作られた不平等 〔日本、中国、アメリカ、そしてヨーロッパ〕

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制作 : 山田 鋭夫  横田 宏樹 
  • 藤原書店 (2016年9月21日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784865780871

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作られた不平等 〔日本、中国、アメリカ、そしてヨーロッパ〕の感想・レビュー・書評

  • アメリカ合衆国やイギリスで、新自由主義の経済政策が主流になってから、まず、アメリカで、経営者報酬の異常な高騰という現象が起き、桁外れの収入を得る経営者が次々と現れ、それから、中間層が徐々に脱落して貧しくなってゆき、社会の格差がすさまじく拡大してきた。

    2011年9月17日から、Occupy Wall Street が始まる。マンハッタン区のウォール街で発生した、アメリカ経済界、政界に対する一連の抗議運動。

    ①2013年にオバマ大統領が一般教書演説で、
     重要な懸案事項として不平等の拡大について言及。
    ②トマ・ピケティ『21世紀の資本』が
     世界的ベストセラーに。
    ③2014年10月、連邦準備制度理事会議長
     ジャネット・イエレンが、ある会議で
     不平等の拡大に関する懸念を表明。

    特に、イエレンの発言は異例で、金融政策に責任をもつ立場にいる自らの職分をはみだし、彼女が、労働経済学者として行った研究に照らしての表明だった。

    2014年4月に『21世紀の資本』英語訳版が発売されるやAmazon.comの売上総合1位に輝くなど大ヒット。
    あれは、すごい、お祭りだったよねー。
    ピケティは、アメリカで、ロックスター並みの熱狂を起こした。

    この本は、ピケティの『21世紀の資本』の不平等論が、世界中で話題になり、各国の政治や経済や社会運動にまで影響を及ぼしたので、そこにレギュラシオン学派も便乗して評論してみました、という程度のもの。

    そういえば『21世紀の資本』では、ピケティの考える歴史政治経済学の必要性については書かれてあったが、フランスのレギュラシオン学派への言及は、全く、無かったんじゃない?

    ピケティが大ブームになったとき、彼の書いたいくつかのコラムも読んだけど、新自由主義やフリードマンへの言及は、あちこちに出てくるけど、レギュラシオン学派のことは一言も書いてなかったような気がする。どうだろう?
    主流派の経済学がレギュラシオン学派を無視するように、ピケティも、レギュラシオン学派を無視しているのかな???

    この本では、ピケティ『21世紀の資本』の不平等論における貢献と限界を示し、不平等論へのレギュラシオン的アプローチの可能性を提示している、って事なんだけど・・・。

    (以下、訳者解説より)
    生産、資本、金融のグローバリゼーションによる開かれた国境のなかで、これらの多様な不平等レジームが相互に関連し合っている。
    「不平等のグローバリゼーション」に対する、
    「さまざまな不平等レジームの相互依存」という概念を提示。
     これがピケティに対する著者の返答であり、不平等論へのレギュラシオン的アプローチのオリジナリティの一つ。
     つまり、ピケティが提示した「世界的な累進資本税」という普遍的な政策は、国民的領域に応じて不平等の構図が多様であるために、そのままでは何の解決策にもならない、としている。
    (以上、訳者解説より)

    レギュラシオン学派というのは「比較歴史制度主義的アプローチ」なんだってさ。


    その他、この本で、気になった点。

    金融自由化はCEO報酬の高騰にとって前提条件だった。 
    経済的権力が政治的権力に変換される。 
    最富裕層に有利になるよう再設計された課税制度から利益を得る。 
    金融主導型蓄積レジームの核心――経営者と金融業者が新しい同盟を結ぶ。 
    特殊なアメリカ的モデルは2007年に構造的危機に陥った。
    このモデルは世界の他の諸国に簡単には広まらない。 
    このレジームの成功が金融的脆弱性およびサブプライム型構造的危機へと自らを押しやった。


    中国経済の分析が詳しい。

    第2節 中国――現代の産業革命、そしてクズネッツ曲線再訪 100
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  • 原題:La Fabrique des Inégaités (2016)
    著者:Robert Boyer(1943-)
    訳者:横田宏樹
    監修:山田鋭夫

    【書誌情報+内容紹介】
    四六上製 328ページ
    ISBN-13: 9784865780871
    刊行日: 2016/09
    定価: 3,240円

     レギュラシオンの旗手による世界への提言 「さまざまな不平等レジームの相互依存」 レギュラシオニストによる初の体系的・歴史的な“日本の不平等分析”も収録、不平等の縮小に向けた政策を提案。
     ピケティ『21世紀の資本』の不平等論における貢献と限界を示し、不平等論へのレギュラシオン的アプローチの可能性を提示!

