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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784865370034

作品紹介・あらすじ

総勢80人が語る極私的作品論。一人旅、無軌道な反抗、学園ヒエラルキー、歪んだ愛、挫折と自立。1970年代以降、日本で製作・公開された青春映画の傑作を約90本集め、クリエイター、パフォーマー、文筆家が極私的な視点から作品への想いを語った。

感想・レビュー・書評

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  •  昨年読んだ『観ずに死ねるか !  傑作ドキュメンタリー88――総勢73人が語る極私的作品論』の続編。
     前作はドキュメンタリー映画の作品論を集めたものだったが、今回はタイトルのとおり、邦画の青春映画編だ(※)。

    ※私は未読だが、その前に第1弾として韓国映画編も刊行されていたそうだ。

    《総勢80人が語る極私的作品論。一人旅、無軌道な反抗、学園ヒエラルキー、歪んだ愛、挫折と自立。1970年代以降、日本で製作・公開された青春映画の傑作を約90本集め、クリエイター、パフォーマー、文筆家が極私的な視点から作品への想いを語った。(「BOOK」データベースより)》

     本の出来としては、前作のほうが上だと思う。
     前作は、作品ごとに「その映画を論ずるのにいちばんふさわしい人、論ずる必然性のある人」を選ぶというキャスティングの妙が、何よりの魅力だった。
     原一男の『全身小説家』を小説家の中村うさぎが論じたり、ボブ・ディラン・フリークのみうらじゅんが『ボブ・ディラン ノー・ディレクション・ホーム』を語ったり……。

     対照的に今回は、「なんでこの名作についてコイツが語るんだよ?」と首をかしげるミスキャストが目立つ。
     とくに、人気俳優や人気芸人に名作を語らせるページがけっこう多くて、これはおそらく営業サイドの要請だろう。「もっと人気のある人を出さないと、本が売れませんよ」と……。

     長澤まさみが『ジョゼと虎と魚たち』を語ったり、バカリズムが『トキワ荘の青春』を語ったり、成海璃子が『サウダーヂ』を語ったり、斎藤工が『麻雀放浪記』を語ったりするのである。
     「もっとこの名作を語るにふさわしい人が、ほかにいるだろうに」と舌打ちしたくなる。

     まあ、俳優を起用したケースでも、染谷将太が『青春の殺人者』を語ったあたりは、まだ理解できる。
     『ヒミズ』で父親を殺す主人公を演じた染谷には、同じように「親殺しが描かれた青春映画」である『青春の殺人者』を語る資格はあるから。
     しかし、長澤まさみの「ジョゼ~」論なんて、ただの人寄せパンダでしかなく、なんの面白さもない。

     ……と、ケチをつけてしまったが、素晴らしい作品論も少なくない。
     たとえば、北尾トロが書いた「秋吉久美子が青春だった」は思い入れたっぷりで熱量がスゴイし、水道橋博士が『キッズ・リターン』を語ったインタビューは師・たけしへの敬愛に満ちたいい内容だ。
     それ以外も、「その映画を語る強い必然性のある人」による作品論には、やはりよいものが多い。

     洋画編を出すときには、必然性のない人寄せパンダは排除してほしいものだ。どうせ、人気女優とかをいくら出しても、売れる部数なんてほとんど変わらないし……。

     なお、本書の青春映画のセレクトは、おおむね納得のいくものだった。
     『白い指の戯れ』『がんばっていきまっしょい』『下妻物語』『シコふんじゃった。』など、「なんであれが入ってないんだ?」というものもいくつかあるが、わりと順当だと思う。

     ちなみに、本書に取り上げられた作品から、私が70年代以降の青春映画ベスト10を選ぶとすれば……。
     『遠雷』『キッズ・リターン』『サード』『祭りの準備』『ジョゼと虎と魚たち』『大阪物語』『十九歳の地図』『青春の殺人者』『Wの悲劇』『バタアシ金魚』――というところか(順不同)。

  • 沖田修一、大根仁、吉田恵輔、カンパニー松尾など、ライター陣が豪華で嬉しい。

    それぞれが映画への想いを書き綴っていて、それだけで嬉しくなる。

    載ってる作品のソフト化されているものは、全部観たいと思う。

  • 園子温の根っこ、寺山修司。
    『優秀な表現は、見終わった後、自分を顧みて焦る』…というようなことが書いてあって、すこしわかる。
    染谷くんの、親殺しの青春〜。
    あの映画にでてた人たちと全員共演してるけど、あの映画のことは聞けないっていうのも、なんだかわかる。
    すごく感じ取ったものって、感じさせた方にとっては大したことがなかったりする。

  • 読み応えたっぷり。
    i970~2010、懐かしい邦画からつい最近のまで網羅している。
    知る人ぞ知る邦画の解説がこれでもかと誌面を覆う。
    みうらじゅん、クドカン水道橋博士など、選者もナイス。

  • 一度ざっと読みしたけど、もう一度じっくり読みます!

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著者プロフィール

脚本家、俳優、作詞家、演出家、映画監督、ミュージシャン。1970年、宮城県生まれ。91年より大人計画に参加。2001年に日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞した映画「GO」をはじめ、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」、NHK大河ドラマ「いだてん〜東京オリムピック噺〜」など数々の話題作の脚本を手掛ける。16年「グローイング アップップ」、21年「わーわーわー~はじめてのウソ~」などの楽曲をNHK Eテレ「みいつけた!」へ作詞家として提供。また、同局のアニメ「わしも‐washimo‐」の原作絵本(安斎肇絵、小学館)も担当。

「2023年 『NHK みいつけた! グローイング アップップ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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