自由に生きる

  • サンガ
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (330ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784865640410

作品紹介・あらすじ

タイの森林僧院と日本を往復して活躍する日本人上座仏教僧プラユキ・ナラテボー師。現代日本人の抱える苦しみに直接向き合い、さまざまな人々とのカウンセリングセッションを重ねるなかで生まれた、苦しみを抜き楽を与える、自他をともに自由にする実践哲学の集大成。作家・石井光太氏、認知行動療法の心療内科医・熊野宏昭氏との対談を収録!二つの重要な仏教瞑想法の実践方法を収録!

感想・レビュー・書評

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  • 大変内容の濃い一冊でした。

    前回の「苦しまなくていいんだよ」は対機説法的な内容で読みやすかったのですが、
    この本はどうかとパラッと見てみるとやや難しそうに思えました。
    しかしブッダの説いた教えを細かくそして深い事が書かれており、
    是非とも読んでみたいと思い購入に至りました。
    内容は結構高度でありながら(僕にとっては)上手に解きほぐすように書かれていて読みやすく感じました。

    とはいえ理解が出来ないところは何度か読み返したりもしましたが・・

    内容は、プラユキ師のタイ僧侶になるいきさつ、夢のこと、十二因縁、口の四善業(くのしぜんごう)、三学(戒律、禅定、智慧)
    タイ仏教の開発僧、言葉、業、怒り、そしてアーナーパーナサティ瞑想、気づきの瞑想などの内容です。
    作家の石井光太氏、認知行動療法の心療内科医・熊野宏昭氏との対談も。

    タイ農業についてはなんと日本の自然農法の福岡正信氏のことも書かれていました。

    特に面白かったのは戒律の章で、戒律は〇○してはいけないというものであるが、それが結果として自由になるという、
    普通では考えられない理論は面白い。

    仏教に限らないが、個人的にこの厳格的に何かをするとか、自制することの意味ということは昔から考えるところがあった。
    それが仏教的(上座部仏教)にはこういう解釈があるのかと新たな発見がありました。

    対談など専門的な言葉も多くまた知らないカタカナ語も(笑)多く登場し、仏教書でありながらどことなく先端を行っているようであり、
    哲学書っぽくもあり、そして科学的でもあると感じました。

    そして本書も終盤になってアーナパーナサティの実習(瞑想)の章では更に驚きました。
    ブッダ直伝の呼吸瞑想とあります。
    日本でこれを教えてくれるところは無いような気がしますが(知らないだけかもしれませんが)
    実践するとどのような変化があるかと書かれていますが、読んだだけで興奮する内容でした。
    まだ実践してはいませんが、(自分で独自で進めて大丈夫かわからないし)
    こんな体験ができるのだろうかと思いつつ、これが実践できるなら自分にとっては大きな変化になり得ると。
    やはりブッダ直伝とはスゴイものだと思いました。

  • 『カモメのジョナサン』のような表紙。一見それとは気づかないものの、この方は日本人出家者で、瞑想指導者。
    そのため、翻訳文章にありがちなぎこちなさを感じることなく、すらすらと読める文章となっています。

    まずは東日本大震災の話に触れ、あの大きな絶望、悲しみから立ち直る術として、ブッダの話を出しています。
    ブッダは神ではなく一人の人間で、自らも人生のはかなさに触れ、悩み苦しみながら人間の心の構造を解き明かしていったとのこと。

    ブッダは、苦しみは観察するもので、実際に苦しむものではないと説いています。
    距離を置いて見つめれば、苦しさから遠ざかることができるため、「苦しみがあること」と「苦しむこと」を混同してはならないとのこと。
    この境地に至るために、仏教徒は日々修行を重ねているのです。

    また、言葉一つの違いで人の気持ちや場の雰囲気に与える影響はまったく異なってくるという話の中で、パートナー(夫)がふと漏らす「死にたい」という言葉に不安になった人(妻)の話が紹介されていました。
    妻「死にたいと言わないでほしい」→夫「発散しないと重い気分に潰されそうで辛い」→妻「死にたいとはどんな気持ちか」→夫「どこか遠くへ行きたいような気持ち」→妻「どこへ行きたいのか」→夫「たとえばブータンなど」

    というわけで、つらくなった時には「死にたい」ではなく「ブータン行きたい」に変えてもらったら、家族は不安感を掻き立てられなくなり、言う本人も前向きに希望を持てるようになったということです。

    言葉の重さについて、時々身に染みて感じているため、これはいい解決法として、非常に参考になりました。
    自分もアレンジして何かの対策に役立てたいものです。
    なかなか『自由に生きる』というタイトル通りに過ごすことは難しいものですが、気持ちのはかり方、言葉の使い方など、小さいところから工夫を重ねて、無理なく過ごしていきたいものです。

  • 仏教も日本でローカルに派生しているところがあり、本来のブッダの教えから独自に解釈して変遷しているところもある。世界の他のやり方と比べて本質を見直し、その中で自分に合ったやり方で進めれば、最終的には抜苦与楽で自由に生きられるようになる。

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著者プロフィール

1962年、埼玉県生まれ。タイ・スカトー寺副住職。上智大学卒業後、タイのチュラロンコン大学大学院に留学し、農村開発におけるタイ僧侶の役割を研究。1988年、瞑想指導者として有名なルアンポー・カムキアン師のもとで出家。以後、開発僧として、瞑想指導者として活動

「2014年 『脳と瞑想』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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