生活保護とあたし: あたしたちは怠け者ではありません。まずはあたしたちの日常をのぞいてみてください
- あけび書房 (2012年12月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (172ページ)
- / ISBN・EAN: 9784871541121
感想・レビュー・書評
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東京新聞で紹介されていた本。生活保護のうち不正受給が0.4%しかないや、障害者や病人、高齢者が受給者の8割など、知らなかったことは多い。ただこのデータのソースをちゃんと明記しておいてほしかったところ。ソースがないので後でちゃんと調べたい。それがあればもっと生活保護に対しての誤解も解消されたたと思う。
この本の中の知識だけで考えれば、生活保護に関してはバイトをすればその分は生活保護費の削減という形にされてしまう。つまり生活保護を脱するほどの賃金を獲得できなければ一切働かず、生活保護を受け続けるほうが生活保護利用者にとってプラス。これは生活保護の人が脱却しようとするインセンティブがない。たとえば、働いた分は行政側で貯蓄してあげて、生活保護の範囲を超える収入を継続して半年続けられたらその貯蓄分は返還する等の彼らが生活保護から脱したくなるような制度設計が必要では。メディアも、確かに税金から出しているのだから不正受給をバッシングすることも大切。ただ、やるならこういう制度的な欠陥をたたくことも大切。この制度こそ大きな税金の無駄使いではないだろうか。
この本を通して思ったことは、一度レールを外れてしまうと、這い上がって来にくい社会だなあと感じていた印象が強まった。雇用の流動性が確保されていない労働市場や、生活保護の制度設計などもその典型。そしてさまざまな行政の制度に問題が出ているのは、確実に日本が良い方向か悪い方向かいずれにせよ変わってきている証拠で、昔作った制度が合わなくなってきていることに原因があるんだろうなと改めて感じた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
仕事絡みで生活保護について何冊か読んでいたが当事者が書かれた本は初めて読んだ。今回の制度改正?で本当にギリギリ崖っぷちで爪先立ちの人が申請出来なくなるのが心配だ。誰でも明日のことはわからない。真面目に生きててもこの世界には誰でも落ちる可能性がある穴があいてるんだから。
この本を読んで生活保護バッシングは許せないと改めて思ったのに、テレビや新聞でタバコ吸ったり髪を金髪に染めてる受給者を見て「贅沢だろ」「国民の税金をそんなことで使うなよ」と思ってしまう自分もいる。難しい。