つながりと流れがよくわかる 西洋音楽の歴史

  • アルテスパブリッシング
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本棚登録 : 108
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784865592276

作品紹介・あらすじ

クラシック音楽はどこから来て、どこへ向かうのか?
神の音楽から人の音楽へ、そして世界音楽の時代へ──。
因果関係(ストーリー)が見える納得の音楽史!

西洋音楽の「西洋」って?
その基盤となった古代ギリシャの音楽観とは?
多大な影響を与える3大宗教とは?──

クラシック音楽の解説本は数あれど、
その成り立ちから「そもそも」のところを
わかりやすく教えてくれるのはこの本だけ。

「1 西洋音楽ができるまで」
「2 神の音楽から人の音楽へ」
「3 西洋音楽のたたわな実り、そして……」の3部構成で、
たんなる作曲家や作品のカタログではなく、
西洋音楽の流れを解きほぐし、
初心者にも理解できるように書かれています。

重要トピックを取り上げたコラムには、
面白かわいいイラストも満載!

◎執筆担当
岸本宏子:中世〜ルネサンス、ごあいさつ、序章、終章、あとがき
酒巻和子:バロック〜古典派担当
小畑恒夫:オペラ担当
石川亮子:ロマン派、近現代担当
有田 栄:近現代担当

感想・レビュー・書評

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  •  グレゴリオ聖歌からルネサンス、バロック、古典派、ロマン派、国民学派、近代、現代、という流れで有名な作曲家や特徴を解説したもの。音楽史の背景となる西洋や宗教など、世界史の知識も解説されている。
     あとがきで著者の1人が大学で受けた授業が、「年代・年号、横文字(カタカナ)の専門用語に満ちていました。専門用語の説明はあっても、語彙の相互関係や、出来事とそのバックグラウンドなど、納得のいく歴史の流れのストーリーは見いだせんました」(p.243)ということだから、本当に分かりにくい授業だったのだろうけど、そしたらこの本が「つながりと流れがよくわかる」くらいに分かりやすく読めるかというと、そうでもないような気がする。やっぱりおれみたいなシロウトが読むと、割と教科書的で、大部分は作曲者と作品名がツラツラ出てくる、という感覚を持ってしまった。やっぱり作品を実際に聞いて、自分で感想と共にノートにまとめるとか、この分野は特にそういう努力をしないと学べないよなあと思う。
     それでも「コラム」的な部分は結構分かりやすいし興味を持って読めるので、その部分だけ読むというのもアリかもしれない。p.186の「オペラ用語集」とか、p.206の「現代音楽の流れ」とか、良かった。いっそ全部p.206みたいに図?チャート?みたいな感じでまとめてくれればいいのに。
     個人的には、おれの好きそうなのは「国民学派」というやつなのかなあ、とか思った。グリーグとか、スメタナの《モルダウ》も。「ロシア音楽」は面白そう。それから「ドビュッシーの《牧神の午後への前奏曲》こそが、近代音楽への扉を開ける作品となったことは、現在の一致した見解」(p.205)なんだそうだ。たぶん聞いたことあると思うんだけど、どんな曲だったっけ?それから「ジョージ・ガーシュインの《ラプソディ・イン・ブルー》は、ジャズとクラシックを結びつけた新しいスタイルで、今日まで続く世界的なヒット作」(p.210)だそうだから、これはぜひ聞いてみないと。
     ということで、適当な読書では西洋音楽史は学べないよなあ、ということを痛感した本だった。今年の目標の1つに、「西洋音楽史をちゃんと音源を聞きながら勉強する」というのを加えたい。(21/01/03)

  • 古代ギリシャのアポロン=理性、ディオニソス=恍惚の音楽、そしてキリスト教という要素を根っこに、西洋音楽の歴史を概説した本。個々の音楽家や時代の呼び名は知っていてもつなげることができていなかったので、流れをつかみながらとても興味深く読めた。

    途中で名前の羅列のような箇所があり疲れるが、効果的にコラムが配置されているのもよい。それでまた読み続けられた。コラムだけでも資料的な価値はある。

    バッハ前、バッハ後の変化、フランス革命で一気に世俗化に向かってからの転換は小説を読むようでもあり、面白い。

    この本の最後にはキリスト教とローマ帝国の節目に触れつつ、西洋音楽は終わり世界音楽になるのだ、と説く箇所は視点としてとても参考になる。音楽に限らず文化全般にも使えそうな視点だと感じた。

