今こそ“暗闇の思想”を―原発という絶望、松下竜一という希望

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著者 : 小出裕章
  • 一葉社 (2013年1月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (116ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784871960526

今こそ“暗闇の思想”を―原発という絶望、松下竜一という希望の感想・レビュー・書評

  • 市民運動の第一人者、松下竜一氏。
    その松下氏が唱えた「暗闇の思想」について、原発問題で様々な活動をされてこられた小出裕章氏が講演した内容の書籍化。
    松下氏の短編も収録されている。

    小出氏の福島原発についての講演内容は、小出氏の他の著作や、福島原発関連の多くの書籍と重複する部分はある。

    この本において最大の注目点は、タイトルにもあるように、「今こそ<暗闇の思想>を」という一言に尽きる。

    「強くなければ生きられない。優しくなれないなら、生きる価値がない」
    「自分以上に生きることに困難を抱えている生き物に対して、どんな眼差しを向けることができるのか」

    電気により、生活は便利になった。電気により医療が発達し生きることができるようになった人もいるだろう。
    その恩恵は大きい。
    だが、自分よりも弱いものを犠牲にしてまで恩恵を受けることに、何の価値があるだろうか。

    「エネルギーが足りるとか足りないとか、電気が足りるとか足りないとか、そんなこととは全く無関係に原子力なんてやってはいけない」

    論が極端になりすぎると思考停止に陥る可能性はあるが、これは経済的、理論的に判断する問題ではない。
    人間も生物である以上、本能的、経験的に判断せざるを得ない局面はある。
    ものごとの本質を見極める場合には、ロジカルな数値判断ではなく、勘で判断したほうがよいことが多い。
    原発問題は、直感で判断すべき問題だろう。
    まさに今こそ、「暗闇の思想」が必要となる。

    私は、恥ずかしながら本書を読むまで松下氏を存じ上げなかったが、「暗闇の思想」を体現された方が40年以上前にいたことに驚いた。
    日本人は、この40年間に目先のことしか考えずに、問題を先送りし、問題の根本を解決してこなかったのだと思うと、気が遠くなる。

    今こそ我々若い人たちは、先人に学び、問題の解決を根本から考えていく必要がある。

    20代や30代など、私と同世代の人たちに、ぜひ知ってほしい一冊。

  • 小出さんの講演記録と、松下竜一さんの遺した文。小出さんの講演自体は、暗闇の思想についてはほとんど出てこず、原子力や国の罪を訴えるものです。でもタイトルに騙された、というわけではなくて、この講演は松下さんを偲ぶ会でのもので、それはもう前提条件になっているのです。後半の松下さんの「暗闇の思想から十七年」は必見と感じました。火力発電に反対してきた罪滅ぼしに、火力発電を動かしてくださいという運動を始めようか、という皮肉。原子力が将来そうならない可能性はあるのか。それともやはり原子力は「あがり」なのか。

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