ライトノベル☆めった斬り!

  • 太田出版
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本棚登録 : 130
感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784872339048

作品紹介・あらすじ

平井和正、夢枕獏、菊地秀行、氷室冴子、新井素子から、『ロードス島戦記』、『スレイヤーズ!』、あかほりさとる、『十二国記』、『炎の蜃気楼』、『ブギーポップ』、さらには『涼宮ハルヒ』『マリみて』『鏡家』『ドクロちゃん』まで、1970年〜現在のライトノベル代表作品(と忘れられた名作)を徹底採点!『文学賞メッタ斬り!』の大森望とライトノベル書評の草分け・三村美衣が総括する、史上初の「ライトノベル30年史」。

感想・レビュー・書評

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  • 2022/2/15読了。
    短期集中独学講座「ライトノベル概論」の13冊目。
    11冊目で東京忍者に脱臼させられて茫然自失に陥った本独学講座受講生だが、カリキュラムはまだ半ば。本書も含めてこのあと読むつもりのテキストはすでにアマゾンから取り寄せて本棚やKindleのライブラリに積読になっている。まだ届いていない本もある。もう少し続けよう、と気を取り直し、仕切り直しのつもりで文学史のおさらい。
    さすがに情報が濃い。大森望がすすめるならと、僕でも読んでみたくなるような作品も紹介されていた。だが本書の中に『東京忍者』は影も形も気配もない。忍者だからか。やっぱりあれはライトノベルとは違うものだったからではないか。

  • SFやライトノベルにくわしい著者二人がライトノベルの歴史を振り返る対談と、100シリーズに及ぶブック・ガイドが収められています。

    本書が刊行されたのは2004年ですが、谷川流『涼宮ハルヒの憂鬱』(角川スニーカー文庫)、おかゆまさき『撲殺天使ドクロちゃん』(電撃文庫)などが登場し現在に至るライトノベルの流れが完全に確立された直後ということで、かなりタイムリーな出版時期だったのではないでしょうか。

    ライトノベルの前史から90年代に至るまでの情報が簡潔にまとめられており、刊行から15年が経った現在の読者にとってライトノベルの歴史を知るためにも便利な手引きとして使えます。水野良『ロードス島戦記』(角川スニーカー文庫)、神坂一『スレイヤーズ!』、秋田禎信『魔術師オーフェンはぐれ旅』(ともに富士見ファンタジア文庫)など、ファンタジー全盛期のあと、90年代の半ばにファンタジーの衰退期があり、その後(『エヴァンゲリオン』やkeyの美少女ゲームの流行などを取り入れつつ)、ライトノベルの世界でまったく新しい文体を開拓した上遠野浩平『ブギーポップは笑わない』(電撃文庫)以降、「電撃文庫」がライトノベルのスターダムにのしあがって「セカイ系」と「萌え」の全盛に至る、という流れが明瞭に見通すことができます。

  • ライトノベルガイドブックとして俯瞰視したものというよりは、SF畑の2人によるライトノベル(とその周辺)の雑記といった感じ。しかし所謂若者向け娯楽小説の流れや流行がわかり、今後とも重宝しそうな1冊。読みたい本が増えてしまう~

  • 完全に知っている人のための本
    今となっては話題にもならないものが大量に出てくる
    本文下の注釈はそのための親切心なんだろうけどページがずれてるからイライラさせられた

  • ラノベに、特に90年代以前のファンタジーものについてはほとんど知識がないので為になります。オタ二人による個人の感情が多分に入っている解説が、正確さはともかく生々しくて面白い。こうして時系列でみると、ラノベってやはり若者の時代性を大きく反映させてると実感。発行が04年なのだけど、はたしてここから10年でラノベはどれだけ自身を更新できたのか?については、本書中でも言及されてる新城カズマがどうやらリサーチ中らしいので、本書の内容を忘れないうちに出してもらいたい。

  • 以前ぱらっと読み。

  • 卒論対策として再読する。読みやすくていいです。思い入れのない大森さん、思い入れのある三村さんのバランスは絶妙です。この分野の創成期のコバルト、ソノラマを中高生のころ何冊か読んだことがあります。氷室さん、高千穂さんの本も読んでいます。しかし、途中で投げ出した記憶があります。では、ハードSFを読んだわけではありません。つまり、僕には、小説自体読む趣味がないのでしょう。気になったのは、「あかほりさとる」です。この人は、何者なんでしょう。

