コオリオニ(下) (BABYコミックス)

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著者 : 梶本レイカ
  • ふゅーじょんぷろだくと (2016年2月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・マンガ (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784865891454

コオリオニ(下) (BABYコミックス)の感想・レビュー・書評

  • なんというか、すごいとしか言いようがない。わき目も振らず最後まで読み通して、圧倒されてしまった。感想らしき感想が浮かばないんだけどとにかくすごい本。これをよくぞ描いた!
    でも、思ったりよりはBLだったと思う。『囀る鳥』のフォロワーという位置づけになるだろうし、こういうダークでバイオレンスな話は今のトレンドでもあるし。十分BLの系譜の中に位置づけられる作品だと思う。実はCPも王道だし。ディテール全部落とせば話の筋は完全に王道ですよ。運命づけられた二人が究極の恋愛に落ち、唯一無二の存在になるってやつ。だからこれをBLじゃないと感じるのはたぶんディテールの部分なんだと思う。これもまた一つのメルクマール的作品になるだろう。

  • 梶本さんは「共依存」と言うものを解明したいのかもしれん、と思った。『高3限定』では「女子高生コンクリート詰め殺人事件」への憤りを「搾取に意味があってはならない」と言う作者の解釈があって生まれた作品だった。一人の人間の尊厳が誰かに因って奪われた時、作者は激しい怒りを覚えるのではないか、と感じた。それは殆どの人が抱く怒りであり、憤りであるが、所詮他人事、自分でなくてよかった、と処理してしまうかもしれない恐ろしさも含んでいるが、作者は処理しきれずに「なぜなんだ」と言う疑問を抱き続けていた様に思われる。何故そんな恐ろしい事を同じ人間に行える人間がいるのだろうか、と。
    この作品は「共依存」を扱っており、解明したいと言うのは言葉的に変なのかもしれんが、執着している、固執していると言うよりは「なぜ共依存関係が成り立ってしまうのか」と言う事をずっと考えている作者の姿が浮かぶ。
    真正の闇と、潜んだ闇が結びついた時、それは悲劇しか生まない気がする。佐伯の物語がひたすら哀しく感じるのは、普通の人間が「闇(八敷)」に触れてしまったが為に「生」が侵食されていく様に見えるからだろう。
    「闇」は誰の中にもある、それこそ、鬼戸の様に。環境が変化する事で徐々に心の内に闇を貯めていく人間は闇に捕まってしまった様に見える。
    私は「共依存」を否定しない。が、共依存には対価が伴い、対価が伴う、と思っている内は私が肯定する共依存には成り得ない。一方の闇が濃すぎたり、一方が少しの光を湛えている内は成り立たない。
    再読してまたレビュー書き直すかもしれんが、今のところはこの部分が非常に印象深いと言う意味で書いておく。時を置いて目線が変わる時に振り返ると、初読で抱いた感触は本当に「初読」の時にしか抱けない貴重なもんだったりするから。
    妻を破壊尽くされ、子供を流産した様を見た鬼戸の安堵が私には凄く理解できる。八敷も大概だが、鬼戸の様に一見普通の社会でそれなりに生きている様に見える人間の中に潜む「利己主義」が十二分に理解できるからだ。当たり障りの良い演技は出来るが、心の奥底にある自分の事しか考えない思考は他者を幸せにはしない、なので私は生涯独身を貫くべく日々を生きている。このくらいの身勝手さを上回る八敷ほどのバケモノでないと、鬼戸は自分のままで生きられないのだろう。だからこの物語はハッピーエンドなのだ。
    梶本さんの作品に描かれる事の多い肉体欠損に対する執着は何から生まれたんだろう。

  • すごく面白くて誰かに勧めたいのになかなか勧められずにいる本。
    実際に北海道県警で起きた不祥事がベースになっている。
    銃対のエース刑事と美しく狡猾なやくざ、二人が出会い惹かれ合えば合うほど周囲では金と暴力と死の臭いが濃くなり、やがて二人も破滅へ向かっていく。
    上下巻にわたって同じ場面を二人の登場人物の異なる視点から描かれるんだけど、視点が変わると印象が全く変わって引き込まれた。
    本人の視点ではかわいそうなお姫様のようだった人物が、別人からの視点では一変してしまう。
    描き下ろしは一見明るいんだけど鬼戸の耳や、八敷の足の指の数で、ああ…って思った。
    最後から3ページ目だけが現実なんだと思う。
    ギョウザ耳のせいですごくあっさり「けーじけーじ」って言われるシーンが怖くてめちゃくちゃ好き。あのシーンしか出てこない人物だけどあのやくざの笑顔もいい。

  • 登場人物の心情に漫画のフォーカスが定まってきており、上巻よりも真に迫りかつわかりやすい展開になっている
    刹那的で破滅的な関係を描くのにBLは適しているなぁと改めて実感した作品だった。

  •  評判を聞いて・読んだ人から直接薦められて、がなかったら見逃していたフォーマット。対立する組織に属しながら手を組むことになったふたりの抱える闇と組織の抱える闇を、コミック上下巻という贅肉のない尺で深く描いたノワール。

  • 上巻の余韻で震える手を押さえながらでしたが、すぐに震えも忘れます。
    上巻同様に息をするのを忘れてしまうほどにのめり込んで読んでしまった。
    北の大地の冷たい空気とモノクロの世界なのに、色鮮やかな毒花みたいに二人は狂ったただまぶしいだけの光を放ってた気がします。
    歪に歪んでいるかどうか自覚してる人間なんて、この世に存在しているのかな?
    焼けた鉄の玉を無理やり飲まされたみたいに熱くて痛くて重苦しかったけれど、結末の爽快感がすごかったです。
    夢であったのかな……

  • 分厚い一般小説二冊読んだ後みたいな濃厚さ。甘くてハッピーな気分とは程遠いけどあの虚構のようなラストに夢を見ていいのかな。二人は決して善人ではないしむしろ糞みたいな人生送ってきて半分死んでるみたいだったけど、お互いの中に自分を見つけて初めて自己を肯定して生きたいと思わせた希望のあるラストだったと思う。

  • すごかった~。最終的に八敷と鬼戸はお互いの凍った世界を溶かし合って手に手をとった、ってことかな。ずっと追われても二人が一緒にいられたらいいなぁ。八敷、カワイイし美人なんだもん…。イイ性格してるしね。

  • 潜入捜査失敗の後、鬼戸は以前にもまして汚い仕事に手を染めるようになった。そして警察も鬼戸の存在を持て余すように… 彼の生きてきた道もまたどう言葉にしていいのか… 八敷が言うように彼が一番死にたがっていたんだろう。最後の最後まで2人がどうなっていくのか分からなくて、直に心臓を掴まれたような痛さがたまらなかった…

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