チェリビダッケ 音楽の現象学―28のオーケストラとのコンサート記録付

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制作 : 石原 良也  鬼頭 容子 
  • アルファベータ (2006年11月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (151ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784871985444

チェリビダッケ 音楽の現象学―28のオーケストラとのコンサート記録付の感想・レビュー・書評

  • チェリの音楽の哲学を全て理解するのにはまだまだ勉強が足りなかった。そしてチェリの生演奏を聴くことができないことが残念です。

  • 楽譜から音楽を理解しようとする仕方を客観主義的と呼ぶのであれば、この本の中で示された指揮者の方法論、響きとその統一のなかに留まろうとするあり方はたしかに「現象学的」と言えるだろう。


    以下は自分なりの理解のメモ。

    【音と音楽】
    ・音楽を聴く際、聴いているのは音ではない。音の関係である。ゆえに、音楽にとって精神に何の影響もない繰り返しなど存在できない。(p.40)
    ・人が音楽の条件を作る。むしろこの現象を「人間は宇宙から盗み取る。」(p.21)

    【テンポ】
    ・音の間の対立が多ければ多いほど、その知覚には時間が必要である。つまり「時間的な次元は最初から音程の中に含まれている」。(p.46)
    ・テンポはそれそのものでは存在しない。響き、響きの統一体とのみ、ともに存在すること(響きによって作られる統一体の条件であること)ができる。(p.52f.)
    ・テンポは速度ではない。「物理的な時の中で生じる差は、還元によって成立するすべてのより高度なまとまりに影響しません」「テンポは、無です」「テンポには、間違ったテンポも正しいテンポもありません」
     こういったテンポについての言明の理解には次の例えが助けになる。「熱はものを通して明らかになります。熱があることが明らかになるには、何か熱くなる物がそこになければなりません。けれども熱くなる物そのものは熱ではありません。」(p.52f.)

    【音楽と精神】
    ・多様な楽器のバランスをすべて整え、雑多さを消失させなければならない。そのときに現れる「一つ」だけが「使いものになるのです。というのは私たち自身が「一つ」だからです。雑多さと戦っている間は何も始められません。」(p.50f.) なぜなら精神はただ一つのもののみに向かうことができるからである。(p.35)
    ・音楽に調和と統一をもたらすことはただ精神のみができることである。「精神は雑多さを克服しなくてはなりません」「雑多さが永久に新しく発生し続ける以上、還元する能力も永久に磨り減ることなく維持し続けなければなりません」(p.51)
    ・音楽の「終わり」は始まりの中にすでに含まれている。それは言葉を話すとき、途中まで進めば既に最後の結末を予期しながら話しているのと同じこと。(p.56)
    ・自由な精神だけが音楽のもろもろの対立とその統一、自由への道を真に聴き取ることができる。その合致(符号)のためには、青い空を純粋に青く感じ取れる純粋な意識が必要となる。「言葉はそうでもこうでもあり得ますが、音楽の音は、そうであればそうとしかあり得ないのです」(p.57ff.)

    【録音】
    ・マイクロフォンは音のまとまりを拾えない。従って、自分自身で音のまとまりを聴くためにかけた時間はマイクロフォンを通してはただの無駄な時間となってしまい、「遅過ぎる」テンポとなる。
     「私は、フルトヴェングラーがロンドンでヴァーグナーの作品の一つを録音した後こう言ったのを聞きました。「何ということだ、これは私のテンポではない! こんなにゆっくり指揮したことなど一度もない!」」(p.87f.)

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    マエストロはp.46で「二つの音が大きければ対立も大きく、片方が小さければそれほどでもない」という旨のことを述べているが、では「強弱の対比」というのはどのような対立なのだろうか(ハイドン「驚愕」のような、あるいは弱奏による反復のような)。

    実はそれは予期された対立に過ぎないのだろうか?

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