出雲を原郷とする人たち

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  • 藤原書店
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  • / ISBN・EAN: 9784865780987

作品紹介・あらすじ

「出雲発」の移動の歴史を辿った異色の文化史
神話の地・出雲から遠く離れた列島各地に「出雲」という地名や神社が多数存在するのはなぜか? 全国の「出雲」を訪ね歩くと共に神話・伝承・考古学を博捜し、「海の道」をメインに各地へ伸びた出雲文化の広がりを解き明かす、異色の移住・文化史。
[巻頭言]千家尊祐(出雲大社宮司)

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  • 『出雲を原郷とする人たち』 岡本雅亨 藤原書店
     2016年12月10日 初版第一刷発行 OIC ISBN978-4-86578-098-7

    発刊に寄せて           第八十四代出雲国造・出雲大社宮司 千家尊祐
    序 海の道のフロンティア     出雲からの人の移動、文化伝播の足跡を訪ねて

    筑前国 1 穂波群の土師郷と出雲村――出雲からの移住伝説と土師氏の末裔
        2 海路で伊都へ移住した出雲の玉作工人――出雲の碧玉原石と独自の穿孔技術――
    周防国   古代氏族移動の証――佐波群の式内社・出雲神社と出雲合の地名――
    越前国 1 そり子と呼ばれた海民――中世出雲から移住、ソリコ舟を伝える
        2 糠浦に残る小字名・反舟――出雲からの移住者が村を創建?
        3 城ケ谷青年団の放送劇「七人の開拓者」――故地を探して出雲と交流
        4 白浜そり子の末裔――四百年前の恩に感謝の法要
        5 清水谷のそり子集落――出雲の美穂神社から祭神を勧請
        6 越前そり子の出自――バラエティに富む伝承
        7 美穂神社のサバニ―から考える越前そり子のルーツ
        8 今も続く故郷探しの旅――越前から北海道へも移住
        9 往来物語る海揚がりの土器――小舟で航海できた北ツ海
        10 出雲墨書土器と出雲守宮川要光――越前佐々生と出雲の佐々布
        11 海を越えて伝播した出雲の墓制――小羽山三〇号墳
    加賀国 1 金沢に密集する出雲神社――海や潟湖に通じる立地
        2 戸板七村の氏神・出雲社と金沢宮腰口の別当出雲寺
        3 河北潟砂州の小濱神社と兼六園の白蛇龍神――加賀海岸部の出雲信仰と文化――
    能登国 1 能登半島の出雲――開祖の谷崎家と出雲神社
        2 谷崎家にある出雲神社元宮――集落全体の鎮守は後世の創建
        3 オオナムチを祭る神社が集まる福野潟周辺――海路の移住を物語る伝承や遺跡――
        4 海を渡りくるオオナムチ――寄り神と像石信仰
        5 気多神としてのオオナムチ――出雲の気多島が起源か?
        6 出雲敬神社が並ぶ邑知地溝帯――越の八口は羽咋か七尾?
        7 舳倉島沖で山陰系土器――能登で合流する宗像と出雲
        8 アイの風 ――北陸・山陰特有の神や人を吹き寄せる風名
        9 ミホススメ――島根・能登半島をつなぐ神
        10 合祀御百年を経て続く出雲神社の祭り――輪島市里町
    越中国 1 熊野大社を祭る社――出雲系移住者が創建と伝わる
        2 出雲国造が祭る熊野大神――山陰発生とされる台付総装飾壺が出土
        3 牛に乗ったオオナムチ――牛獄信仰
        4 糠塚の伝説――日本海文化論の原点となった四隅突出墳
    伊予・ 1 出雲二神が開いた道後温泉
    讃岐国 2 道後温泉を見守る出雲崗――冠山に集まった出雲四神
        3 出雲崗を中心に並んだ三式内社――国造書の鎮め石が交差
        4 出雲の生神様――尊福国造と松山の縁
       5 神の湯二階席の出雲世界――五万人を集めた尊福国造の愛媛巡講
        6 御師加藤家の軌跡を語る幕末の棟札――出雲退社土居教会
        7 桃山虫封じの祈祷――讃岐へ移住した出雲御師・中西村家
        8 御師の往来が結んだ縁――江戸時代の旅行記が示す出雲街道
        9 松山の山陰特有・甑形土器――出雲街道と重なる出土地点
        10 瀬戸内海島伝いの道――北部沿岸に偏る四国の山陰系土器
        11 風土記固有の神を祭る――今治の多伎神社と大洲の少彦名終焉の地伝説
    備後・ 1 出雲路を往来した人々――永田の地名・出雲石と宮内の旅館・出雲屋
    安芸国 2 水中に浮ぶ巨石の伝説――穴笠の出雲石
        3 孝行息子の心温まる物語――山中野の出雲石
        4 尾道の出雲屋敷――陣幕久五郎も通った出雲街道
    紀伊国 1 本州最南端の出雲――鎮守・朝貴神社を創建した吉田家の末裔
        2 木国の熊野と移住説――出雲の熊野大社を祭る明神崎神社
        3 潮岬の少彦名伝説――紀伊の日ノ岬は四国を望む
    越後・ 1 佐渡に向かう出雲崎――総鎮守の佐渡国伝説
    佐渡国 2 十二株山の神屋敷――出雲崎の原郷、石井神社元宮
        3 出雲からの流木――出雲山多門寺と寄り木神社の信仰
