▼あらすじ
高い知性と端麗な容姿で西園寺(さいおんじ)家の執事を務める宮内(みやうち)。
彼は壮絶な過去により、自身の幸せを考えることが出来なくなっていた。
俺は何も要らないから大切な人はどうか幸せになってほしい久藤(くどう)の幸せを想い身を引いた宮内だが、そう願えば願うほど久藤は苦しんでゆく。
しかしそんな宮内を動かしたのは、全ての秘密を握る南雲(なぐも)ーー。
他者の幸せを望むことで目を背けていた自らの問題。
それにようやく向き合えた宮内。
"運命"を賭けた大一番に打ち勝つべく、ついに宮内が走り出す。
それぞれの思惑が交錯する感動のフィナーレを見逃すな!
***
★4.8
上巻を読んで直ぐに下巻を読みましたが、後半にかけての展開のアツいことアツいこと…。
ハジメが発情期誘発剤を使って宮内にヒートを起こさせ、無理やり番になろうとするシーンはきっと誰もがヒヤヒヤしたはず…。(勿論、未遂に終わってます)
全ての問題が片付いた後の宮内と久藤の結婚式のくだりは読んでいて自然と笑顔になってしまうほど幸せに満ち溢れていて素晴らしいものでしたが、それ以上にグッと来たシーンはラストの、「いざとなったら俺が産むから」という久藤の男気溢れる台詞です。
オメガバースプロジェクトはΩだけでなく全ての人間が妊娠可能という設定をすっかり忘れていたので初見は吃驚したのですが、この台詞一つで宮内に対する久藤の愛の深さや覚悟がどれ程のものか理解出来て、久藤っていい男だなぁと改めて思いました。
最終的に宮内は無事、久藤の子供を授かる事が出来たのですが、描き下ろしの後日談がもう幸せ過ぎて読んでる間中、頬が緩みっぱなしでした(笑)
念願のパパになれて心底嬉しそうな久藤と、息子を溺愛する久藤にヤキモチをやく宮内が愛らしく、末長くお幸せに!って感じのラストで、オメガバースプロジェクトがΩだけでなく全ての人間が妊娠可能な世界観で本当に良かったなあとしみじみ思いました。
あと、健気受けっぽい印象だったハジメがまさかたった3年であそこまでイケメンに成長するとは思ってなかったので、そのあまりの変貌っぷりにかなり衝撃を受けたのは言うまでもなく(笑)
身長もめっちゃ伸びてるしガタイも良くなったし、纏うオーラが思いっきりタチのそれなので最初は「誰!?」って思いました。
空白期間に何があったのかめっちゃ気になります…(笑)
見た目は大分変わりましたが、南雲に尽くす性格は変わってなくてそれどころか妙に肝が据わって新たなCPの可能性を感じたので、さちも先生、同人とかでこの二人の続編描いてくれないかしら…。
因みに★を減らした理由はやはり絵の荒さが個人的に少し気になるのと、宮内の過去をもう少し掘り下げてくれても良かったかなあと思ったからです。(絵の荒さについては完全に好みの問題なので仕方ないですね…)
それでもストーリーの方は読み応えがあって最後まで殆ど引っかかる事なく楽しく読めましたし、オメガバースの特殊設定もしっかりお話に活かされているので、BL作品としてもオメガバース作品としても満足度の高い部類に入ると思います。
あと、ページの最後にカラーの折り込みポスター?が差し込んであって、「何の絵かな~?」と思いながら開いて見た瞬間、幸せな気持ちになりました。
オメプロ本ってどれもその作品の雰囲気に合った何かしらの工夫がされているので面白いですね。ますます買って良かったと思いました。
次のシリーズも楽しみです!(^^)