており、
    そこにこの日比谷図書館の話を綴っていたとは知らなかった。

    戦争とは異なるが、東日本大震災の時、避難等が一段落し、衣食
    住がある程度の安定を見せた後に望まれたのは読み物だったと
    聞く。人間は文化に触れていないと、胃は満たされても心と頭が
    満たされないのだろうな。

    「文化や貴重な文献を守るということは、図書館員だけがいくら
    一生懸命やってみても、また図書館がどんなに力を入れても
    結局はだめで、文化財を完全に戦禍から守るためには戦争を
    やめること以外にはないのではないでしょうか」

    図書疎開に携わった人の言葉である。そして、イラク戦争時に
    バスラの図書館員だった人の言葉を。

    「私にとって本は子どものようなものです。戦争で焼けている
    のは私の子どもたちなのです」

    苦労しながら疎開させた図書。だが、それは戦後になってGHQ
    がその一部を処分することになる。

    このテーマ、誰か「読み物」に仕立ててくれないだろうか。本書は
    本書で資料として保存したいのだが、物語にしてくれた方が
    読みやすいかもしれない。

  • 富山県立図書館についても、ちらっと出てきて、家族で話題になりました。

  • 明治期の開館のエピソードでは「日英文庫」呼ばれた10万冊の洋書コレクションは親日家エリザベス・ゴルドン夫人が集め、寄贈されたとのこと。このような英名門の女性の友情があって生まれた所蔵だったのだ。そして戦争により全焼した図書館が全国、東京でいかに多かったか!そして疎開させた図書館もまた数多い。改めて戦争が文化を滅ぼすものであると感じた。その中で蔵書および文化人から買い取った40万冊を都心から多摩まで運んだ大プロジェクトに携わった人たち、中心になった館長・中田邦造だけでなく、そして大八車を引いた東京一中などの学生たちの物語りに拍手。どのような本(文化財そのものの古書)が疎開したかの紹介も詳しい。一方、20年5月25日の全焼により焼失した本も約40万冊、ゴルドン寄贈本も失われたという。永遠に失われた歴史!。文化を守ることを考えさせられる。

  • <スタッフより>
    【『疎開した40万冊の図書』をもっとよく知るために】

    金高謙二監督によるドキュメンタリー映画の書籍版。
    ドキュメンタリー映画を制作するための調査をベースに、図書館蔵書と民間から買い上げた貴重本を戦火から守った、旧 都立日比谷図書館を中心とした人たちの記録が淡々と綴られる。

    --------------------------------------
    所在記号:016.213||カネ
    資料番号:10222821
    --------------------------------------

  • 中田邦造という人物についてさらに詳しく知りたくなった。

  • 資料番号:011543014
    請求記号:016.2カ

  • 日比谷以外の日本の国立・公立・大学図書館での資料の疎開についてまとめてあり、資料としても価値のある本。

  • 後の空襲によって消失した都立日比谷図書館の40万冊の蔵書を疎開させ、日本の記録・文化を守った人々の話。僕の生まれは静岡県清水市だが、この市立図書館も、空襲で全館全蔵書が消失していたのだと。今暮らす浜松でも、建物と35000冊の蔵書が空襲で失われている。40万冊というと、今の浜松城北図書館の蔵書と同じぐらい。これを、戦時下に学生が人力で運んだという。他にも各地の図書館の疎開状況やら、そして戦後のGHQによる図書館への介入。出てくるのは図書館の本だけではなく、個人の貴重な蔵書も買い上げて疎開する。現代の図書館にそれだけの切迫さは当然無いが、まあおよそ空襲などにも怯えず毎日本を読んでいられる環境に安堵している。有事に何が出来るだろうか、という気持ちが少し起き上がってくるのだけど、それはなかったことにしてしまって…。

  • 戦時中の都立日比谷図書館を中心とした40万冊の図書疎開事業に関わった中田邦造の半生にスポットを当て、同名の映画化を行った金高謙二監督により著された本。読み物というよりは記録集に近い。

  • 人名を賭してでも文化財を守る必要があるのか。アメリカ映画『大列車作戦』は敗戦色濃いナチスが、ルーブルの宝物を運び去ろうとするのを妨害する人々の話だという。この中で、命をかけても文化財を守りたいという女性が出てきて、やがては他の仲間をその運動の中に引き込む。本書は、アメリカの本土空襲を前に、旧都立日比谷図書館の40万冊の本を救った図書館長中田邦造と管理掛長の秋岡梧郎の物語である。そして、物資のみでなく、運搬手段も逼迫していた当時、これだけの図書をリュックや大八車で運搬したのは、現日比谷高校の生徒たちだった。もっとも、敗戦を前に、機密に属する図書は日本人によって焼かれたし、敗戦後は進駐軍の手によって、今度は国体に関する本が焼かれた。図書は誰に利用されるか、どう利用されるかを問わず存在すべきものであるが、それを不都合とするものによって処分される運命にあるのである。図書疎開に際し、当時の図書館は民間の貴重書を買い上げた。その中心となったのは弘文荘の反町茂雄を中心とする東京の古書店主たちだったという。ぼくは一時、日比谷図書館の実藤文庫を利用しによく通っていたが、それはこうした人々がいたおかげだったのである。

  • 素晴しいね!

    幻戯書房のPR
    「戦火から本を守った人たちがいた
    太平洋戦争末期、大八車を押し、リュックを背負い、何度も貴重な本を運んだ人々がいた。旧都立日比谷図書館を中心とした記録。」

    ※表紙の写真について以下のように書かれています。
    「疎開した四〇万冊の図書
    のカバー表1です。
    本書は、戦時中、旧日比谷図書館の蔵書や民間から買い上げた貴重本を多摩や埼玉に疎開した人たちを描くドキュメンタリー作品。カバーの写真の格子は、疎開先の蔵の内側から撮った画像。牢獄ではありません。

    本書のタイトル中の「四〇万冊」、「40万冊」と表記で、案内しましたが、漢数字四〇に統一いたします。」
    http://genkishobo.exblog.jp/19386919/

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疎開した四〇万冊の図書の作品紹介

太平洋戦争末期、大八車を押し、あるいはリュックを背負って、何度も、貴重な本を運んだ人々がいた-。旧都立日比谷図書館を中心とした記録。

疎開した四〇万冊の図書はこんな本です

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