覚醒剤と妄想 ASKAの見た悪夢 (コア新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784866530222

感想・レビュー・書評

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  • オモシロい!
    大傑作『SPEED』を補完する一冊というか。
    その『SPEED』をASKAが読んでいたのは驚きだったけれど(笑)。

    「人の妄想を笑うな」というのが帯のコピーだけれど、人のセックスや出身地を笑うと血を見るように人の妄想にもとやかくいう物ではないな。

    ゴシップ本めいているのはタイトルだけで石丸元章にしか書けないルポタージュの前半から、社会批評の後半へと石丸元章ならではのドライブした文章で一気に駆け抜けていく。
    <blockquote>
    困ったことに、いまや誰しもが被害者きどりなんだよね。男は女に対し、女は男に対し……(中略)。あらゆる事象から、恣意的に都合の良い素材だけを集め、「正義はわれにこそあり!」て感じで特定の対象を攻撃している。それぞれが互いを加害者と見立て、自分たちこそが申請なる被害者だと主張し合っている――ってのが、現代の偽らざる姿…‥みたいな。(P.255)</blockquote>

    SNSに象徴されるように現代は情報過多の時代だ。
    脈略のない情報が瞬時に流れていくTwitterのタイムラインなんて、一昔前なら精神に異常をきたした人だけが体験できる"電波"な状況(「頭が働きすぎちゃっている状態」)だろう(Twitterの使い方にもよるが)。

    ASKAが主張する盗聴されているというのも荒唐無稽な妄想とは言い切れない部分がある(実際、彼を報道するワイドショーによって監視されていたという皮肉な事実)。

    ヒットメイカー/ミュージシャンであるASKAがマスメディアを介さずBlogで手記を次々と公開しているようにひとりひとりがマスに向かって主張出来る時代だ。つまり、多種多様な世界が洪水のように押し寄せる。

    その中で溺れないようにするというのが無理な話なのかもしれない。「認め合うことなき共生の道」を探るというメッセージはそんな中で"妄想"に囚われずに生きていく術なのかも。

  •  久しぶりの石丸元章さんの新刊で傑作『スピード』などの直系となるテーマでとても面白かった。90年代のサブカルで鬼畜系などキワモノが流行ったのが以前から不思議だったのだが、その理由がとても腑に落ちる考察だった。

     ラリってる描写が文学的でポエジーですごくいい。

     ただ、ASKAさんのブログの文章を読んでおらず、読むのも面倒だな〜と感じていたのでそれについて語っていたことはなんとなくしか分からなかった。

     石丸さんが翻訳された『ヘルズエンジェルズ』はあまりの分厚さに買ったはいいけど読んでいなかったので、早く読まなくてはと思った。

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