愛がなくても喰ってゆけます。

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  • 太田出版 (2005年4月16日発売)
  • Amazon.co.jp ・マンガ (152ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784872339369

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愛がなくても喰ってゆけます。の感想・レビュー・書評

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  • タイトルがナイスすぎ!そうだそうだ、目の前のヤツがいけ好かなくても、出された料理が美味しいならその場はしのげるし、愛があっても美味いものがついてくるとは限らんだろ、恋愛至上主義、Go to hell!と、妙に力が入って(笑)いろいろうなずいてしまう、そんなタイトル。

    よしながさんらしき人物「Yなが」さんと、ご友人やお仕事仲間との食べものガチトークエッセイ漫画。それも、お料理や器に関するうんちく満載じゃなくて、味や舌触り、その味を作っている素材を追求しながら食事の相手としゃべりまくる、Yながさんの食にかける執念がすごすぎる。しかもご自身もお食事相手も健啖家なのだろう。頼む量が半端じゃない!たぶん、美味しいもの好きとはいっても小食の私が同席しても、こういう席では気後れしてしまうし、実は自分が食に対する執着が薄いことを見せつけられてしまうと思う(ちなみに、私が食事に行くときは、残念な事態を避けるために、必ず一人は健啖家を混ぜます)。

    「あるある」な男女・女子トークをはさみながら展開される、Yながさんの周りに集うかたたちの食に対する熱さを「自分にない世界だなあ」と思って読んでいたけど、これを「本」に置き換えると、結構自分にも当てはまることがあるんじゃないかと思う。同席した人と共通の本の話になったらものすごく饒舌になるとか、「ヘンな話だったね」と一言の感想だけだったら、顔は笑っていても頬が引きつる、とか。なあんだ、自分にも似たところがあるじゃん!そうだそうだ、これって食い物版『吉野朔実劇場』だな!とヘンなところで納得して読み終えました。

  • 初よしながふみさん。よしながさん自身と思われるYながさんと愉快な仲間達によるグルメ追求の道である。

    それにしても… どれも美味しそうである。このマンガには和食も洋食も中華もスイーツもなんでもある。特にうなぎ、あれ食べてみたいなあ。

    そしてやはりYながさんの食への「好き」の度合いについてやはりいろいろ思う。Yながさんは四六時中食べ物のことを考えている、という話だが、自分も道こそ違えど好きな本について暇があれば考えている。次は何を買うかとか、どこで読むかとか、次は誰を新規開拓するかとか、どうやったらもっとたくさん読めるようになるかとか、あれとこれはどちらが素晴らしいとか、いろいろ考える前にとりあえず読めよとセルフツッコミしたりとかいろいろである。本を中心に生活を回しているといってもいいかもしれない。

    ここで描かれるYながさんもそうだけど、強烈に好きなものがあれば人生退屈なんてしないんではないかな、とよく思う。学生の頃「退屈だー」と言っている人がよくいて「本読めばいいやん」とずっと思っていた。又吉さんか誰かも言ってたけど読書を覚えてから、退屈だと思えることってほとんどなくなった、むしろもっと時間をくれと(まあでも精神的に不調であまり読書に気が向かない時もたまにあり、そういう時はちとつらいのだが)

    食の趣味を否定されて男を見限るYながさんと出版社の仕事の仕方がまずくて入社をキャンセルするS原さんはなんだかんだで似ていると思う。

  • 「愛がなくても喰っていけます」よしながふみ。
    2005年に出たマンガ本です。
    どこかに連載していたもののようです。
    実に、オモシロかった。
    食べ歩き、お店紹介のエッセイ漫画、とでも呼ぶべきものでしょう。



    よしながふみさんは、以前に読書会で「愛すべき娘たち」を読んで、面白かったんです。
    自分の世代(1972生)からすると、かつて、岡崎京子さんや、内田春菊さん、西原恵理子さん、やまだないとさん、と言った漫画家さんたちが、
    実にヌーヴェルヴァーグ風の雰囲気で商業漫画の中に進出してきたことを鮮やかに覚えています。それに似ています。
    個人的には何と言っても、岡崎京子さんが最大にして最強だったんです。
    「テイク・イット・イージー」(1988)あたりを読んだのが、恐らくほぼリアルタイム、高校生だったと思います。
    そのときに、「おおっ、なんだか新しい。これは、普段の僕たちの体温とコトバで出来てるマンガだなあ」と感じたことを覚えています。

