- Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
- / ISBN・EAN: 9784872331264
作品紹介・あらすじ
薬局で買える死ねるクスリから、最も安楽に死ねる方法まで、聖書より役に立つ、コトバによる自殺装置。
感想・レビュー・書評
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より善く生きるとか、人生の意味とか、まばゆい理想を掲げるのは簡単だ。
世間並みの常識を踏まえて、レールに乗って行けば下地が出来る。その上に幸福感を盛り込めば出来上がりだ。
ではレールから外れてしまったものはどうしたら良いか?
人生の目的を見失った者には世間は生き辛い。世間並みの常識の目線が、レールから逸脱したアウトサイダーには逆光となる。
本書でもレールから外れてしまった者たちの末路がクールな筆致で語られている。
彼らは死ぬことでしか自分を救うことができないと思い込まされたのだ。
死は救いなのか?
答えはわからない。
死に方を懇切丁寧に解説した本書だが、著者はアウトサイダーが社会を生き抜くための活動を行なっている。生きたもん勝ち、ということか。
目次
1 クスリ
2 首吊り
3 飛び降り
4 手首・頚動脈切り
5 飛び込み
6 ガス中毒
7 感電
8 入水
9 焼身
10 凍死
11 その他の手段 -
他人に話すことも憚られる内容をどこか明るく面白い文体で書いた作品。最高に面白いけど手に入れるのに苦労した。
いざとなったら死ねるという生きていく上で最強の選択肢を手に入れられる一冊。 -
こんなに面白い本を読んだのは初めてかもしれない。
軽快な文章、幅広い情報、まさに集大成とも言えよう。
いつでも死ねると思えば、生きることがどんなに楽になることか。いつでも死ねる、どんな風にでも死ねる。だからどう生きたっていい。そう、「生きるなんてどうせくだらない」のだから。それくらいに思っていても、いいのかもしれない。「死ぬ」という選択肢がまだ残っているのは、ある意味で我々にとっての救いである。
自殺を推奨するわけではないが、特に否定はしない。止めようとしたところでなくなるものではない。「生きていれば良いことがある」なんてのはあまりにも無責任な発言だ。本書でも、生前あまりにも不幸だった自殺者の身の上について記述が多数あったが、そのまま生かし続けることが本当に正しいことだとは到底思えない。「生き地獄」という言葉があるがまさにそれだろう。死ぬことによって救われる命だってあってもおかしくないはずだ。そして生きる権利があるなら死ぬ権利だってあるはずだ。(と言って、太宰治は本当に死んでしまった)
本書も決して自殺推奨本ではないが、この本の情報をもとに自殺した人というのはどれくらいいるのだろうか。それを考えるとぞっとしなくもない。
今使うには少し情報が古すぎてあてにならないものも多いと思われるが、かなり興味深い一冊だった。買いづらいけど、読む価値はある。
また、死にたくなったら読み返そう。 -
1993年出版の本。話題になっていたのか、タイトルは知っていたので、図書館で借りてみた。
タイトルのとおり、色々な自殺の方法が淡々と書かれている。首吊りが最も苦しまず、未遂率が低く、簡単にできるものだとある。
「服薬」による自殺の章では、薬局で誰でも買える薬の名前がたくさんあげられている。そういった薬を大量に飲むらしい。現在では状況は変わっていると思う(医者の処方が必要とか)が、死が身近にあるんだなと不思議な驚きがある。
「手首・頸動脈切り」の章が読んでいて一番しんどかった。自分の手首にカッターナイフを当てるだけなので、簡単にイメージができてしまう。そのイメージが怖い。
良くも悪くも、死というものを考える機会にはなったと思う。でも、全体を読んでいて、文の調子の軽さや自殺するのが良いことのように書いているのに違和感がある。自殺を試みて生き残ったケースをあげて、それを残念なことのように書いている。
また、この本が出版された1993年という時代を感じる。「生きづらさ」という言葉がよく出てくる。この頃に比べると、現代は生きやすくなっているのか?自殺者数はどう変わっているのだろう?
