イーグルに訊け

  • 飛鳥新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784870315853

感想・レビュー・書評

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  •  " アメリカ・インディアン "の歴史や" アイヌ "といった先住民文化の知識をほんの少しだけ得たことで、この著書につながりました。

     謙虚な気持ちにさせてくれる深い内容でした。
    また、昔々に感銘を受けた『ミュータント・メッセージ』を思い出しました。 アボリジニについて知れたことの喜びと、なんとも言えない不思議な感覚を味わったと記憶しています。
    今、同じような気持ちです。

     インディアンの長老とユングの会話や、インディアンの教えなど、心に残る言葉がたくさんありました。

    衛藤氏の『インディアンはよく私に「川の水面だけ見て川を知ったと思うな」と言いましたが、・・。
     私はその話を聞いて、学校で教えることというのは人の役に立てるという自信をつけることだ、と思いました。数学や英単語はそのための「道具」だと思うのです。』
     大いに共感します。

     天外氏の『宇宙の根っこにつながる』という表現・意味は、素敵だなと想いました。
    そして、インディアン社会・それを日本流への深い考察もありました。


     インディアンの『価値観の根底には、「自然と共に生きる」という人間の基本的なあり方があり、それが癒しの源になっている』

    『頭で考えるより、もう少し時間をかけてゆっくり感じてみろ』
    わたしへのメッセージと受けとりました。
     


  • 巷で一般的に使われるスピリチュアルという言葉には、
    常々胡散臭さのようなものを感じています。
    でも、本書はそういった内容ではなく、
    アメリカ先住民の文化や思想を深く知るための
    案内書のようなものです。

    とくに興味深かったのは、
    人類の歴史を見ると、
    生物に進化の過程があったように、
    人間社会も進化し、
    同様に意識も進化する
    ということについて触れた箇所でした。

    アニミズム的な思想は、
    もっとも初期の宗教の形態というふうに
    捉えられがちですが、
    インデアンの思想は
    実は進化の初期の段階ではなく、
    むしろ成熟した社会の
    プロトタイプといえるということを知りました。
    原初的な思想は幼稚なのではなく、
    人類本来の素直な感情を
    反映したものと考えるべきなのかもしれません。

    命あるものも、そうでないものも、
    人間を含めてすべては自然と一体であり、
    循環するものという考え方は、
    わたしたちにも共感しやすいものです。
    多くの人が幼いころに、
    誰に教えられるでもなく
    そんなふうに思っていたのではないでしょうか?
    おそらく彼らの祖先は、
    アフリカからアジア大陸を横断し、
    やがて南北アメリカ大陸に行き着いたわけですから、
    その思想にも東洋的な色合いがあって、
    わたしたちにも馴染みやすいのだと思います。


    そのほかにも、
    アメリカ先住民の思想を取り入れれた
    ヒッピー文化が廃れた理由や、
    インデアンの考え方が、
    実はアメリカ民主主義の礎なっていること、
    さらにはフランス革命にまで
    影響を及ぼしたことなどにも触れられています。
    たいへん興味深い読み物でした。




    べそかきアルルカンの詩的日常
    http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/
    べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え”
    http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a
    べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
    http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2

  • これは新しい発見ばかりの本でした。

    日本メンタルヘルス協会で講師をしている衛藤さん。
    彼のセミナーを受けた後に読んだのですが、
    なんせ実際にインディアンと生活をしているので
    説得力がある。
    更に自身の幼少の頃の経験をきっかけとして
    カウンセラーになったという経緯もあるから、
    信頼を持って彼の観点を吸収できます。

    人間の在り方、精神や宗教、
    インディアンから哲学を学んでください。

  • 私たち人間が地球に生きるものとして
    どう生きてきて、どう生きて、どう生きていくのか?

