完全自殺マニュアル

著者 :
  • 太田出版
3.55
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本棚登録 : 2869
感想 : 327
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  • Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784872331264

感想・レビュー・書評

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  • '94.4読了。
    当時のベストセラーであり物議を醸し出していたが(自殺を助長するとかなんとか)、騒ぎたてるような内容ではない。

    自分の当時のメモには読んだことしか書いてない。ブルーハーツのライブで忙しかった模様。

  • すでに現代の古典といってよい名著。とりわけ「終わりなき日常」の閉塞感を過不足なく表現した「はじめに」の文章――その引用を僕はこれまで何回、目にしてきたことだろう。《だけど世界は終わらなかった。〔…〕アンポトウソウで学生が味わったみたいに、傍観してるだけの80年代の革命家は勝手に挫折感を味わった。〔…〕テレビのドラマみたいなハッピーエンドはない。ただグロテスクな"ハッピー"が延々と続いていくだけだ。/そう。キーワードは「延々」と「くり返し」だ》[p4-5]。

    そう、この人の文章は巧みだ。過不足がない。ちょうど昨日のツィートで、著者が本書を世に出した意図を過不足なく語っていた。《『完全自殺マニュアル』はそれまでに根強くあった、「強く/頑張って生きろ」だの「自殺する人は心の弱い人」だのといった風潮に対する、そう言われる側からの「ふざけるな」という反撃でもあった。そのニュアンスは、その風潮が蹴散らされた今となっては、なかなか伝えづらい》と[2015.6.20]。

    だが、著者の語りはあまりに上手すぎる。この本には即物的な情報の羅列とともに無根拠な断言の連続がもたらす快感があり、それら断言は「諦め」の美学によって支えられている。たとえば「ケーススタディ10」。いじめによる中学生の自殺例を記述した後、《いじめられるヤツはなにをしてもいじめられる》《高校に進学しても事態が変わるとは限らない》《彼のとった選択は正しかった》と著者は書く。だが、その数ページ前に書かれているのは、少年が小学校時代は明るい少年だったこと、ささいなケンカ騒ぎがいじめの原因だったこと、つまり《いじめられるヤツはなにをしてもいじめられる》ではなく『誰であっても何かをすれば、いじめられる可能性がある(しかも、その何かは事後的にしか分らない)』という事実だ。

    著者の意図がどうであれ、本書の言葉は《そう言われる側からの「ふざけるな」という反撃》になっていない。むしろ「諦め」によって時代や状況の共犯者になってしまっている。そのことで「誰もが確率論的に不幸になる可能性がある」という残酷な事実と、その事実と戦う辛さの両方から目を背けている。そんなふうに感じられた。

    著者は《〔「強く/頑張って生きろ」だのという〕風潮が蹴散らされた今》と2010年代を語っている。言うまでもなく、この言葉も嘘だ。著者は《そもそもなんの共通目的もなく、ただ人間関係だけがあるクラスという奇妙な集団のなかですることと言えば、恋愛ゴッコかいじめくらいしかない》と書いた[p94]。むしろ、そうした「ただ人間関係だけがある」奇妙なつながりが全面化された今、本書が否定する「強く/頑張って生きろ」も、本書がいう「諦めてもいいよ」も空疎に聞こえる。本の面白さや後世に与えた影響、時代の証言という意味での歴史的価値は★5つものだと思うが、個人的には、こうした「インテリの戯言」には大した価値はないと思う。

    (2015.6.22追記)
    著者がこうした諦念にたどりついたのは、それなりの事情があるのだと思う(著者自身がブログなどでそれについて書いている)。でも――というか「だからこそ」、この本の基調低音である《「強く生きろ」なんてことが平然と言われている世の中は、閉塞していて息苦しい。…死にたければ勝手に死ねばいい》[p195]は、著者自身が「インテリの戯言」に酔ってしまった結果だと思うし、僕はこの本に平均点以上の点は付けたくない。この本はまだ結論じゃないし、何より毒がなさすぎる。この著者は(何より著者自身のために)もう少し毒のある、違った処方箋を用意してくれるはずだと思っています。

  • 死のうと思ったときにはいつでも死ねると知っていることは確かに生きていく安心感につながるのかも。
    でもやっぱり死のうという意思を実行した人の気持ちは分からない。凡人には立ち入れない境地に、世界の真理に気づいてしまったんだろうか。

  • ついに手に入れた伝説の本。

    93年発行ではあるが、普通に生きていては知り得ない自殺について惜しみなく堪能できる一冊。まさにマニュアル。


    読書の魅力とは、読んだ人にしか見えない世界が増えることにある

    この本で増えた世界は自身にプラスと成り得るのか。やはりそれも、読んだ人にしかわからない。

    また読みたい

  • 面白かった。

  • 淳久堂台北忠孝店で購入した。

  • 色々な自殺の方法が書かれていて、ネタとしておもしろいです。
    だけど出版日が古く、薬に関しては情報が古いだろうなという感じ。
    いつでも死ねる、という安心感は生きる上で必要なのではないかと思っている自分にとっては、楽しく読めましたね。

  • 思想分野からの反応を意識したであろう、パフォーマティブな構成だと思います。ファミコンの攻略本のようでもあり、一種のゲームフィケーション?自殺するつもりでは手に取っていない一般読者にとって、内容はさほど大事ではない。このことのために厳密に下調べを行ったという足跡と、自殺を選択肢とすることに罪悪をにおわせないクールさが本書の肝なんだと思います。

  • 勉強になった。
    すぐそばに置いておきたいバイブルになった。

  • とにかくこういう本が好きです
    出版されてから結構経つので新 完全版自殺マニュアルとか決定版みたいな感じで出てほしい

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著者プロフィール

鶴見済(つるみ・わたる)
1964年、東京都生まれ。東京大学文学部社会学科卒。複数の会社に勤務した後、90年代初めにフリーライターに。生きづらさの問題を追い続けてきた。精神科通院は10代から。
つながりづくりの場「不適応者の居場所」を主宰。
著書に『0円で生きる』『完全自殺マニュアル』『脱資本主義宣言』『人格改造マニュアル』『檻のなかのダンス』『無気力製造工場』などがある。
ブログ:鶴見済のブログ(tsurumitext.seesaa.net)
Twitter:鶴見済(@wtsurumi)

「2022年 『人間関係を半分降りる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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