封印作品の謎

著者 :
  • 太田出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784872338874

作品紹介・あらすじ

DVDや衛星放送が普及し、あらゆる"埋もれた名作"が発掘、復刻されている21世紀。しかしその片隅では、存在のみ知られながら、いまだ決して目にすることができない一部の作品群が、ひそかに語り継がれ続けている。これらの物語は、いったいなぜ「封印」されてしまったのか?誰が、いつ、どこで、「封印」を決めたのか…?大学生時代、ネット上での酒鬼薔薇聖斗の顔写真公表の動きに関わった経験も持つ著者が、戦後の特撮、マンガ、ゲームを中心に、関係者の証言を徹底的に集め、その"謎"に迫る。必読の新世代ルポルタージュ。

感想・レビュー・書評

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  • mmsn01-53

    【要約】
    ・ウルトラセブン 怪奇大作戦 ノストラダムス ブラックジャック 0157ゲーム

    【ノート】

  • すごく真面目に書かれた力作。封印された作品名だけを並べた本もある中、何故封印されたのかを丁寧に取材している(それでも原因がハッキリしないものが多いという事実もまた興味深い)
    この本は10年以上前に出版されているけれど、いまだに似たような事案(女性差別にあたりそうな萌え絵やエロゲーの絵を公的なポスターに使って問題になった等、つい最近も聞いた)が発生していてあまり人権に対する意識改革が進んでいるとは思えない。過激な表現や差別表現に対してはますます締め付けが厳しくなっているし、コンプライアンスという言葉も定着した。確かに昔は人権意識が低過ぎて明らかにダメなものもあった。でも過敏過ぎるのでは、と思ってしまう事も無くはない。意識改革ではなく、ただ目に付かないように消し去ることのみが進んでいるように感じるのだ。
    封印されたものには作り手側の「誤解」「認識不足」と、受け取り側の「誤解」「曲解」、またはそれらが双方ともにある場合がある。この本の中でも差別だと訴えた団体と制作側が和解しているものもある。でもその後、自主規制だったり他からの圧力だったりで封印の憂き目にあっているのだ。はなから観る価値もない駄作なら消えていっても仕方ないけれど、観るべきところがあったのではないかと思える作品には再評価の機会があってもいいのではないか。

  • 極一部の人たちが「差別だ!」と騒ぐだけで、作品は失われるということが分かる。円谷プロの2作、ノストラダムスの大予言、ブラックジャック。最終章の18禁ソフトキャラ云々については正直いらなかった。

    面白かったのは被爆者支援団体のエピソード。
    支援団体は、「被害の重大さのアピール」と「被害者差別の根絶」という2つの使命を持っているが、被害の重大さをよりアピールしようとして、重篤な被害者を掘り出してきて露出させればさせるほど、差別される要素が増えるというジレンマが発生するらしい。

  • 2004年刊。◆特撮・マンガ等の封印作品を挙げ、そこに至った要因を関係者のインタビュー等から解読。ウルトラセブン12話が封印作品であったことは既知だが、他の作品は殆ど知らない。◆全体的には、製作者・創作者側は、差別等を告発する意図で製作したが、その意図に反する結果・評判を招来したもののよう。また、作品あるいは作品全体からみてさほど問題はないのに、著名な作品を批判することで批判者の自己アピールに利用した面も見え隠れ。◇他方、製作者側の無知による明白な誤謬ある作品もあって、正邪の判別がつけにくいものも多い。
    もっとも、自主規制が過ぎると、作品のテーマがぼやけ、面白みだけでなく、社会問題の告発すら自制してしまう結果も予想され、痛し痒しの面は拭いがたい。最近、人間の業に迫るようなテレビ作品に出会えていないことから、そう思ってしまうのだが、実のところどうなのだろう…。

  • ウルトラセブンの第12話に代表されるような、作品の内容に問題(主に、社会的な差別や誤解などを助長するなど)があるとされたために、再放送はおろか、メディアでの発売や特集記事などからも封印されてしまったもの理由の真相に迫る。
    著者が興味本位ではなく、真摯に封印理由の真相に迫ろうとする姿勢が文章ににじみ出ている。リアルさが感じられた。真相に迫るほどに、封印理由は世間で云われているものとはズレがあることが明るみにでてくる。
    特に衝撃的だったのは怪奇大作戦の「狂鬼人間」っだ。これは現実的で犯罪があったのではないかと予感させるが、実際には事件になっていないようだ。やはりこの手の話というのはきな臭いことが現実にあるのかと背筋が寒くなる思いがする。
    ちなみに、狂鬼人間がネットで検索すれば海賊版を見ることができる。私が見た感じでは、確かに使われている言葉自体は問題視されるだろうが、内容は、今日のエグイものに比べればむしろおとなしめと感じた。時代背景に違いだと思うのだが。

  • 「ウルトラセブン」と「怪奇大作戦」について読みたくて図書館で借りた。
    ネットでも詳しく書かれたサイトが存在するので、特に目新しいことは書いてなかったけれど、著者の情熱を感じた。年齢近い。
    最近「怪奇大作戦」がDVD化されたが、くだんの24話は封印されたまま。至極残念。牧さんシビレル。

  • こういう視点で書いた本を初めて読んだので、衝撃的だった。
    作品に関わった人へのアプローチについて詳細に書かれている。非常に苦労してこの本を書き上げたんだろうな。

    それにしても、実際に本当に文句が出たのか不明なことが多いこと。
    いずれにせよ、風評被害が一番怖いんだろう、日本人は。
    それは、唯一の宗教を持たない国であるが故の気質なのかもしれない。

    手塚作品が、今回のような理由で封印されているのは残念。
    マニアでなくても、そう思う。
    でも、どうしても読みたいなら国会図書館へ。そうだね。

  • 差別撤廃教条主義者と製作者側の自主規制の問題。しかし、「被爆怪獣」は知らなかった。

  • かの有名なウルトラセブン第12話など、何らかの差別表現などの理由から抗議を受け、それ以来封印された放送出版物の経緯を探るルポルタージュ。覗き見的な下世話な視点からではなく、真摯に表現の自由を考え、作品の真の意図を理解しようと努めている。もと新聞記者の作者によるデビュー作で、出版は8年前。続編も数冊執筆されているようなので、機会があれば読んでみたい。
    むかしは作る側も受け取る側もまだ大らかだったと感じる。最近は何をしても爆発的速度で世論が拡散し高揚するから、メディアも萎縮気味だ。

  • 「ブラック・ジャック」など有名な作品は多くありますが、その有名な作品にも様々な事情により封印された物語があります。
    その物語の一部を紹介した一冊です。
    【熊本学園大学:P.N.和菓子】

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