    ”進化”という壮大な視点で、
    人間脳という理性(大脳真皮質)を持った私たちの”生”を知ることができる。

    歴史は繰り返されるのではなく、
    歴史はいつもそこにあることがわかる。

    読むときのあなたが
    あなたの器で
    吸収できる
    変化する本だと思います。

  • 『イーグルに訊け インディアンに学ぶ人生哲学』天外伺朗、衛藤信之共著、飛鳥新社発行)読了。
     
     この本は良かった。今までインディアン関連の本を結構読んできたけれどもそれは語録であったり、欧米人が著者であったりで“日本列島住民”の手によるインディアン文化論はあまり読んでいなかった。

     北山耕平氏の著書やホピの預言関連の書物は読んでいたけれども、この『イーグルに訊け』は私と同年代の心理カウンセラーである衛藤氏と実際にパイプホルダーにまでなってしまった天外氏が交互に章を重ねてインディアンの精神文化、価値観を紹介していて、多分に分析的なところが良かったのかもしれない。

     北山耕平氏からは氏がインディアンの人々と長い時を共に過ごしたからこそ得られる彼らの皮膚感覚に近い言葉をその香りたつほどの文章から得ることができるし(特に『インディアン魂』河出文庫)の名訳)、この『イーグルに訊け』からはまた別の“日本列島住民”で違う分野のスペシャリストの視点からの考察で得るところが多かった。

     特に参考になったのは天外氏が巻末に表した「社会の進化」という表で、その中の「成熟した社会」「実存的社会」が私の目指したい社会であり、早期に移行したいものだと個人的に思っている。以下はその表の一部抜粋である。

     名称      近代文明社会        成熟した社会
     キャッチコピー 競争社会          平和でみんな元気な社会
     社会の目的  経済・産業の成長     個人の意識の成長・進化
     社会の規範  科学的合理主義      形而上的価値観
     中心となる   後期自我         成熟した自我
      意識レベル 
     特徴      信教の自由        宗教の変容 
             民主主義          深層民主主義
             都市に人口集中      都市と田舎がバランス
             社会の活力は高い     経済成長は低くなる
             厳しい競争         調和と許容が中心
             争いが多い         紛争の減少
             エゴの暴走         エゴの低下
             富と名誉の追求      多様性が許容される   
             ストレスが強い      装わない人々
             人々は消耗         人々はリラックス
             病気、犯罪が多い     人々の活力は高い
             多数派による抑圧     病気、犯罪が減る
             社会生活が中心      ホロトロピック・
                             センターが中心
             左脳ビジネス       右脳ビジネス
             投機的貨幣経済      地域通貨の発展
                            長老の存在
                            社会生活と精神活動の
                            バランス

     実際の表は、中世的社会、近代文明社会、成熟した社会、実存的社会、超越的社会の5つに分けていて段階的発展をしていくのが分かりやすく表している。
     例えば成熟した社会の先にある実存的社会では社会の目的が「全体性との調和」であり、特徴に「自然農法による自給自足」や「地球のエネルギー循環にそった文明」などが挙げられている。  

     先に衆議院議員選挙があったけれども上の「成熟した社会」を目標とすることを標榜するような政治家や政党が出てきたらまっさきに投票するのだけれどもまだ時期尚早なのだろうか・・・

著者プロフィール

工学博士(東北大学)、名誉博士(エジンバラ大学)。1964年、東京工業大学電子工学科卒業後、42年間ソニーに勤務。上席常務を経て、ソニー・インテリジェンス・ダイナミクス 研究所(株)所長兼社長などを歴任。現在、「ホロトロピック・ネットワーク」を主宰、医療改革や教育改革に携わり、瞑想や断食を指導。また「天外塾」という企業経営者のためのセミナーを開いている。さらに2014年より「社員の幸せ、働きがい、社会貢献を大切にする企業」を発掘し、表彰するための「ホワイト企業大賞」も主宰している。著書に『「ティール時代」の子育ての秘密』『「人類の目覚め」へのガイドブック』『実存的変容』『ザ・メンタルモデル』(由佐美加子・共著)『自然経営』(武井浩三・共著)『幸福学×経営学』(小森谷浩志・前野隆司・共著)『人間性尊重型 大家族主義経営』(西泰宏・共著)『無分別智医療の時代へ』『「自己否定感」』『「融和力」』(いずれも小社刊)など多数。2021年の夏、これからの生き方や在り方、暮らし方をみんなで学ぶオンラインサロン「salon de TENGE」をスタートした。

「2022年 『「正義と悪」という幻想』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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