夢のなかの魚屋の地図

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著者 : 井上荒野
  • 幻戯書房 (2013年12月21日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864880374

夢のなかの魚屋の地図の感想・レビュー・書評

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  • 自分のお気に入りの作家の新刊がエッセイだと知った時がっかりすることがしばしばある。
    私はこの人の小説が読みたいのにと。
    その点、井上さんは本作が初のエッセイ集だと言う。そういえば読んだことがなかった。
    機が熟すのを待って(?)の出版。こういうの好きだな。

    意外って言うのも変だけど割と普通の人なんだなぁ。
    彼女の描く物語がエキセントリックなものが多いだけに、もっときわどい感性を持っているのかと勝手に想像していた。
    夫とは単なるパートーナーで不倫も公認とか言っちゃうのかと思っていた(笑)

    しかしながら文章の巧さは小説よりむしろ際立っているように感じた。
    ますます好ましい。

    作家である父への思い、夫との生活、料理へのこだわり、時折出てくる好きな音楽、そしてあの肉の会。
    井上さんさんの一ファンとして余すことなく楽しめた一冊。
    次のエッセイもぜひゆっくりとまとめていただきたい。わがままな要望ですが。

  • 「荒野」って本名だったのか!
    …という衝撃が一番強かったエッセイ集。

    今まで井上荒野さんの作品は短編を1つ読んだことしかなかったのですが、料理が美味しそうだったという印象が残っています。
    美味しそうな文章を読みたい欲とタイトルの吸引力に惹かれて読んでみました。

    期待に違わない美味な描写がたくさんありました。
    鰤かぶら、アイリッシュ・シチュー、筍の"とん先"…ううん、お腹が鳴ってしまう!
    また、同じく小説家だったお父様をはじめとした家族のことを取り上げたエッセイもすてきでした。
    家族の情景に高確率で美味しいものが登場する、ということがうらやましかったです。

    24年間のあいだにいろいろなところに発表されたエッセイを集めた本なので、20代後半から50代になるまでの1人の女性の歩みをたどることができるのも、個人的には魅力的でした(時系列はばらばらですが)。
    将来的に結婚して夫と暮らし始めたときに、本書の内容をいろいろ思い出すんだろうな、という予感。

  • 時々読む井上荒野さん。エッセイ今まで出してなかったのですね。

    文章が淡々としていて味わいがあります。やはりお父さんや妹さんなど家族のことを書いた文章が特にいいなと感じましたね。
    今まで書いてきた25年?分のエッセイですから、文章の配置は順不同ですが時の流れも感じられます。

  • 著者の小説は全て読んでいるけれど、普段雑誌の類を読まないこともあってエッセイはほとんど初めてかもしれない。(なるほど初のエッセイ集とのこと。)人の名前に興味があり、著者の"荒野"という名が好きで、父親である井上光晴氏の命名であることも、さらに妹がいることも知っていたから、ずっと妹さんの名前が知りたくてたまらなかったのが本作で氷解。また『ひどい感じ 父・井上光晴』を読んだ時に比べ、実際の生活は意外にも(?)それぞれが労りに満ちていたのかもしれないなぁという印象を受けた。育ってきた家族のことの他にも、御主人とのことがたくさん書かれていたり、想像以上にしっくりきて読み返したい一冊となった。

  • エッセイってほのぼのしたりしみじみしたりくすくすしたりするものだ。その中で荒野さんのは読み進めていくうちに素足で砂漠の砂嵐の中に踏ん張って立っていて、頬を砂粒が叩いていく感覚を一粒も逃さずに感じているような心持ちになる。特に「庭」というエッセイを読んだ後では。

  • 井上光晴氏の長女として産まれた二世作家エッセイから、書けなくなったころが入り、父を亡くし、しっかりと物書きとしてひとり立ちしていく、28歳のデビューから24年間のあらゆるエッセイを集めた一冊。
    お父様への愛や尊敬、そしてお父様からの愛が溢れてて最初の頃ちょっとうるってなった。
    直木賞受賞されたときに切羽というのは妹の名前と聞いて素敵だなぁと思ったけれど、いまこうして改めて読んでもやはり素敵だなぁって。荒野さんの書くものが好きな人には満足できるエッセイ集です。

  • ロシアのコロッケって、、、

    幻戯書房のPR
    「家庭を持つことが苦手な父、作家・井上光晴。二世作家であることを乗り越え、自身も作家として確立していく中での思いを綴る。母のこと、妹のこと、夫のこと、猫のこと、そして、もちろん、
    焼き豚ときゅうりのサンドウィッチ、揚げたてのドーナツ、アイリッシュシチュー、ロシアのコロッケ、鰤かぶら、土鍋でごはんなどこだわりの食について。
    来年、作家生活25周年をむかえる直木賞作家の初めてエッセイ集。
    (新聞・雑誌に掲載のエッセイより読み応えのある作品を精選)」
    http://genkishobo.exblog.jp/19956423/

  • 久しぶりに出会った私好みのエッセイ。
    父(井上光晴)の事、夫の事、猫の事、日常の出来事を淡々と描いていて、大袈裟なところはひとつもないけどクスッと笑えたり。特に料理に関する話には共感するところが多かった。変にまとめようとしない話の締め方がとても好き。

  • 2017/01/16 「なにをそんなに」「一頁目しか読まない男」

  • 短編「帰れない猫」が印象的だったので、こちらのエッセイを。
    作家・井上光晴の元に生まれ、「人は何ものかにならなくてはいけない」という彼の信条に応えるようにして自らも作家となった娘。作家の道を選ぶまでの焦りや葛藤、その道を歩き続けることの難しさが綴られる。
    創作観から日常まで、二十四年分のエッセイが集められており、中でもやはり父とのエピソードは別格で目を引く。母や妹も含めて、互いに親愛を抱きながらも今にも擦り切れそうな綱渡りをしている家族。
    「最後」……私自身も、時折知らぬ間に消えた物事の最後はいつだったのだろうかと胸が切なくなることがあるので、著者が同じことを感じていて嬉しく思った。
    「豆」の一篇は、何ということもない日常ながらしみじみ可笑しい。煮るまで気になり、煮えたら煮えたで困る豆。
    今日も荒野さんは(どうしようあの豆……)と思いながら亡き父の言葉にならい、自分なりの何ものかになるためペンを握っているのだろう。(カズハ)

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夢のなかの魚屋の地図の作品紹介

小説家の父の口ぐせ、台所の母、書きつづけることへの決意。初エッセイ集。

夢のなかの魚屋の地図はこんな本です

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