ハネギウス一世の生活と意見

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著者 : 中井英夫
  • 幻戯書房 (2015年3月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864880671

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ハネギウス一世の生活と意見の感想・レビュー・書評

  • 単行本未収録エッセイ選集+α。
    予め著者の小説作品を読み、また、
    ある程度、人物に纏わる情報を得ていないと
    入り込みにくいかもしれないし、値段も高めなので、
    コレクターズアイテムの一種かと。
    大部分は
    幻想文学出版局『中井英夫スペシャル』(Ⅰ)(Ⅱ)と
    何冊か持っている三一書房版全集の後書きで既読。
    しかし、こうして一冊にまとめられてみると、
    いろいろな意味で、つくづく「重い」。

    カバー写真は故人が愛した
    世田谷区羽根木にあった、かつての家。
    その昔、住所番地を突き止め(案外簡単に調べがついた)
    ある日曜の午後、こっそり様子を窺いに行ったことがある。
    ファンレターを添えて花束なりワインなり
    捧げてくればよかったのに……と、
    今頃悔やんでも詮無い話。
    でも、天国の貴方はご存じなくても、
    私は勝手に貴方を心の師と仰ぎ続けています。

    五月になりました。
    薔薇のシーズン、そして、喪服の季(とき)ですね。

  • 『そもそもが“殘酷物語”の目次を一瞥しただけで、この作家が何を考え、この訳者が何を難じているかが察しられ、それまで読み耽ってきたもののすべてが虚しくなるほどの衝撃を受けたという方が近いであろう。』リラダン著“残酷物語”の訳者 齋藤磯雄に対してだけ中井英夫は先生という尊称を使った。誰に対しても、例えば日夏耿之介に対してさえ先生と呼ばなかったのに。本書は江戸川乱歩や三島由紀夫、澁澤龍彦の名前が連なり、時代の豊潤さと屈折した中井英夫の感情が絡みつく。読書中、僕は冒頭の鈍色に支配された。とても虚ろな色に染まった。

  • 黒峠とふ峠ありにし あるひは日本の地図にはあらぬ
     葛原妙子

     「戦後短歌界の名伯楽」と語り継がれている、中井英夫。短歌総合誌の編集長として、中城ふみ子や寺山修司、塚本邦雄らの才能を開花させ、評論においても、菱川善夫や上田三四二らを世に送り出した。

     その後、小説「虚無への供物」を書き上げ、ロングセラー作家として活躍したが、現代短歌史は中井英夫の存在なくしては語れないことも、紛れのない事実と思う。

     1993年、71歳で没した中井だが、全集未収録エッセーや評論が「ハネギウス一世の生活と意見」として刊行され、幅広い体験から抽出された「意見」を、今、ほれぼれと傾聴しているところである。

     「ハネギウス一世」は、中井が長く暮らした世田谷区羽根木にちなんだ命名。「生活と意見」は、伊藤整の小説「得能五郎の生活と意見」をもじったタイトルだろう。

     西欧紳士ふうのウイットに富んだ言い回しにも魅了されるが、時折、箴言のような問いも投じられ、はっと息をのむ。たとえば、「『出口なし』に対して『入口なし』という発想は日本語にないものだろうか」など。
    おそらく、「出口」「入口」が問題なのではなく、「なし=無」という状態自体を問うた一文なのだろう。

     掲出歌は、中井が敬愛し、本書でも数首引用されている女性歌人の作。かつて「黒峠」と呼ばれる峠がどこかにあったが、「日本の地図にはあらぬ」ものかもしれない―そんな「無」を、中井英夫は、生涯考察し続けていたのだろうか。

    (2015年5月10日掲載)

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ハネギウス一世の生活と意見の作品紹介

異次元界からの便りを思わせる"譚"は、いま地上に乏しい。-時代の現実を裏返す反世界の作家が生涯求めた"博物学的精神"の行方とは。『虚無への供物』から半世紀を経て黒鳥座XIの彼方より甦った、全集未収録の随筆・評論集。

ハネギウス一世の生活と意見はこんな本です

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