死者の花嫁 葬送と追想の列島史

著者 :
  • 幻戯書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864880794

感想・レビュー・書評

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  • 佐藤弘夫さんは、1953年宮城県生まれ。
    2021年3月現在、東北大学大学院文学研究科教授。

    3月6日の聖教新聞に、同教授へのインタビュー記事が載っていた。

    その中で、近代は、死者を遠ざけていると。

    例を挙げれば、葬儀の簡素化など、死んだ人と時間をかけて付き合うことが少なくなっている。
    その結果として、死を極端に恐れるようになっている。

    で、近代以前はどうだったかというと、例えば、山形県鶴岡市の三森山。
    ここには、この山に登れば死者に会うことができるとの言い伝えがあり、死者とは年に1回必ずここで会える。死は終わりではなく、次の生への移行期であるとの世界観が、人々の安心感になっていた、とのこと。

    そうだよなあ、と思う。

    なお、今回の本、『死者の花嫁 葬送と追想の列島史』は、読んではいない。

  • 興味深い。日本における死者との付き合い方、葬送文化のダイナミックな変遷の概説。
    非常に読みやすく、事例も論も明確でわかりやすい。論の新規性については何とも言えないですが、どんな論点があるのかどんな考え方があるのか概要を掴むには非常によい本。
    最後の方の現代の葬送についての記載はちょっと感情が入って随筆的かなと思いました。

    (記憶をたよりにした備忘メモ。)
    ・近代の葬送に関する感覚や文化は、必ずしも連綿と続く日本の死生観とは言えず、大きく変遷してきている。
    ・死者はどこにいるかという捉え方が時代により変わってきた。
    ・死者の居場所は常世であったのが、中世以降はより身近に。具体には、寺院の墓に移ってくる。
    ・死者は、個人が管理し会いに行ける場所に存在するようになる。
    ・近世以降の生者と死者の関係を死者との契約という捉え方で説明。死者が身近になり、自分の先祖を供養することで、死者をなだめ死者が生者の世界に出てこないようにする。
    ・よって墓や遺骨を大事にするスタイルに変遷。
    ・関連して、特に江戸時代以降には、霊の出現する物語に変化が現れる。いわゆる怨みを果たすという因縁話が主流に。死者との契約を果たしていないことが、
    ・山が死者の居場所という考え方がある。山が清浄な場所という考え方は古代から継続しているが、山の頂に祀られるのは一部の神と同一視されるような魂のみであった。山はあくまで通過点であり、死者の最終的な居場所が山というわけではない。
    ・現代においては、家制度が形骸化するとともに、死者との付き合い方は、より個人的なものに。

  • 国際社会論の参考書

  • 「日本人は骨を大切にする」「死者が身近に留まる」という日本人の特徴と思われた死生観が、たかだか300年ぐらい前に形成されたという。
    何事も思い込みは厳禁だ。

  • 日経新聞 9.13.15 書評
    『死者のゆくえ』の著者。
    http://booklog.jp/item/1/487294500X

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著者プロフィール

東北大学大学院教授

「2009年 『日本文化論キーワード』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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