    よしながふみさんもそうですが、みんなきっと既存のマンガが好きなんだろうなあ、という上手さがあります。
    そして、これまでの名作に十分にリスペクトを払った上で、「それをマネしてもしょうがない」という決意や野心に溢れている精神があります。
    そのあたりが、どうでもいいのですが、1960年代にフランスを中心に発生した映画のヌーヴェルバーグを彷彿とさせます。
    (そしてそれは、黄金期のハリウッド映画に対峙して、「同じことをやっても仕方がない」という大いなる決意を抱いていた小津安二郎の映画も思いださせます)

    …というのは、全て、自己満足な思い出し語りなんですが。
    恐らく、かつての僕たちのように、今の10代~30代の方たちの多くが、よしながふみさんのマンガに「しっくりくる。これまでになかった」という好感を持っているんだろうなあ、と思います。

    (と、言う風に時系列と流れの中での位置づけがまず見えてしまうことが、歳をとった、ということなのかも知れないなあ、とふっと思いました)



    エッセイ漫画風、外食レポート風、なんですが。
    でも実はストーリーマンガです。

    主人公は、よしながふみさん自身をかなり投影している(少なくとも、そう思われることを計算に入れている)30代らしい女性漫画家。
    それなりに売れていて、アシスタントを数名使っています。
    もうひとりの主人公は、そのアシスタントのひとりの、若い男性。

    このふたりが、ひょんなことから(アシスタント君が家を無くした?)同棲しているんです。

    で、ここまではともかくここからが、21世紀だなあ、と思うのは。

    30代の女性漫画家と、20代の男性アシスタントが同棲しているんだけど、タイトル通り「愛はない」訳です。
    でもこれが実はひねってあるのは。
    恐らく厳密に言うと「愛」はある。と、僕は思いました。

    「あなたたち(20世紀的なオトナの考え方、自民党的な価値観)にとっての「愛」っていうのはいらないし、そんなものは無い」

    という感じです。

    ぢゃあ、だからと言って、60年代~70年代のサヨク的若者のように、あくまで既存の価値観や既成概念に対しての、「反権威という権威」を思わせるヒステリックな反抗精神なのか?というと、当然違います。

    もっとしなやかで、もっと個人的で、パーソナルで。
    わかりあえて、オープンに共有できるという夢想がはじめから存在しない。
    つまり、今書いて思いましたけれど、物凄く「村上春樹的」です。と、僕は思いました。果たしてそれが他人に納得性があるのかかなり疑問ですが。

    解釈はともあれ。

    女性漫画家と男性アシスタントは、それなりに多忙な日常を送りながら、同棲しています。
    いちゃいちゃしたり、ラブラブしたり、Hしたり、ということは全くありません(描写としては)。
    (ただ、「そういうことが、全く二人の関係の間に、過去にも存在しない」、ということも言及されません)
    ただ普通に声をかけあったり、ちょっといたわったり、愚痴を言ったり、愚痴を聴いたりします。
    お互いにいろいろあっても、物凄く背筋の通った、相手との距離感やモラルを保っています。

    見た目、社会的な立場でいうと、ふたりともすごく異端であり、はぐれものであり、「若いうちにだけできる冒険中」というポジションなのですが、
    ところが実は相手との距離感の取り方や、優しさの持ち方で言うと、実にまっとうで、素敵なカップルにも見えます。

    そして、そんな二人の共通項は、「美味しいものを食べるのが好き」。

    という訳で、何かにつけて美味しい外食をします。

    ただそれも、数万円が当然かかる、というお店は滅多に無くて。
    数千円で食べれるというものが多いです。



    そして、そういう外食レポートを織り込みながら、物語漫画としては。

    「このふたりはどうなるんだろう」

    という興味がありながら。それは実は上っ面に過ぎなくて。

    「このふたりは、世の中とどうやって折り合いをつけていくんだろう」

    ということなんぢゃないか、と思いました。



    そして当然、作者としては、「そんなふたりがだんだんと異性として意識して」という、あだち充風の予定調和なエンターテイメントを綴る気は一切ない訳です。
    「そういう物語だったら、私ではない誰かが書けばいい」という実に強靭な精神を感じます。そのあたり、ふっと思いましたが津村記久子さんを思わせます。

    閑話休題それはさておき。

    ふたりはそれぞれに、理想の異性を探しつつ。理想の自分を探しつつ。
    そんなことで日常の情緒を乱すほどの子どもでもないのだけど、たまに世間に、世界に、周りの人たちに傷ついたり傷つけたりしながら。
    結局は同棲は解消されるけれどアシスタントは続くという、実に消化不良でスバラシイ流れの中で、マンガは終わります。