    ◎本書はレギュラシオン理論の誕生以来、学派の中心をなしてきたボワイエ氏による体系的な不平等論の書でもある。そしてここに、ピケティとは異なる不平等分析に対するレギュラシオン的アプローチの一つの方向性を見てとることができる。
    ◎生産、資本、金融のグローバリゼーションによる開かれた国境のなかで、これらの多様な不平等レジームが相互に関連し合っている。したがって著者は、「不平等のグローバリゼーション」に取って代わる「さまざまな不平等レジームの相互依存」という新しい概念を提示しようとする。これこそがピケティに対する著者の返答であり、そして不平等論へのレギュラシオン的アプローチのオリジナリティの一つなのである。つまり、ピケティがその著書で提示した世界的な累進資本税という普遍的な政策は、国民的領域に応じて不平等の構図が多様であるために、そのままでは何の解決策にもならないのだ。
    (訳者解説より)
    http://www.fujiwara-shoten.co.jp/shop/index.php?main_page=product_info&products_id=1512


    【簡易目次】
    第1章 アメリカにおける経営者報酬の高騰――そのミクロ的およびマクロ的分析 025
    第2章 ピケティ『21世紀の資本』を読む 059
    第3章 不平等レジームの世界的多様性と相互依存性――中国、アメリカ、ヨーロッパ、そしてラテンアメリカ 093
    第4章 デンマーク型フレキシキュリティからの教訓――ヨーロッパ型福祉国家の動揺と模索 195
    第5章 日本型不平等レジームの変容と独自性 239
    結語 291



    【目次】
    日本の読者へ 001
    不平等の歴史再訪
    比較歴史制度主義的アプローチ
    歴史、理論、公共政策へのインプリケーション
    目次 [011-022]
    凡例 [024]

    第1章 アメリカにおける経営者報酬の高騰――そのミクロ的およびマクロ的分析 025
    第1節 はじめに 027
    第2節 企業統治と株主価値――伝統的な見方は観察結果と一致しない030
    1 経営者と株主の利害調整―― 一九九○年代のモットー 
    2 一九九○年代の株式会社――財務業績は良好だが経済効率の改善は凡庸 
    3 業績改善や平均的賃金推移をはるかに超える高級幹部報酬の高騰 
    4 株主価値という大義のもとでの経営者と金融業者の隠された同盟 
    5 経営幹部に有利に働く権力と情報の非対称性 
    第3節 企業レベルにおける経営者権力――収赦する実証的証拠 039
    1 経営者がストックオプションからたなぼた的利益を得ていることは明らかだ 
    2 一九九七年以降流行った企業戦略――損益計算書の改ざん 
    第4節 経営者権力――企業から政治的舞台へ 045
    1 金融自由化はCEO報酬の高騰にとって前提条件だった 
    2 経済的権力が政治的権力に変換されるとき 
    3 最富裕層に有利になるよう再設計された課税制度から利益を得る 
    第... 続きを読む

  • レギュラシオン理論に基づく分析から、それぞれの生産レジームが相互に依存し、不平等の形態を生んでいると主張した作品。

    やはりフランス人の英語だからだろうか、日本語訳に苦労の跡が見られる気がする・・・

  • 20161120日経書評欄

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作られた不平等 〔日本、中国、アメリカ、そしてヨーロッパ〕の作品紹介

ピケティ格差論へのレギュラシオンからの応答! フランスを代表する経済学者が提言!
多様で、かつ相互依存する世界のなかで「不平等」をどう理解し、どう乗りこえるべきか? そして、日本における「不平等」の特殊性とは何なのか? レギュラシオンの旗手は、現代世界の病変にどう斬り込むのか!? ピケティ格差論へのレギュラシオンからの応答。
ロベール・ボワイエ9月中旬来日予定!

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