桜前線開架宣言

著者 :
制作 : 山田航 
  • 左右社
4.11
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本棚登録 : 505
感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784865281330

作品紹介・あらすじ

石川美南、小島なお、雪舟えま、笹公人、黒瀬珂瀾、笹井宏之、中澤系――。若い才能が次々にデビューし、いま盛り上がっている現代短歌の世界。その穂村弘以降の全貌を描き出す待望のアンソロジー! 歌人・山田航が40人を撰び、作品世界とプロフィールの紹介に、アンソロジーも付して徹底解説! 学生短歌会など現代短歌のいまがわかるコラムとブックガイド付。

感想・レビュー・書評

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  • 1970年以降に生まれた歌人、40人のプロフィールと歌が見開き4ページずつ載っています。

    短歌の本でこれだけたくさんの歌と歌人が載っていて税別2200円というのはもの凄くお買い得感のある一冊です。

    短歌を読んだり、詠んだりされる方は、穂村弘さんの『はじめての短歌』が教科書とすれば、この『桜前線開架宣言』は副読本として手元に一冊あればいいかと思います。

    ページ数は270ページしかないのですが、短歌はひとつひとつ気持ちを切り替えて読まないといけないせいか、読むのに足掛け4日かかりました。

    コラムも
    ・歌集の入手方法
    ・歌集ってどういう出版社から出ているのか
    ・学生短歌会って何?
    ・口語と文語はどうちがう?
    など充実していて、巻末にはブックガイドもついています。

    現代短歌のBibleといってもいい本かと思います。

    こうしてまとめて何人かの歌人の歌を読むと、それぞれの歌人のカラーがはっきりわかってきました。
    短歌って、ただ単に語呂合わせしているのではなく、相当奥深いものだと思いました。

    歌人はどういう独自の視点で歌を詠むかという命題を皆、持っているということがよくわかりました。

    • まことさん
      ベルガモットさん。こんばんは♪
      今、Twitterを見ていて知ったのですが、今日3月14日の夜7時半からのNHKクローズアップ現代は、「短歌...
      ベルガモットさん。こんばんは♪
      今、Twitterを見ていて知ったのですが、今日3月14日の夜7時半からのNHKクローズアップ現代は、「短歌」だそうです。東直子さんが出演されるそうです。
      お知らせまで!
      2023/03/14
    • ☆ベルガモット☆さん
      まことさん、貴重な情報ありがとうございます!
      急いで録画しました。観るのはあとになりそうですが、とても楽しみです!!!
      まことさん、貴重な情報ありがとうございます!
      急いで録画しました。観るのはあとになりそうですが、とても楽しみです!!!
      2023/03/14
    • まことさん
      ベルガモットさん♪

      今、番組、終了しました。
      面白かったです。
      短歌は、令和になってかなり流行り始めていたのですね!
      全然知らなかったです...
      ベルガモットさん♪

      今、番組、終了しました。
      面白かったです。
      短歌は、令和になってかなり流行り始めていたのですね!
      全然知らなかったです。
      この間、張飛さんが、レビューされていた、『老人ホームで死ぬほどモテたい』がまず、大きく出てきて、大爆笑でした。
      でも、短歌をされている方は、皆さん真面目そうで…。
      東直子さんに、選ばれた歌は、とても素敵で、これはとてもかなわないなあと思いました。
      東直子さんの選歌はまだ、あと6日間(だったかな?)募集中だそうです。
      番組の感想まで。
      2023/03/14
  • 歌人・山田航さんが1970年以降生まれの短歌紹介と歌人たちを解説。コラムでは歌集出版社や現代短歌の流れも網羅。アンソロジーで断片的に知ってた事がつながってより短歌を追いかけたくなった。大松達知、中澤系、石川美南、花山周子読みたい。

