明日また電話するよ

著者 :
  • イースト・プレス
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本棚登録 : 584
感想 : 49
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784872579130

作品紹介・あらすじ

この十余年に描かれた膨大な作品群から、もっとも重要な短編を作者自らセレクト。 書き下ろしの解題では、創作の背景や自身のルーツが仔細に明かされる。 山本直樹の精髄が凝縮された異彩の書。

感想・レビュー・書評

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  • 作者自身によって選ばれた自選短篇集の第1部。各話ごとに作者による簡単な解題がついている。
    山本直樹というのは何度読んでもとらえどころがないというか、よくわからないというか。なのについ読んでしまう。かつて有害図書指定されたように、山本直樹の特徴はその性描写、とくに少年少女のそれで、これは一貫して変わらない。しかし、それがただのエロ漫画にならないのが山本直樹のすごさ。性描写があればあるほど世界は現実感を失いするりと手元からこぼれ落ちていく。焦燥と諦念とがふわふわと中空に停滞したまま、白昼夢のような空気が紙面に定着される。

  • 表題作が、もうつらくて仕方が無い。
    しのびよる終わりの予感をごまかしながら、「また電話するよ」と今日もまた叫ぶのだろうね。

    でも、ゆっくりと坂道を落ちていくような人生のなかで、そういった言葉を投げかけることのできる人がいるって、きっと、幸せなんだろうな。

  • 夕方のフレンド、という映画を見て原作漫画の山本直樹さんを知った。
    というか、80年台から90年台にかけて、スピリッツとか「青年誌」欠かさず読んでたから、この絵には見覚えがあって…多分この人の漫画はよく読んでたような気がする。

    凄いやらしい、扇情的な線を描ける人だなと改めて思う。すげえ。
    でもなんかむかしもそうだったように、今もこれこれって感じで、追いかけるような気持ちにもなれない。
    こうなるようにできている、ということに抗い難く流される。どこか寂しい気持ちになる物語。

    表題作。
    妄想、耽溺、覚醒の兆し、の物語なのかな。
    ちょっと良かったような気もする。

    通勤電車で読み切っちゃったけど…
    周りには見られてないよね。

  • ABCの選書フェアで購入。上坂あゆ美さんの推薦の言葉に惹かれて。

  • 山本直樹の漫画をきちんと読めるようになったのは、30代過ぎてから。
    ハタチ過ぎて成人しても思春期の少年がこっそりエロ本を読むような、後ろめたさが何となく、ずっとあった。

    山本直樹作品は道新の夕刊漫画書評コラムや、道産子漫画家として、10代の頃からよくメディアでみかけていた。
    エロだけではない「何か」をこぞって取り上げられていた。
    その「何か」を捉えるのは人の数だけある気がする。
    わたしが捉えたのは「寂しさ」と「シラケ感」であった。
    それを見出すまでに、30過ぎまでかかった訳である。

  • エロの中にも抒情性というようなものが混在しており……なかなか良い作品でありました! この短編集? にも続編が出ており、金銭的に余裕があればそちらもゲットして読みたいところでありますねぇ…

    さようなら…。

    ヽ(・ω・)/ズコー

  • 著者セレクトの短編集。
    この細い無機質な線が何故あんなにもエロくなるのか。
    眠りかけの時に見る夢のような、脈絡のない台詞と気怠い空気感は山本直樹にしか出せないと思います。

    表題作の「明日また電話するよ」を初めて読んだのが中学生の頃だったのですが、当時はハートフルなお話と思っていたのが今読むと180度見え方が変わってしまって驚きました。

    お互いに寄り添っているようでどこか噛み合わない会話。こうして少しずつすれ違って、人は離れていくのだろうなあ。なんちて。あと浜イモが実在しないことを後書きで知ってとても悔しかったです。

    他の収録作品では「みはり塔」「肉彦くんとせんせい」がお気に入り。
    どちらも人生のほんの刹那に交差した男女の切なさが滲む良作でした。

  • 山本直樹入門編。夏に読みたい

  • エロ本のようで、そうでない、アンニュイで、怠惰で、デカダンス。

    小学六年生の男の子と先生の話が好きでした。終わり方がシガテラでした。

  • 恋と下心は紙一重?

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著者プロフィール

カルフォルニア大学サンタバーバラ校助教授 
専攻=映画理論・日本映画
Dialectics without Synthesis: Realism and Japanese Film Theory in a Global Frame, University of California Press, 2020, “Eye of the Machine: Itagaki Takao and Debates on New Realism in 1920s Japan,” Framework 56, no. 2 (Fall 2015).

「2019年 『転形期のメディオロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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