- Amazon.co.jp ・本 (398ページ)
- / ISBN・EAN: 9784870313736
作品紹介・あらすじ
ハンセン病と闘いながら、名作『いのちの初夜』を著し、二十三歳の命を燃やし尽くして逝った天才作家、北条民雄-。その極限の生命の姿を描く著者会心のノンフィクション。
感想・レビュー・書評
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著者と同年の私は日本が清潔になりお金も発言も自由になってきたのをつぶさに見てきました。生きるあかしの文学とは何なのか。今の世に文学は生きているのか。そんな問いを突きつけられます。
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“らい”というものの存在を、小説の中でくらいしか知らないので、想像するしかないわけだが、見かけがぼろぼろになるという意味では現代のアトピーに近いものなんだろうか。もちろんアトピーで死に至る事はないだろうけども。何れにしても、このあたりは、当時の人々が”らい”に感じていた気持ちと同じ気持ちを持って読む事はできず、純粋に闘病の話と感じてしまうのは、想像力不足なのかな。
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北条民雄の作品は未読なのだが、以前読んだ本にこの本のことが載っていたので読んだ。
北条民雄と川端康成の交流や、多摩全生園内の友人関係、発病前の生活など、これから作品を読むにあたって、知っておいてよかったということが沢山書かれていた。 -
とても心に残った「いのちの初夜」。
「芥川賞を取らなかった名作たち」で、同作品を取り上げたなかにこちらがあったので読んでみた。
北条民雄という人がどのような人間で、どのようにして作家として誕生したか、丁寧な取材と文献研究で見事に浮かび上がってくる。
やはりここでも、彼の作品のなかで訴え続けられている「人間ではなくいのちそのもの」「生きている、それだけで貴い」という言葉がキーワードとなって、彼の苦難の道が辿られている。
そしてその彼を支え続けた、川端康成や友人たちとの交流がとても良い。
彼らはちょっとしたことで、なんでもこまめに手紙やはがきで連絡を取り合う。即座にやりとりは出来ずそれが不便なことも多々あっただろうが、その現代とは違う、友人同士との時間の流れ方、心の繋がり方が、とても素敵だと思った。
「いのちの初夜」をまた読み返してみようか。 -
高山文彦の文章はすごく熱い。情熱を感じる。
一気に読んだ一冊。