  • 音楽は専門外なので楽譜も読めない素人目線の評価です。
    出てくる専門用語がさっぱり分からないのですが、途中に挟まれる絵付き要約ページが素晴らしく分かりやすい。
    まず要約ページを読んでから本文に入ると、「すっ」と入ってきます。
    歴史の波が音楽に影響を与えた事が朧げながらわかる様になります。

  • 音楽はそれぞれの国、地域の複雑な歴史と共に変化しているのだ。

  • ポップなイラスト豊富でカジュアルなのかと思いきや、難解な専門用語と謎のカタカナ語が乱立する、非専門の一般人は置いてけぼりになる本では? 音楽の説明を文字で読んでも分からず・・映像化してドキュメンタリーにした方が面白そうな内容。
    西洋音楽は西洋文化も含めて終焉を迎え、グローバルな時代への変遷期だと言うが、資本主義経済に依存した世界各国では西洋音楽がベースで、完全に支配されているのが現状では? 伝統的・民族的な音楽は縮小し、音楽のジェノサイドが起きている。 インドの音楽は唯一伝統的な雰囲気を感じるが・・

  • カール大帝の戴冠から規格化が進み西洋音楽が発達した、とする。古典派以前をむしろ丁寧に説明してくれる。
    コラムも充実。

  • 【オンライン読書会開催!】
    読書会コミュニティ「猫町倶楽部」の課題作品です(全3回)

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  • あっさりとした説明で、表面だけをなぞった西洋音楽史の本。

    誰が重要な音楽家か、重み付けがされておらず、重要なポイントでも詳しくは解説していないので説明不足に感じた。

    したがって、西洋音楽史を初めて読むような人にとっては、理解しにくいだろうと思う。全体的にさらりとしているため、わかったようなわからないような感覚に陥るのではないだろうか。

    ベートーヴェンでさえ(略歴を紹介したページはあるものの)、その功績や、後に与えた影響、音楽についてはほとんど触れられていない。

    私は、西洋音楽の歴史について書かれた本は何冊も読んでいるが、本書を読んで、新たな気付き(新たな視点の提供、新情報など)は得られなかった。言い換えれば、復習にはなるが、面白味はなかった。

    サブタイトルに「つながりと流れがよくわかる」とあるが、類書と比べて、特に「つながりと流れがよくわかる」ように書かれているわけではない。

    人物や楽器など全てがイラストで描かれているが、イラストよりも写真や肖像画を使ったほうがイメージがつかみやすいので、ここも減点ポイントである(イラスト自体は特徴をつかみ、うまく描けているとは思うのだが)。

  • 「つながりと流れがよくわかる」というタイトルと、ポップなイラストの表紙。本を手に取ると、クラシック初心者はまずこれを読め!と言われた気分になって購入。

     五人の教員が時代ごとに専門分野を解説するので、わかりやすさにムラがある。
     中世からルネサンス、ロマン派については本のタイトル通り、つながりと流れがよくわかる。初心者でも読み切れるし歴史とのつながりが分かって楽しい。
     対して、バロック派から古典派と現代音楽、特にバロック派から古典派の解説については、時代の流れをあまり深掘りせず、知らない単語と人物で殴ってくる。世界史の教科書を思い出した。

     それでも挫折せず読み切れたのはイラストのおかげ。イラストつきの解説は口語も交えてとてもわかりやすい。先にイラストの解説をみて理解してから文章に入ると、難しい文章も頭に入ってくる。

     西洋音楽に興味があり、わからない単語は思い切って読み飛ばせる人は読んでみてもいいと思う。

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著者プロフィール

1943年生まれ。東京藝術大学音楽学部楽理科を経て、同大学院修士課程修了。その後、フルブライト奨学生として渡米。プリンモア・カレッジ大学院博士課程に進学し、哲学博士号(音楽学)取得。さらにシモンズ・カレッジ大学院修士課程に学び、科学修士号(図書館情報学)取得。2002年から昭和音楽大学教授を務め、現在、同名誉教授。専門分野はイタリア・ルネサンスのマドリガーレ、音楽図書館学、歌声にかんする科学的研究。主な著作に『ルネサンスの歌物語』、『歌唱の仕組み──その体系と学び方』(共訳)などがある。

「2020年 『つながりと流れがよくわかる 西洋音楽の歴史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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