        4 石井神社と良寛和尚の生家――橘屋山本家は出雲人の末裔か
        5 出雲崎の製鉄跡とオトモ伝説――出雲二神が着いた浜とかくいの沢
        6 出雲崎から内陸の出雲田へ――市野坪の出雲神社と字熊野
        7 佐渡の熊野神社――古代の潟湖近くに鎮座
        8 相川の老舗旅館・出雲屋――佐渡に渡った龍蛇様
        9 出雲の鉄を運んだ浜田屋――石見姓が並ぶ姫津の集落
        10 北前船が“運んだ”出雲節――越後で船方節に発展
        11 潟を結ぶ水上の道――越後平野の熊野神社と間瀬の明神橋伝説
        12 越後のケタ信仰――三嶋石部神社の懸橋伝説と居多神社
        13 越後海岸に残る大国主の伝説――親不知の投げ岩、熊生の千束島
        14 早川谷の出雲神伝説――佐多神社ゆかりの八龍淵と鉾ケ岳
        15 出雲真山の木簡とヤナカヒメ――ヌナカワヒメゆかりの福来口
        16 尊福国造の書が残る奴奈川神社――水神と海民の山岳信仰
        17 奴奈川族の思い――社号回復に尽力した明治の有志
        18 蘇るヒスイの女神――市民主催の歌劇、産所の再生
        19 高田城下の出雲町――大己貴・熊野社と出雲御師がいた石沢
        20 信越国境を跨ぐ二つの小出雲――北国街道から信濃へ
    信濃国 1 万葉仮名の伊豆毛神社――越後から北信へ流れる出雲の足跡
        2 中野の越後神社――豊国文字で刻むミホススミノミコト
        3 一重山の御穂須々美神社――鮮やかな一四〇年前の境内図
        4 須須の名をもつ二つの社――屋代用水の分岐点を守って鎮座
        5 祝神社の謎――越後から武蔵へ連なる出雲大神の道
        6 千曲川流域で重なる珠洲焼とミホススミ信仰――能登とつながる信濃
        7 水神から豊穣の神へ――諏訪神との周璈したミホススミ
        8 龍蛇を象った薙鎌――千曲川支流域に残る海民の足跡
    岩代国 1 幟旗が語る出雲神社会津への道――喜多方市と猪苗代町に一〇社
        2 四隅突出型墓制の終着点――越後経由で伝播した出雲・北陸文化
        3 猪苗代湖北岸の出雲神社と地名出雲壇
        4 福島市の出雲大神宮――出雲人の姫輿入れ伝説が創建由来
        5 会津の気多神社――八十里、六十里越と只見川ルート
        6 越後からの玄関口――山三郷と出雲神社
    武蔵国 1 管廊平野の西端に並ぶ出雲イワイ系神社――尊福国造直筆の扁額と石碑
        2 出雲の神を斎う社――太政官符に記された神威
        3 吉見丘陵東部の出雲系古社――水流に囲まれた古代の要地
        4 出雲系とされる横穴墓・吉見の百穴――近隣遺跡で山陰系土器も出土
       5 氷川、久伊豆、鷺宮――武蔵東部に広がる出雲系神社群
    上野国 1 旧縁群土師郷――尊福国造書の扁額が掛かる神流川両岸の土師、出雲神社
        2 川上より流れくる石神――北陸系土器の流れと重なる出雲信仰の伝播
    大和国 1 野見宿禰伝説と出雲人形の里――奈良県桜井市の出雲
        2 三輪山麓出雲氏の伝承と出雲庄
        3 纏向遺跡の山陰土器――移住の足跡と出雲国造の大訪京団
        4 巻向川上流の出雲屋敷――故地ダンノダイラへ至る道
        5 三つの出雲屋敷――地名の由来を考える
        6 出雲建雄神鎮座の都祁高原――初瀬川流域と交流
        7 十二神社と大穴持神――山ノ神祭祀とのつながり
        8 三宅町の出雲と杵築神社――故地にちなむ旧国地名
    山城国 1 京都賀茂川西岸の出雲銘――愛宕群出雲郷に由来する社寺が分布
        2 御霊神社になった出雲寺――相国寺境内で出土した出雲郷集落跡
    丹波国   古山陰道沿いに分布する出雲社――保津峡開削と若狭湾を遡る出雲族の伝説
    播磨国 1 最も古い播磨国風土記――出雲の神や人々が頻繁に登場
        2 雲播を結ぶ陸海の道――出雲の若者、琴を奏でる
    壱岐・   地名に刻まれたルーツ――海路で広がる出雲の世界
     新羅国へ
          あとがき

    http://www.fujiwara-shoten.co.jp/shop/index.php?main_page=product_info&products_id=1525

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著者プロフィール

1967年出雲市生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。現在、福岡県立大学社会学部教授。専門は政治社会学・民俗学。著書に『中国の少数民族教育と言語政策』(社会評論社、2008年)、『民族の創出』(岩波書店)、2014年、『出雲を原郷とする人たち』(藤原書店、2016年)、『千家尊福と出雲信仰』(ちくま新書、2019年)など。地域や国を跨ぐ日本型Ethnic Studiesとしての出雲学を提唱。

「2022年 『越境する出雲学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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