週刊少年『』 (01)

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  • 太田出版 (2003年12月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784872338195

週刊少年『』 (01)の感想・レビュー・書評

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  •  本書は、スカパー!フジテレビ721で放送されていた、マンガ家のインタビュー番組の書き起こし。
     俳優の船越英一郎さんが、荒木飛呂彦・車田正美・宮下あきら・福本伸行・ゆでたまご・高橋よしひろ・島本和彦・永井豪・板垣恵介・藤子不二雄Aの各先生10人に100の質問をし、そこから更に突っ込んだ話を聞くというもの。

     はじめは正直「何で船越英一郎?」と思いました。が、インタビューが始まると船越英一郎のマンガヲタっぷりが遺憾なく発揮され、程なく私は自分の不明を恥じることとなりました。

     車田先生には「先生のデビュー作っていうのは、僕らの認識だと『スケ番あらし』っていうことになるんですけど」と聞き、福本先生の回では、福本先生がマガジンでかざま鋭二先生がアシスタント募集をしていのがきっかけでかざま先生のアシスタントをしていたという話を聞くと、「その頃っていうと、『海商王』とか」とすかさず聞き返し、二人から「よく知ってますねぇ~」と驚かれていました。特に『海商王』うんぬんなんて、自分が当時マガジンを読んでないとなかなかとっさに出てきませんよ。
     最後のA先生の回では、「尊敬するマンガ家は?」という問いに手塚治虫と藤子・F・不二雄を挙げ、A先生が藤本先生への思いを語られたシーンで船越氏が涙ぐむ一幕がありました。マンガ家へのリスペクトと愛がすごいのは番組中ずっと感じていましたが、あの涙を見た時、「この人は本物だ!」と思いました。マンガ家へのインタビューは色々見ましたが、最高と言っても良いインタビュアーだったと思います。

     荒木飛呂彦先生の回では、ジョジョの擬音がロックのギターの音(例えばギュウィィィィィィンなど)を表しているというのになるほどと思いました。でも、じゃあ「メメタァ」って何の音なんだろう…?
     好きなマンガ家として横山光輝先生を挙げていたのも意外で、「バビル二世が学生服で沙漠を歩いている姿を見ると涙が出てくる」とまで仰っていました。確かに『バビル二世』も一応勝つことに理由が全部付いてましたが、『バビル二世』のオマージュとしてジョジョの第3部(主人公が学ラン姿でエジプトまで行く)が描かれたとしても、それ、誰もオマージュと気づきませんて!

     車田正美先生の回は、車田先生の語りと絵面が濃くて、テレビ画面に油膜が貼るんじゃないかと思いました。色々興味深い話もあったんですが、この問答で全て吹き飛びました。

    《058 コスモの定義とは?
    車田 テレビ観ていたら、宇宙の番組やってまして、「人体も小宇宙なんだ」と。「ああ、なるほどなぁ~」と思って、そこから、心の中の小宇宙=コスモと。》

     全然定義されてない…(笑)

     宮下あきら先生の回は、民明書房の解説が白土三平の技の解説をやろうとした、というのになるほど。
     それにしても、民明書房のネタを書きながら、「自分でも吹き出して、『こんなのあるわけねえだろ!』って(笑)」と仰ってたのには、笑いながらも正直「ひでぇ!」と思いました。
     だって、我々の世代は小学生の時『魁!!男塾』がど真ん中ストライクだったわけです。台所で夕飯を作る母の後ろで、「なぁなぁ、お母さん。かやくご飯って言うのは、元々中国の武術家が自分の体を爆弾にするためにご飯の中に火薬を入れててな…」と得意げに民明知識を披露し、十年後死にたいくらいの後悔をした、そんな奴らがゴロゴロいてるんです。どこで気づくかには個人差があったようですが、プルッツフォン・ポイントとかは割りとマジメに信じてた奴、多かったですよ。

     福本伸行先生の回は、「描いてもらおう」のコーナーの衝撃で、話の内容を全部忘れてしまいました。
    「僕、下描き描かないと描けないんですよ…」
     今回取り上げられた10人の中で一番絵がアレな福本先生なのに、その福本先生が下書きして描いてるってwww ファンとして申し訳ないんですが、このシーンは腹抱えて笑い転げました。

     ゆでたまご先生の回は、作品がぶっ飛んでいるだけに、逆に「二人とも、普通の人やん!」と意外に感じました。
     インタビューの中で印象に残っているのは、最強の超人が「悪魔将軍」だということ。他の超人と違って、悪魔将軍は実体がなく「こんなやつ、どうやってプロレスで倒すねん!」と怖くなったのを覚えています。同じ事を全国のキン肉マンファンの子供たちが思ってたんですね。

     高橋よしひろ先生の回は、番組を観ながら小学生の頃観ていた『銀牙 ~流れ星銀~』などを思い出していました。
     よくよく考えたら、凶暴な熊を倒すため、犬が全国を渡り歩いて野良犬をかき集め、冬の雪山でその熊と死闘を決する”闘犬ロマン”って、どうやったらそんなの思いつくんだ!ってくらいぶっ飛んだ話ですよね(笑)。
     高橋先生がインタビュー中ふともらした、「どうせ犬の漫画描けば売れるんでしょ」という一言が妙にツボでした。醒めているというか何というか…(笑)

