日本語の視点: ことばを創る日本人の発想

著者 :
  • 創拓社出版
3.75
  • (0)
  • (3)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 14
感想 : 2
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784871381888

作品紹介・あらすじ

「鈴木さんは社長だ」と「鈴木さんが社長だ」はどう違うのか。日本語の諸問題を、22の視点からやさしく解説。日本語のしくみがすっきりわかる。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ほかのあらゆる言語と比べてもあきらかに日本語は特殊である。日本語の特殊性を生み出すのは助詞の存在と副詞の意味使用の汎用性である。数学という言語でしか表現、表象し得ない事柄があるように恐らく日本語でなければできないそれもかなりあるだろう。

     よく英語の特徴として、話者である自分の視点を中心にしている言われるが、実は日本語くらいその中心性を内包する言語はない。英語における話者は点にすぎないが、日本語の自分、ウチ意識は状況によって円のように伸縮する。また常に話者が意識され、前提とされるのでそれゆえ明確な暗黙の了解として主語の省略が行われる。

     また言語の情感も日本語独特であり、それは英語や他の言語がせいぜいカメラの10万画素程度であるのに対し、日本語は1000万画素くらいの細やかさがある。それが話し言葉としても、書き言葉としても身体や感情の感触をリアルにつやっぽくする。I love you.でも、
    私はあなたが好きです。
    わしはあなたが好きです。
    俺はおまえが好き。
    俺はおまえが好きやねん
    自分は君が好きであります
    俺はあんたを好いとうばい
    それぞれに情感が異なるのである。その状況、関係、感情により使う言葉、感じる言葉は変化する。この微妙な情感の違いによる言語の使い分けを言葉で発する前段階でも意識することでまた感情や感性に言葉にならない細やかさを生む。

全2件中 1 - 2件を表示

著者プロフィール

1930年東京生まれ。日本語学者。文学博士。早稲田大学名誉教授。在職中は早稲田大学日本語研究教育センター所長などを兼任し、特に、外国人の留学生および日本人学生への日本語の教育・研究・指導に従事。『日本語質問箱』(角川ソフィア文庫)『基礎日本語辞典』(角川学芸出版)『日本語の類義表現辞典』(東京堂出版)ほか著書多数。

「2019年 『日本語をみがく小辞典』 で使われていた紹介文から引用しています。」

森田良行の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×