シナリオの書き方―映画・TV・コミックからゲームまでの創作実践講座

著者 :
  • 映人社
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  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784871002318

感想・レビュー・書評

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  •  ここは○マス空けて書くみたいな基礎の基礎から、話の組み立て方やポイントまでが丁寧に説明されていて、書き方が全く分からない人も一から学ぶことができる。
     ドラマのシナリオ応募みたいなものを前提として説明されているが、広く様々なシナリオのハウツーになると思う。

  • <作品に説得力を与える>
    ・シナリオ・ライター初心者の作品に欠けているのは、シナリオの欠点をカバーする説得力。説得力とは、リアリティー。現実らしさ、本当らしさ。嘘の話をいかに本当っぽく語るか、上手に嘘をついた作品ほど面白い。プロは嘘のつき方がうまい。

    ・初心者の作品は見せるための工夫をしていない。映像で表現する。具体性を与えると説得力が生じる。

    <セリフ>
    ・ひとつのセリフはできるだけ要点を短く簡潔に。言いたいこと、伝えたい情報はひとつに絞り込む。ひとつのセリフの中に別の話題を入れると、観客はどっちの話題が重要かわからなくなる恐れがある。長いなと思ったら、一旦切る。
    ・映像として表現すれば、説明セリフは減る。
    ・削る。ひっくりかえす。たとえる。嘘をつかせる。するとセリフが面白くなる。

    <素材選び>
    ・固定観念を取り払ったところから物事を見る。素材に飛びつかず疑う。本当にそうなのか? みんなが考えている通りなのか? ニュースで言ってる通りなのか? 考えてドラマを創造する。

    <構成の大切さを確認する>
    ・起承転結の承の展開は、現代人の感覚にマッチせず、まどろっこしいという印象を与えやすい。承のテンションをジャンプアップさせる。
    ・もっとも簡単な構成は4ポイントからのスタート。タイトル、入り方(起)、クライマックス(転)、終わり方(結)を決める。アイデアが浮かんだら、まずこの4つをチェック。全部面白そうなら次に進む。

    <ハコ書きを作る>
    ・ハコ書きに縛られてはいけない。脚本書いちゃうと直すのに時間がかかる。ハコ書き段階なら簡単に直せる。直すためにこそハコ書きがある。
    ・脚本は徹底的に練って練って、直し続けることで、大勢の視聴者に見てもらえる作品になり得る。
    ・直す作業が、作業全体の3分の2を占める。欠陥は必ずある。あらを見つけて直すことができるかどうか。

    <視点の問題>
    ・主人公の視点でシーンを描くのが基本。視点をぶらさない。せいぜい主人公と副主人公の2つまで。

    <謎・秘密・嘘を配分する>
    ・初心者のシナリオの欠点はとにかく全てを説明しようとすること。謎や秘密や嘘は興味をつなげる。
    ・1つのシーンで1つはよくない。1つのシーンに2つの要素を入れる。シーンのラストが次のシーンの始まりにしりとり式につながるように、謎を絡めていく。

    <起を魅力的に作る>
    ・状況を説明しようとしない。いきなりドラマを作る。印象的な幕開けにする。わからせようわからせようとしなくていい。

    <転と結の注意点>
    ・転、クライマックスは、テーマを訴える部分。じっくり枚数をかける。テーマは前半から色濃く出す必要ない。転の部分で強く観客に訴えるのが効果的である。
    ・結の機能は、テーマの定着。作り手たちはこういうことを訴えたかったんだと観客に納得してもらうこと。故にぐだぐだ説明すると作品が台無しになる。クライマックスは枚数をかけて、結はさっと簡単に終わらせて、余韻を残す。ここでも説明はNG。映像、行動で伝える。

    <時間経過>
    ・シーンを飛ばすことで、意外性を出す。省略は技術。隠す。ドラマに必要なシーンだけ見せる。

    <シャレードを使う>
    ・何かの象徴である。小道具のシャレード。場所のシャレード。人物を示すシャレード。かつての恋人と一緒に写っている写真を見て主人公が泣く(小道具のシャレード)。写真を見て、写真に写っている広場に来て、広場で泣く(場所のシャレード)。写真を見て、その写真を破る、破った後につないだり、写真に釘をさしたり(人物を示すシャレード)。

    <最後に>
    ・シナリオがうまくなるためには、日ごろの地味な習作、レッスンを続けるしかない。

  • シナリオの書き方、ドラマの作り方。
    『シナリオの基礎技術』と似た部分もあるが、(新井一さんは師匠らしい)
    読みやすく要点がまとめられているので、手元に置いて何回もおさらいするにはとても便利な本。

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著者プロフィール

小説家、脚本家、劇作家、シナリオ・センター講師。
95年、歴史群像大賞を『桃鬼城伝奇』にて受賞。同年、オール讀物推理小説新人賞を『二万三千日の幽霊』にて受賞。
映画脚本に『GOTH』『武士の家計簿』『武士の献立』『二宮金次郎』『島守の塔』など。
著書に『しぐれ茶漬 武士の料理帖』『面影橋まで』(光文社時代小説文庫)『猫でござる』①②③(双葉文庫)ほか多数。

「2023年 『劇的! 小説術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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