     島本和彦先生の回は、とにかく爆笑の連続でした。作品に負けない本人の熱さ! 船越氏が『男の一枚 レッドカード』のファンだと言うと、「あ、そうですか。申し訳ない(笑)」と謝ったり、嫌いな食べ物で生牡蠣と答え、船越氏に「先生、アレは"海のミルク"って言われてるんですよ」と言われると、すかさず「海のミルクだったらミルク飲めばいいじゃん!」と力説したり。週刊連載やっているとき、見開きで蜘蛛の巣に人間が絡まっている絵を描いたところ、同じ号に宮下あきら先生の『瑪羅門の一族』で同じ見開きが描かれていたのをみて「しまった!同じ電波を受け取ったぁっ!!」…もう細かいところまで全部熱くて面白かったです。

     永井豪先生の回は、永井豪世代じゃなかったので、逆に番組でその凄さを知った次第です。『デビルマン』と『キューティーハニー』など作品はいくつか知ってましたが、こんな穏やかな人がこんなに振り幅の広い作品を描き続けていたということに、改めて驚きました。穏やかな永井先生を観ていると、この人があの『デビルマン』を描いたとは思えなかったです。(この辺が、私のヲタとも言えないヌルさなんでしょうけど)
     インタビューを観ていると、ご本人はわりといたずらっこ感覚でアイデアを作品にしているように感じたんですが、それが『けっこう仮面』だったり『まぼろしパンティ』と作品になると、いたずらでは済まんだろう、と思ってしまいました(笑)。

     板垣恵介先生の回は、車田先生に負けず劣らずの濃い回でした(笑)。格闘技や自衛隊時代の話も面白かったですが、意外な面白さがあったのはデビューのいきさつ。小池一夫先生の劇画村塾での話や、デビュー作の『メイキャッパー』の話は、『バキ』のイメージと全然違うだけに興味深かったです。
     でも、一番笑ったのは『バキSAGA』の話。板垣先生は「愛を完全な形で描く上でSEXは避けて通れない。みなさんはビックリしてるようですけど、僕は大真面目ですよ」と仰っています。うん、だからあんなに面白かったんです。なまじ真剣なメッセージが込められているからこそ、あの過剰な描写に笑うんですよ。体を触って「柔!!」、体を触られて「危!!」と500円硬貨大の大きさで一々描かれ、「格闘技とSEXは似ている。格闘技は相手にダメージを与えるが、同じポイントがそのまま性感帯だったりする→『快感(ダメージ)を与えろ!!』」…何というか、サッカーに少林寺を持ち込んだギャグ映画「少林サッカー」のトンデモなさを百万倍に濃縮したようなトンデモ感でした。

     藤子不二雄A先生の回を観てると、『忍者ハットリくん』や『プロゴルファー猿』、『笑うせえるすまん』以外にも色々親しんでいたことに気づかされました。
     A先生は普通の初老の男性っぽかったんですが、インタビューを聞く内に変なところがいっぱい出てきます(笑)。

    《025 好きな食べ物は?
    藤子 僕は寺で生まれたんで、非常に偏食で。肉と魚は今でもあんまり食べないんですよ。(略)

    026 嫌いな食べ物は?
    藤子 肉も魚も食べませんけど、嫌いなわけじゃなくて。だから、僕は風呂へ入る時、必ずグルメ雑誌をいっぱい抱えて入るの。それで、どこどこの店の、例えばステーキの写真を見て「いいなあ~」って。それが楽しみで。
    船越 え~!
    藤子 だから嫌いなものはない。食べられないだけで》

     いや、仰ってる意味が分かりません!(笑)

    《033 ファッションのこだわりは?
    船越 ファッションにこだわりはございますか?
    藤子 人に見せようって訳じゃないけど、ゴルフファッションばかりしてますね。僕は毎日仕事場に来るわけで、「ああ、今日も仕事かあ……」って憂鬱になるんですよ。その時に仕事なんだけどゴルフファッションを着るんですよ。要するに、一瞬だけど「ひょっとしたら、今日はゴルフに行くんじゃないのか」と自分を騙せるわけだ(笑)。
    (一同笑)
    藤子 結局、「ああ~! やっぱり会社か~!!」って気付くんだけど、それが大事なことでね。やっぱり、いい気持ちにならないと原稿は描けないですよ》

     これは何となくわかるような気がするんですが…やっぱりわかりません! 毎日着てたらさすがに一瞬も騙されなくなるでしょう!!(笑)


     できたら番組を観て欲しいところですが、本書でもその十分楽しめると思います。「好きなマンガ家は一人、二人しか出てないからなぁ…」なんて言ってないで是非読んで下さい!

  • スカパーで放送されていた「週刊少年『』」という漫画家インタビュー番組を単行本化したもの(人選はややジャンプ寄り)。
    インタビュアーを2時間サスペンスの王者、船越英一郎が務めているのには驚かされましたが、その漫画愛・造詣の深さにはもっとびっくりさせられました。
    実際の番組を観たことはないのですが週刊漫画雑誌風の色付き再生紙使いや装丁に見られる遊び心は好きな部類に入ります。

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