ナショナリズムの昭和

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著者 : 保阪正康
  • 幻戯書房 (2016年10月21日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (715ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784864881005

ナショナリズムの昭和の感想・レビュー・書評

  • 700ページ超の大著である。「ナショナリズム」をキーワードに、
    昭和史を分析しているのだが、私の頭が内容の濃厚さに追い
    つけずに人物や事件を何度調べ直したことか。

    「ナショナリズム」の定義は様々あれど、保坂氏は上部構造の
    国家ナショナリズム=支配階層主導の国権の守護・国権の伸長・
    国威の発揚とし、下部構造の共同体ナショナリズム=郷土愛・
    愛国心、民衆の生活倫理や規範・自然との共生・伝統文化継承・
    死生観として分けて考えることを前提としている。

    上部構造と下部構造の間に明確な線引きがあったはずなのだが、
    それが太平洋戦争へと進むと恫喝と甘言によって下部構造を抑圧
    して飲み込んで行った。

    昭和初期から戦後は勿論、平成に至るまでを分析しているのだが、
    やはり戦前・戦中・戦後を通して、昭和天皇という方はどんな政治家
    よりも政治家であったのだと改めて思う。

    2.26事件の詳細な分析、事件後に台頭した新統制派による思想なき
    暴走、問題となった田母神論文は気持ちいいほどのぶった斬り。結局、
    田母神氏も、大作家・百田尚樹センセイと一緒で「雰囲気保守」なんだ
    よな。

    そして、安倍晋三の歴史観にも触れているのだが、この人は祖父で
    ある岸信介の劣化コピーでしかない気がして来た。保坂氏はきちん
    と分析しているのだが、私には安倍晋三がしっかりとした歴史観が
    あるとは思えないんだよな。

    日本は何故、戦争に向かったのか。そうして、何故あの戦争に負けた
    のか。ここをきちんと検証しないままに過ぎてしまったことに過ちが
    あるのではないかと思う。

    加害者として、敗者としての歴史をちゃんと把握しておかなければ
    いけないんだよね。「敗戦」を「終戦」と言い換えることで、何かを
    誤魔化して来たんじゃないかな。

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