    • しずくさん
      二日前、7月18日の朝日新聞歌壇で、山田航さんが短歌時評を書いていました。『棒立ち歌』再考 というタイトルでした。穂村さんが素朴な口語短歌を...
      二日前、7月18日の朝日新聞歌壇で、山田航さんが短歌時評を書いていました。『棒立ち歌』再考 というタイトルでした。穂村さんが素朴な口語短歌を「棒立ちの歌」と評したのに対して、彼は新しいリアリズムであると言いたかったのを気付けなかったと。山田さんによると現在は「自撮り」の歌も見られると、意外な視点で書かれていました。
      本作を読まねばとますます興味がわいています。
      2021/07/20
    • 111108さん
      朝日歌壇の山田さんの評、私も読みました。「自撮り歌」なるほどなあと思いました。山田さんの視点なかなか鋭いですね。
      朝日歌壇の山田さんの評、私も読みました。「自撮り歌」なるほどなあと思いました。山田さんの視点なかなか鋭いですね。
      2021/07/20
    • しずくさん
      ご覧になっていたんですね。思いを共有できてとても嬉しいです。
      ご覧になっていたんですね。思いを共有できてとても嬉しいです。
      2021/07/20

  • 初めての歌集。短歌の知識は「国語の授業でそんな単元があったなあ」くらいのレベル。Twitterで素敵な短歌が流れてきて興味を持っていた所に図書館で見つけて、借りてみました。


    正直まったく理解できない歌もたくさんあったけど、見開きにいくつかは本を脇に置いて世界に浸りたくなる歌もあって、めちゃくちゃ時間をかけて読みました。

    映画や小説のワンシーン、いや、映画や小説が一本作れるような情報密度の高い歌が2000首以上。もう感情が大渋滞。しかも40人の歌人それぞれに編者の解説付き。とても贅沢な本でした。

  • 1970年以降に生まれた40人の歌人がピックアップされてる

    初心者としてとにかく短歌を数浴びたい自分としては最高のアンソロジーでした

  • ◯ 新しい町で暮らせば新しい自分になれる(はずもないのに)
    松村正直(24p)

    ◯ 七百円の中トロを食ふ束の間もわれを忘れることができない
    田村元(114p)

    ◯そんなわけないけどあたし自分だけはずっと16だと思ってた
    加藤千恵(173p)

    ◯忘れずにいることだけを過去と呼ぶコットンに瓶の口を押しあて
    大森静佳(237p)

    ◯喪、とふ字に眼のごときもの二つありわれを見てをり真夏真夜中
    吉田隼人(250p)

    ★1970年以降生まれの歌人40人の短歌がまとめて読める。意外にも面白くて恐れをなして引き返した。いつかもう一度訪れたい。

  • 若い歌人たちの紹介。

    鮮烈。

    今は亡き、中澤系。

    ”3番線快速電車が通過します理解できない人は下がって”

    歌集の最後の。

    ”ぼくたちはこわれてしまったぼくたちはこわれてしまったぼくたちはこわ”