    そして、紹介される外食の数々が美味しそうです。
    どれも、いわゆる東京首都圏のお店ばかり。
    ちょっと高いなあというお店もあるけれど、年に1度でも、愉しみに連れ合いと訪れてみたいなあ、と思うことしきり。



    愛ってなんだろう。まともなおとなってなんだろう。
    どうすればいいんだろう。何が正しいんだろう。
    誰かが大きな声で、偉そうに語る価値観やルールに従っても、そんなことで幸せになれないことだけははっきりしている。
    でも、制度に反攻する、という物語が所詮は実に制度的であることも見えていて。
    芸術もロックンロールもセックスも、それで快感はあっても安らぎはない。
    お金は信じられる、のかも知れないけれど、下を見て、上と比べるときに、所詮は手段でしかなくて、目的を探す虚しさに変わりは無くて。

    と、なったときに。

    「美味しいものを食べる、明日も食べる、来月も食べる。誰かと、『美味しいね!』と、語り合いながら食べる」

    というのは、刹那にして永遠であり、浅はかにして豊饒であり。
    運命的な矛盾を包み込んで溶かしてくれる、ひょっとしたら唯一の手段なのかも知れませんね。

    グルメもの、料理モノ、美食もの。
    それが、「衣食足りてしまった」1980年代以降に実に鉄板なジャンルとして君臨する理由が、こんな変化球な漫画作品から感じられてしまいました。



    同じよしながふみさんの、「昨日なに食べた?」もたまに読んでいます。
    ゲイのカップルの日常物語を、手の込んだ手料理中心に描く、という。
    これも、かなりオモシロイです。

  • きのう、何たべた?でよしながふみに興味が出てヴィレッジヴァンガードで購入しました。

    よしながふみの交友関係が面白くて紹介される人間関係模様の描写が面白い。紹介される料理も美味しそうで行って見たいお店ばっかり

  • あいまあいまにちょこちょこ読んでいた本。
    気が向いたのでがっつり再読してみた。
    「この話はすべてフィクションです」と但し書きがあったが
    正直そんなのは信用していない(爆)。

    どれもこれも、とはいかないけど(単に好みの問題。モツは苦手なの)
    概ね美味しそうな外ごはんがたくさん出てくる。
    杉並近辺が多いので行く機会は作らなきゃなさそうだけど(爆)
    ピエールマルコリーニはいつか絶対行くぞとこれを読んで決意を新たにした(笑)。
    パン屋さんも美味しそうだったなぁ。

    #7は目から鱗だった。
    K崎さんとの上手くいかなさ加減は何というか実感としてよく判った。
    あのレバ刺しの喰い方はあたしでも腹立つと思う(笑)。

    最初に読んだときは細かいところでイラッとした(笑)が
    食の好みは違えど、共感できる部分は多々ある、という
    嬉しい発見の多い本だった。

  • この美味しい物に対する執念が本当に素敵。
    出てくるお料理が美味しそうでそのお店に行きたくなる。
    制覇したいけれども現在閉店してしまっているお店もあるのがすっごく残念です…!

  • よしながさんの食への執着に脱帽。
    そのこだわり、愛ゆえにこの本は素晴らしい出来。
    出てくる食べ物全て、本当に美味しそうです。

    よしながさんのストーリーマンガはちょっと苦手意識があるのだけど、
    こういうエッセイ本は大好き。
    食べ物エッセイをシリーズ化して欲しい。

  • 食いしん坊の真骨頂。著者の食への執着が感じられる一冊。この方の食べ物の描写は本当に食欲を掻き立てる!

  • 漫画家YながFみさんが都内のおいしいお店で食べまくる。
    グルメ探訪記…として「うわーおいしそう!メモメモ」とも読めるが、描き出される人間模様も面白くて、おいしい食事の出てくる5分ドラマとしても読める。
    食への情熱のレベルが違いすぎて、それ以外は全て完璧だった男性と別れちゃう話とか、、面白かった。

    ああ…おいしいもの食べるのって幸せですよね。彼女ほどの情熱や行動力はぜんぜんないけど、うん、おいしいもの食べたいな~という思いが募りました。

  • 久々に掘り出して読んだので登録.『きのう何食べた?』から遡ってみると面白いな.ゲイと食の融合がまさに今なんだね.

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