トンデモ本の世界S

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著者 : と学会
  • 太田出版 (2004年5月20日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784872338485

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トンデモ本の世界Sの感想・レビュー・書評

  • この後書き、「目に飛び込んだウロコの話」はまだ覚えている。感動したな。

    日本SF界の重鎮、故・星新一氏の名言のひとつに、僕が座右の銘としている言葉がある。「目のウロコが落ちたのと、飛び込んだのとではどこで見分けるんだ?」

     もう十年も前になるが、ある原稿でこの言葉を引用した際、原典が手元になく、時間も足りなかったので、やむなく記憶に頼って不正確な引用をしてしまった。その後、気になったので、星氏の発言のソースを探し出した。
     それは『SFマガジン』一九六八年二月号の「新春SF放談会 SF人がこう評価する」という座談会でのこと。出席者は星氏のほかに、大伴昌司・小松左京・筒井康隆・手塚治虫・半村良・平井和正・福島正美・眉村卓・南山弘‥‥といったそうそうたる面々。
     その座談会の中で、奇現象研究家として名高い斎藤守弘氏が「最近のSFには発見性がない」と批判した。「普通の小説にはどんなつまらないものを読んでも、確かに発見性がある」「今の世の中は発見だらけなんだ。みんなには、目のウロコみたいなのがあって、それを見出せないんだよ」と。
     ところが、その「発見性」なるものが何を指すのか、他の出席者には理解できない。「センス・オブ・ワンダーということですか?」(豊田有恒)、「文学精神のこと言ってるわけ?」(筒井康隆)、「インスピレーションでもない?」(手塚治虫)、「クリエイティブということじゃないの?」(石川喬二)、などと寄ってたかって問い質すのだが、斎藤氏はどれも否定する。ところが、説明を要求しても、斎藤氏自身にも「発見性」とは何なのか具体的に説明できない。「禅問答だなまるで」という平井和正氏。
     作品名を一つ挙げてくれと言われた斎藤氏、「誤解を招くかもしれないけれど、石原慎太郎なんかそうです」「あれは当時の文学のパターンを破った――人間の見方をね」と言う。たちまち、「慎太郎なんて新しいんじゃなく繰り返しだよ」(矢野徹)、「あんなものは当時の文壇にとって新しかったんであって文学としては別に新しかったんじゃない」(眉村卓)などと、集中砲火を食らう。
     そこで星氏のこんな発言。
     「目のウロコが落ちたのと、飛び込んだのとはどこで見分けるんだ?本人は落ちて新しいものが見え出したと思ってるけど、実は飛び込んだから見えだしたんだ(笑)」
     斎藤氏はなおも反論するのだが、これはどう見ても斎藤氏に分が悪い。彼は昔からあるものを新しい概念だと勘違いして「発見性」と名付け、他の者にそれが見えないのは目にウロコがあるからだと思っているのだ。

     そもそも、「目からウロコが落ちる」というのは聖書の言葉である。『使徒言行録』九章、キリスト教徒を迫害していたサウロが、天からの光とともに、「なぜ私を迫害するのか」というイエスの声を聞き、とたんに目が見えなくなる。彼の家に、やはりイエスの声に導かれたアナニアがやってきて、サウロの上に手を置く。すると、目からウロコのようなものが落ちてサウロはまた目が見えるようになる。彼は改心して洗礼を受ける。
     だから、何かの宗教に入信した人が「目からウロコが落ちた」というのは、用法としては正しいのである。しかし、僕みたいな無神論者は、ついつい星氏と同じことを言いたくなってしまう。「それって、本当はウロコが飛び込んだんじゃないの?」と。
     ウロコとは、心の目にかかった偏見のフィルターである。フィルターがなくなれば、世界がよりクリヤーに見えると思われるかもしれない。それは逆だ。このフィルターは自分に都合の悪い情報をシャットアウトする働きがある。だから目にウロコが飛び込んだ者は、不都合なことが目に入らなくなり、世界が単純明快に見える。「目からウロコが落ちた」と勘違いしてしまうのだ。
     一例を挙げるなら、「唯物論や進化論は人間... 続きを読む

  • トンデモ本とは『著者の意図したものとは異なる視点から読んで楽しめる本』のこと。
    著者はバリバリ本気なのだけれど、どう読んでも的外れな解説であったり、思い込みの激しい解釈でしかなかったり。そんな素晴らしき才能を持った怪本の数々が紹介されています。大いに笑って大いに絶賛。私はトンデモ小説の項が一番好きです。お腹を抱えて笑える、極めつけ・超娯楽本!

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