  • 山田航(1983年~)氏は、立命館大学法学部卒の歌人。角川短歌賞、現代歌人協会賞等を受賞。短歌誌「かばん」「pool」所属。
    本書は、1970年代以降に生まれた現代短歌歌人40人について、それぞれの作風や現代短歌界での位置付け等についての評論と短歌各56首を紹介したアンソロジーである。著者は、20代半ばから足掛け5年に亘って、ブログ「現代歌人ファイル」で200人以上の歌人を紹介してきたが、その中から特に気に入った40人を選び、内容については全て書下ろしている。また、姉妹本となる瀬戸夏子の『はつなつみずうみ分光器 after 2000 現代短歌クロニクル』が2021年に出版されているが、本書には、同書が取り上げている穂村弘、枡野浩一や最も若い世代は含まれていない。
    私は50代の会社員で、最近短歌に興味を持ち始め、俵万智、穂村弘、東直子、木下龍也等の歌集や短歌入門書を読み、半年ほど前から新聞短歌に投稿している(最近ぽつぽつ採用もされるようになった)ものの、全くの自己流のために不安を覚えていたところで、書店で本書(と、上記の『はつなつ』)を目にして迷わず購入した。
    即買いした理由は、40人の歌がまとめて読めるというお得感(合計2,000首以上!)もあるが、何より、各歌人についての評論が役に立つと思ったことによる。
    そして、一通りページを繰ってみて感じたのは(全くの短歌素人ゆえだろうが)、かくも多様な型の歌を詠む歌人がいることの驚きと、かくも多数の全くわからない歌があることの不思議と、やっぱりこれは面白いと思える歌人がいることの喜び・安心感だった。
    その中で最も参考になったのは、岡野大嗣と木下龍也のところに書かれた「個の詩型」と「場の詩型」という見方・分析であった。岡野について書かれたそれは、以下のようなものである。
    「第一歌集『サイレンと犀』のあとがきには、「僕の短歌は、岡野大嗣という人間のモニュメントになんてならなくていい。」と綴られている。これは近代短歌の精神に真っ向から歯向かう考え方だ。近代短歌は「読み人知らず」の精神を否定し、「ここにかけがえのない僕がいる」と叫ぶことを是とする「個の詩型」だ。そして現代短歌もおおかたはそれを踏襲する。しかし岡野は、「僕の存在」を叫びたいのではなく、「ふとした瞬間に兆した何らかの感情」を共有する超時空のコミュニティを作るために短歌を提出しているようだ。「個の詩型」ではなく、「場の詩型」としての短歌を志向している。こうした姿勢は、短歌のポストモダンへの一つの回答となりうるだろう。」
    また、木下についても、「その作風も、「個」よりも「場」を重視し、作者のオリジナリティとか「内面」なんてものをはなから信じない。ポストモダン的な態度としてごく自然なものだ。」と書かれている。
    私にとっては、歌についても、40人の中で岡野と木下が最も面白く、共感を覚えたのだが、それには上記分析のような裏付けがあることがわかったし、自らもそのような視点・アプローチで歌が続けられればと意を強くすることができた。
    様々な若手現代短歌歌人に触れて、自分に合う歌・歌人・読み方・詠み方を見つけることができる好著といえるだろう。
    (2021年12月了)

  • 脇道に字数さきすぎてない(フラワーカンパニーズとか)ってたまになるけどすごいわかりやすくて楽しい筆がのってるところはファンになってから読んだら楽しいんだろうな
    色々な短歌を知れて良かった
    瀬戸夏子のレディメイド的サンプリングは面白い。切り抜かれると判然としない説明的な言葉は理屈っぽさが残ってる感あるけど(正岡子規かぶれ並感)一連の作品として触れてみたい
    小島なおの良さとか素直に好き
    野口あや子少し啄木感じてたらかなしき玩具譚
    服部真理子好き
    木下龍也はバズる参考になりそう
    松村正直とか花山周子とか籔内亮介とか好きかなだいたい全部面白いけど

  • おそらく詩集というものを初めて呼んだ。よかった。歌人も歌人が作った短歌も、すごい個性がある。それでもって、短歌って感情や情景を凝縮したものだから、読むと心揺さぶられるものが多かった。この詩集をきっかけに、もっと読みたいと思える歌人も見つかった。みんなにおすすめ。

  • 短歌を読んでみたい、でもどれを買えばいいかわからないという方におすすめ。
    沢山の歌人と歌集に出会えること間違いなしです。

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著者プロフィール

1983 年札幌生まれ。札幌在住。
第一歌集『さよならバグ・チルドレン』(ふらんす堂)、第二歌集『水に
沈む羊』(港の人)。
編著に『桜前線開架宣言』(左右社)、エッセイに『ことばおてだまジャ
グリング』(文藝春秋)。

「2022年 『寂しさでしか殺せない最強のうさぎ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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