  • ジュブナイルとか、SFって、要するにラノベだったんですね。ラノベが読めないというお父さんに読ませたい。

  • ドラえもん、マイナス105歳の誕生日おめでとう!
    ……とおもったらもう9月4日だ。
    というわけで、大森望・三村美衣『ライトノベル☆めった斬り!』を読みました。
    拾い読みは何度かしてますが、通読するのはこれが初めて。
    ライトノベルは小説だけでなくマンガ・アニメ・ゲームにも関連するメディアなので、
    この対談は必然的に「ポップカルチャー三十年史」の装いも兼ねてきます。
    性といいますか、藤子不二雄先生のことを重ね合せながら読んでいました。
    以下は気儘な断想です。よろしかったらお付き合いください。

    ライトノベルの前史としてまず語られるのは、ハヤカワ文庫SFが創刊されたころのこと。
    F先生は<ジェイムソン教授>シリーズの挿絵を描きましたが(これがたいへん写実的な絵なので驚く)
    それは当時の編集長である森優さん、のちの南山宏さんの発案だったそうな。
    ほかにも有名マンガ家をぞくぞくと起用し、ライトノベル文庫の下地を作ったという。

    いまだによく分からない“萌え”の起源として、三村さんが
    「女の子のセカンドキャラ好き、敵キャラ好きの歴史があるでしょ」
    と指摘。そこから連想したのは『オバケのQ太郎』のドロンパ。
    まさにライバル人気の典型で、「週刊少年サンデー」に連載されていたときには
    「週刊ドロンパ」なんて企画もあったくらい、熱狂的な支持があった。
    「週刊オバQ」じゃないところがすごいですよね。私も大大大大大好きです。

    それからロリコンの一大派閥“妹萌え”、これにはF先生、深く深く関ってるなあ。
    『ドラえもん』『ドラミちゃん』のドラミなんて新しい方、
    『オバQ』のP子もまだまだ、『海の王子』のチマまで遡りますからね。
    ある人によるとチマは<妹>で<制服>で<闘う美少女>なんだから
    “萌え”の要素が全て入っているらしい。ほんまかいな。
    でも実はそれよりもっと前に『ゆりかちゃん』てのがあって、
    このゆりかちゃんがまた妹。F先生の“妹萌え”は半端じゃない!

    また、ライトノベルがぐっと成熟してからのこと、
    あかほりさとるあたりから原作→アニメ・ゲームという図式が崩れてくる、という話。
    そういえば藤子漫画にも、アニメの企画の方が先、というものがあったんですね。
    それが『ジャングル黒べえ』!
    黒人差別問題で消されたためにかえって注目された、ふしぎな作品。
    キャラクター原案・宮崎駿、演出・出崎統というのもポイント。

    ファンタジーの分類で、現実世界から異世界に行ってまた帰ってくる異世界往還型(通称ナルニア型)と、
    現実世界との接点がないハイ・ファンタジーがある、という話。
    異世界往還型は『みきおとミキオ』とかもあるけど、完成度の高さでいえば『のび太の宇宙開拓史』!
    あの畳のゆらぎ方がいいんですよね……。そして映画版の主題歌が「心をゆらして」。
    うーん、武田鉄矢はくやしいけど上手い。
    ただしこの異世界往還は『ナルニア国ものがたり』ではなく
    往年のミュージカル映画「ブリガドーン」からとったのだそうです。

    一方、「エヴァンゲリオン」以降の<セカイ系>。
    主人公がひきこもり系で、世界の成り立ちがあまり説明されないもの。
    こういうのあったっけ……? ああ、「どことなくなんとなく」だ。
    世界への不安がなんとなくな感じにとどまっているところがF先生らしい。
    実はA先生の方がセカイ系っぽいんですよね。ほら、「マグリットの石」!
    『魔太郎がくる!』もセカイ系っちゃセカイ系なのかもしれないし。

    とはいえ、こうしてみるとF先生のライトノベル度数高い!
    最近の傾向らしいエブリデイマジックものの元祖でもある。
    笑っちゃったんですが、人気作『撲殺天使ドクロちゃん』のヒロインは
    ひきだしのタイムマシンからやってきて好物はどら焼き……ってこれはおかしい。
    もう影響っていうのもおかしいくらい浸透してるんですね。そりゃ批判が出て当然だ。
    ちなみにこの本のライトノベル年表は1969年から始まっていますが、
    これは『ドラえもん』が始まった年でもあります。もう38年か!


    2007年9月4日記

  • 正直にいうと前半部分がほとんど分からず下の脚注を読みながらだったので長かったけど、会話自体は楽しく、面白そうなライトノベルを知れたので満足。今度探してみます。

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著者プロフィール

1961年、高知県生まれ。翻訳家。書評家。責任編集を務めた『NOVA』全10巻で第34回日本SF大賞特別賞を受賞。訳書にウィリス『航路』、劉慈欣『三体』(共訳)他。編著に『ベストSF』シリーズ他。

「2023年 『NOVA 2023年夏号』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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