「ケータイ・ネット人間」の精神分析―少年も大人も引きこもりの時代

著者 :
  • 飛鳥新社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784870314467

感想・レビュー・書評

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  • 10年前に書かれた本で、ケータイネットが普及したての話だが、今でも十分通用する。

    ネットに関するというよりも、引きこもりについて書かれていた。
    面白かったのは、一般的な引きこもりを外的引きこもり、普通に生活していても引きこもりの可能性があるのを内的引きこもりと区別して説明してる点。
    同調的引きこもり、冷たい優しさ、シゾイド心理は新たな発見であったので、読んだ甲斐があったと思う。

  • タイトルに惹かれた。
    引きこもりについて考えさせられた一作。

  •   非常に興味深い内容の多く詰まった1冊でした。
    引きこもりにしても「外的な引きこもり」の他に「内的な引きこもり」というのがあります。「内的引きこもり」は人にうまく順応し世の中と調子を合わせてやっていく滑らかな適応法。一見やさしいけれど、実はつめたく、人と表面上の関係しか結ぶことができません。摩擦や意見の衝突を最初からなくすよりも、それを解決していくことの方が重要だということを私たちは忘れている、もしくは知っていてもできなくなっているんじゃないでしょうか。「外的な引きこもり」のように目には見えないけれど、私自身もそうである「内的な引きこもり」の広がりを恐ろしく感じます。

      私たちは直接人と関わる機会をどんどんなくしています。
    それでもテレビなどの機械により退屈することなく過ごすことができます。機械相手というのは大変居心地がいい。なぜなら、テレビは消したい時に消せばいいし、飽きたらチャンネルだって替えられる。そこには人間的配慮が全くいりません。そういったものに慣れてくると、今度は人と関わるのがわずらわしくなったり、好ましくなくなります。結婚する人の年齢が上がっていることや、生涯シングルでいる人が増えていることは、こういった要因もある、という見方もあるんですね。なるほどと思うのと同時にやはり怖くなります。未来が不安。

      他にもやりたいことがわからないまま、親元に依存しながら過ごす「終りのないモラトリアム症候群」やヴァーチャルな世界が現実に感じ、もとの現実が空虚に感じるという「現実感の逆転」などについて実例を含め詳しくわかりやすく書かれています。読むことで危機感を覚えることのできる本です。ホラーじゃないけど、怖いです。

  • インターネット上のバーチャルな人間関係。
    一見、周囲とうまくやっているように見えるけれど、他人にひたすら同調することで深いかかわりを持てない「ひきこもり」="シゾイド人間”。
    …一者でも二者でもない、様々なかたちの、「一・五」の他人とのかかわり。

    自分と他人との付き合い方(ネット上でも現実でも)について、人間関係について見直すことができました。

著者プロフィール

1930年東京府生まれ。日本の医学者・精神科医、精神分析家。学位は、医学博士。1954年慶應義塾大学医学部卒業。1960年「自由連想法の研究」で医学博士の学位を取得。慶應義塾大学環境情報学部教授、東京国際大学教授を歴任。フロイト研究や阿闍世コンプレックス研究、家族精神医学の分野では日本の第一人者である。著書はいずれも平易な記述であり、難解な精神分析理論を専門家のみならず広く一般に紹介した功績は大きい。2003年没。主な著書は『精神分析ノート』(日本教文社,1964年)、『モラトリアム人間の時代』(中央公論社、1978年)、『フロイトとの出会い―自己確認への道―』(人文書院、1978年)など。

「2024年 『フロイト著作集第7巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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