軽くネット検索してみた。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%8C%E5%85%A8%E8%87%AA%E6%AE%BA%E3%83%9E%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%82%A2%E3%83%AB
・本書は「生きづらさ問題」の先駆け。以前はよく見られた自殺者の心の弱さを責める言説は姿を消した。
・本書のブームとなった発売年と翌年の2年間は自殺者数は減少した。
・本書が主たる原因とされる自殺事例は、確認されていない。
ショッキングなタイトルだが、世の中を変えた1冊と言えるのかもしれない。死を考えて、自分を考えるきっかけにはなると思う。
「何か辛いことがあれば、その時に死ねばいい」と考えていれば、ひとまず前に進むことができる。家族や身近な人のことを考えると、なかなかそうも言えないが。 -
評価がつけられない。
自殺する人の心理、そして、その方法を知りたく、自殺のことを知るために真っ先に思い浮かんだ本がこれだった。なんと2023年の今も売れ続け、122刷され、120万部を超えるベストセラーとなっている。
どこか少し恐怖心を感じながら、購入した。この本は現在有害指定図書に指定されている。しかし絶版にはなっていない。そんな本を"購入する"、という行為自体も、良いことなのか。その部分も悩んだ。しかし、読みたいという気持ちが優った。死を選ぶ人たちの、自殺をした人たちの、気持ちがしりたいという気持ちが、まさった。
この本の中では、あらゆる自殺の方法が、詳細に記されている。まさにこれを読めば完全に死にいたれる。それぞれの死に方に対し、自殺した人々のエピソードと、その背景が掲載されている。読み始めるまでは、「自らの手で死ぬなんてよくない」と善人の典型のような感覚を持っていた。自ら命を絶った人が身近にいる人はそう感じるのではないか。しかしこの本を読んで、そんな迷いのなかった考えに翳りが発生した。こんなにも不幸としかいえないような、生きている方が地獄のような人がいて、その方に「生きていたらいいことがある」「死んだら周りが悲しむ」なんて、言えるだろうか、と。周りが悲しむ、という言葉の背景には、その本人の、その当事者の最も重要な"その人の気持ち"が置き去りにされている。その人の人生は、その人のものだ。周りのために生きる必要はない。その人がその人の人生を選べば良い。
ともすると、自殺をすることの是非の前に、一人一人の、その当事者の"気持ちに寄り添う"ことが何よりも大事なのだろうと思う。自殺をした人、未遂に終わった人々のエピソードを読んでいて、総じて感じるのは、「助けて」と言える相手が、誰もいないことだ。あるいは、言っているのに、大ごとだと捉えてもらえない。あるいは、もう人生に疲れ切って、「助けて」なんていう発想すら持てていない。
人生ってなんだろう、と心底思う。なんで、こんなにも人によって不幸が集中してしまう人生があり、平穏に暮らせる人生があるのだろう、と思う。生きることだけが絶対正義で、死は絶対悪なのだろうか。読む前まで、あんなにも「自分で死を選ぶなんて絶対してはいけない」なんて思っていた私は、ただの能天気な世間知らずだったのかもしれない。人の数だけ、当然だが人生があり、その人生には、私の想像を遥かに超えるものがある。彼らの状況を知らないままに、自分の見えている世界だけをみて何かを主張することの、なんと浅はかなことよ。
死はこんなにも近くにある。家の中にあるもので、わたしたちはあっさりと、自分の手で、死を作ることができる。あの人も。この本を読んだのだろうか。この本で、死に方を精査し、選んだのだろうか。この本がなければ死ななかったのだろうか。この本がなければ、生き続けてしまい、苦しみ続けたのだろうか。死、という結果の前に、どうすればもっと彼らのサインに、早く気づけるのだろうか。気づくことすら、不要だと思われているのだろうか。 -
読んで良かった。
色んな方法があると知ることが出来たし
(この書籍は出版年からかなり年数が経っており
世の中の情報が更新されてしまっているため
薬の商品名云々はもう使えなさそうだが)
中でも、実現可能不可能を見出すことも出来た。
今後のお守りになる本。
こんばんは。
いいね!有難う御座います。
野伏間の治助 北町奉行所捕物控 シリーズの8作目です。
長谷川卓さんの本は、「戻...
こんばんは。
いいね!有難う御座います。
野伏間の治助 北町奉行所捕物控 シリーズの8作目です。
長谷川卓さんの本は、「戻り舟同心」シリーズの新装版が出てから読み始めたのかな?
はっきりは覚えていませんが、新刊が出たら読んでいます。
読んでいて面白いです。
中でも一番は、「嶽神」の上下巻です。
真田忍者、伊賀忍者は出て来るは、そして武田家の遺金をめぐって壮烈な戦いです。
是非読んでみてください。
やま