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- / ISBN・EAN: 9784871406703
作品紹介・あらすじ
建築史家にして建築家、藤森照信。大地から生まれた素朴な姿の建築は、やがて木を登り、ついに空を飛ぶ。原始の様に大らかな未来へと向かう。
感想・レビュー・書評
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藤森さん大好きです。全ての建物に訪問することは叶わないので、こうやって一冊の本に仕上げてくれると嬉しい。赤瀬川原平さん亡き後、藤森さんの作品を進行形で見られるのは幸せです。
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「茶室学」の写真ではもう一つ分からないので、購入。
著者を知ったのはいつだったか。路上観察学会の前には知っていたような気もする。観察学会は勿論、赤瀬川源平の超芸術「トマソン」から派生。学会は筑摩の松田氏、漫画家の南伸坊さん、故・杉浦日向子さんも参加していた。建築探偵の本も路上観察学の本も随分楽しませて貰った。それから、探偵の監修した花小金井の「たてもの園」も何度か行っている。ボクは建築探偵藤森先生のファンである。
その建築探偵が設計をするという。現代建築とは違うし、探偵の調査した近代建築とも違う。正直、どうして今更、設計を初めたんだろうと思っていた。
土着的なのに、宙に浮いたような不思議なカタチ。アニメの「ナウシカ」にこの建築があっても違和感がないかも。同じ感想は誰もが持つようで、宮崎駿監督との関連はよく聞かれるそうである。
最後は「空飛ぶ泥船」。p267のモノクロ写真は漫画のよう。
床、壁、天井を土で塗り、大きな開口を取ると、太古の洞窟の住まいのイメージ。不思議な安らぎがある。茶室も洞窟の再現なのだろうか。
読後はすっかり建築家藤森先生のファンになってしまった。
ところで、作品第一号の信州諏訪の神長官守矢資料館は狩猟時代の文化を伝える展示だが、その守矢には出雲から侵入してきた神との戦いに負け、稲作を伝えられた伝承があるとのこと。
それって諸星大二郎の「孔子暗黒伝」に出てきた話では。高過庵や移築された空飛ぶ泥船も近いらしい。これは観に行かなくては。 -
藤森さんについての本を読んだのはこれが初めてですが、彼自身の人柄にとても惹かれました。
自分にとっては、自然というものについて考えるきっかけになりました。スラスラ読めるのでお勧めです。 -
藤森さんが現代建築の領域においてされていること、されてきたことをそのまま書の世界に置き代えた時に、そこに自分の役割があるという気がした。
〇以下引用
インターナショナルな、バナキュラー
普通の建築家には、「藤森のやっていることは判らない」と言われました。「環境を壊さない」「誰にも似ない」「歴史の様式をしない」それだけを考えていた。
僕は言葉の恐ろしさを知っている。いかに優れたデザイン能力でも、しぼんでしまうことがある、下手に自分の内にたまるものに光りを当てると、醗酵している菌が死んでしまう。最初から注意していました。デザインを言語化しない。代わりに人から言われてなるほどと思い、今に至っています。
面白いのは、皆さんが褒めたコメントを聞くと、それが決して建築であるとは言っていない。ぼくらもそうでしたが、既存の建築の壇上で批評することがしばらくできませんでした。
見たこともないのに、懐かしい
無国籍の民家にして、現代建築の問題としては、何を言っているのかよくわからない
自分の意図と異なって解釈されるのは、悪いことばかりではない。歴史をやっていたので、作者の意図しか伝わらない建築は、作者の人生と共に終わってしまうことを知っている
作者の意識は、必ず時代の制約を受けます。優れた作品には、時代の制約に負けない内容が入っている
日本的な民家風にして行き詰まった。文明ごとの建築の様式が成立する以前まで遡らなくてはならない
人類のはじまりの様式と、20世紀建築の成立がパラレルんい見えて仕方がない
生産や社会や技術、人間の本来的な美意識、人間を超える物へのあこがれ、そういうものがさまざまに絡み合って、一つの形式が生まれた。つまり人類史の前と後二つの時代に、世界各地でバラバラに発生した建築の源たちが、一体化した。 -
2015/4/19
自分が建てた建物に入って怖がっちゃう。
最高 -
貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784871406703 -
なんとなく名前はしっていたが、ちゃんと考え方や作品に触れたのはこれが始めてだった。見た目に目を引くが、中とのギャップが面白く堪らない!出生から今考えていることが細かく書いてあるので、知らなくても理解し易い一冊。
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藤森さんが建築史家になろうと思った過程、そのあと設計をすることにした過程、藤森さんがどのように考え、どのような経験をしてきたのかがわかる。みんな真っすぐに道を進んできたわけではない。その時その時の決断が今のすがたを形成した。この本を購入してよかったと思う。
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私は藤森さんの建築を建築として見ていなかったから好きだったんだな、と気付いた。
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きっかけはミーハー。
元々自分でも気になるからーという辺りで興味を得て購入。
氏の設計した建築物をインタビュー形式で年代順に追ってゆく。
専門的な話はほとんどなく、私のようなミーハー建築探訪好きにも読みやすい内容だった。
自分が過去に実際に訪れたことのある建物についてのくだりは、具体的な体験・記憶と照らし合わせながら読むことができてより楽しめた。
行ったことのない建物や、話の中に登場するほかの建築家のあれそれについても、新たな興味を得ることができた。
インタビューを通して、現在の氏の取り組みは、その時々の人とのつながりや縁の中で生まれた仕事を通して見定められ、形になってきたことが窺い知れた。そういった辺りは、建築にまつわる具体的なエピソードとは別に、氏の人生観(?うまい表現が見つからない)みたいなものを知る手がかりになるような気もした。
自分(と仲間)の手でつくるひとなんだなー、と思った。 -
懐かしさを持ちながらも、見事に従来の建築史の呪縛から抜け出しており、非常に建築史家らしい素晴らしい建築家だと思う。
個人的な好みで言っても、藤森さんの建築は可愛らしくて大好きだ。実際に見学に行っても、出会うまでの過程が楽しい。わくわくしながらバスに乗り、丘を登り、出会うまでの時間が楽しい。(そういう建築を作る人ってなかなかいない。。。)藤森さん自身もすごい楽しそうに作ってるように感じられる。
藤森さんが書かれた著書は良書が多いので、是非手にとって読んでみることをおすすめします。