- Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
- / ISBN・EAN: 9784872594706
作品紹介・あらすじ
大阪大学が擁する幅広い研究分野を魅力的に紹介し、学問の懐の深さと考える愉しみを伝える出版&新しいスタイルの教育プロジェクト「ショセキカ」。「ドーナツを穴だけ残して食べる方法とは?」という学生たちの素朴な問いに、文理を問わず多彩な研究分野の大阪大学教員たちが挑む。常識を疑い、当たり前を覆すのが学問の醍醐味。ドーナツの穴から広がる奥深い知の世界にふみこんだアカデミックでユニークな回答に乞うご期待。
感想・レビュー・書評
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いろんな分野の考えをいっぺんに吸い込めて、とても楽しかったです♪ 難解で理解の及ばない分野もありましたが、ドーナツという私にも易しい仲間のお陰でなんとか読み進めることができました。ドーナツ最高!
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いろんな分野の専門家がドーナツの穴について語る
第1章 工学系 つまらん
第2章 美学? プルースト効果の逸話が知れたのだけ収穫
文体が鼻につく、殴りたい
第3章 数学 トポロジー 位相幾何学
第4章 精神医学 基地外おっさん 意味わからん
第5章 以降断念
えてして哲学的な議論は読むに耐えないことが多く個人の好みで著者を選ぶ。インテリぶった偉そうな文体は蕁麻疹が出る。すっと入ってくる文体も才能。
強いて言うなら定義が曖昧な問題に対して自分の専門の観点から論考を加える柔軟性はすこ。 -
表紙には見るからに美味しそうなドーナツ。真ん中で穴が「I’m here」と言っている。そこにいるのは分かったが、「ドーナツを穴だけ残して食べる方法」とは何の事やらさっぱりわからない。
この命題に果敢に挑戦した12人の識者は何れも大阪大学の教員で各分野の研究者だ。
工学研究科の准教授は「切る」「削る」とは何か、から始め、旋盤、フライス盤、レーザーまで持ちだしての加工を考える。加工精度を上げるために樹脂を侵食させて固定化する?もうドーナツは食べられなくなっている。
数学の准教授は「数学において論理的思考は自由である」と豪語し、「ドーナツの穴は、そこに指を入れていることで穴の存在を認識できる」と定義した上で、「そのドーナツを4次元に移動させて食べてしまえば3次元では穴を認識したままいつの間にかドーナツが食べられているということになる」と説く。「低次元トポロジー」というそうだが、屁理屈にしか聞こえない。
文学研究科の准教授はプラトンやハイデガーまで持ちだして「美学の見方に立てばドーナツそのものとは、食べられないものであり、穴も無くならない」などと驚かしてから、「現実のドーナツについて考えると、ドーナツは家である」と結論付けた。もう何も言うまい。
歴史学の教授は「どのような見方をするかによって、その物の認識の仕方、理解の仕方が変わってくる」と言い、ドーナツ問題に対しても「歴史家がとるミクロ的アプローチとマクロ的アプローチで考える」とする。これは期待できそうだと読み進めると、ミクロ的アプローチの例として「日本健康保険法と医師会の関係」について分析し、マクロ的アプローチの例として「冷戦期の国際政治」について論じる。なるほど、医師会と国際政治については大変よく分かったが、ドーナツはどうしたのだろう?
法律家の教授は、先ずドーナツに関する法令と法解釈、更に判例を調べて「ドーナツ枕」訴訟の原告、被告の主張から東京地裁と知財高裁の判決までを解説する。実に正統的なアプローチだ。しかし、ドーナツの穴問題になると、様々な屁理屈と詭弁を弄して丸め込もうとした挙句に、ヴェニスの商人を引き合いに出し、屁理屈、詭弁が賞賛される場合もあると開き直る。
結局本書を読み終わった時には「ドーナツを穴だけ残して食べる方法」が分かるどころか脳内大混乱状態に陥るわけだが、この様なくだらない問題を各分野の研究者が大真面目に論じている所が面白く、様々な分野の研究者の考え方を垣間見る事ができる所が大変興味深い。-
ごめんなさい。いいレビューで解説されたから、本読まなくってもいい気分になっちゃいました f(^▽^;)テヘペロ
どうもごちそう様ごめんなさい。いいレビューで解説されたから、本読まなくってもいい気分になっちゃいました f(^▽^;)テヘペロ
どうもごちそう様2014/07/22
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ユニークな本を読んでいる。
『ドーナツを穴だけ残して食べる方法』・・・大阪大学出版会の発行する本だ。
題名の通りドーナツの穴だけ残して食べる方法をめぐって、大阪大学の教授連がそれぞれの研究領域の立場から「真面目に」考察している。
目次はざっと以下の通り。
第0章 ドーナツの穴談義のインターネット生態学的考察(松村真宏)
第1部 穴だけ残して食べるには
第1章 ドーナツを削る―工学としての切削の限界(高田 孝)
第2章 ドーナツとは家である―美学の視点から「ドーナツの穴」を覗く試み(田中 均)
第3章 とにかくドーナツを食べる方法(宮地秀樹)
第4章 ドーナツの穴の周りを巡る永遠の旅人―精神医学的人間(井上洋一)
第5章「ドーナツを穴だけ残して食べる方法」と聞いて、あなたはこの命題から何を考えますか?―ミクロとマクロから本質に迫る(杉田米行)
第2部 ドーナツの穴に学ぶこと
第6章 パラドクスに潜む人類の秘密―なぜ人類はこのようなことを考えてしまうのか? (大村敬一)
第7章 ドーナツ型オリゴ糖の穴を用いて分子を捕まえる(木田敏之)
第8章 法律家は黒を白と言いくるめる?(大久保邦彦)
第9章 ドーナツ化現象と経済学(松行輝昌)
第10章 ドーナツという「近代」(宮原 曉)
第11章 法の穴と法規制のパラドックス~自由を損なう自由をどれだけ法で規制するべきなのか?(瀬戸山晃一)
第12章 アメリカの「トンデモ訴訟」とその背景(松本充郎)
穴の部分をどれだけ薄く残せるかに着目するのはエネルギー工学専攻の髙田准教授、切削技術は素材論も避けられない。
ドーナツを食べるとドーナツの穴が無くなるという常識から疑いはじめるのは、美学芸術学専攻の田中准教授、かれは「ドーナツは家である」という結論にたどりつく。
ドーナツの発明は「近代」の想像力をもってして始まると言う宮原准教授は、「ドーナツ以前」と「ドーナツ以後」を俯瞰しドーナツの穴に具現化された「近代」を論じる。
文系も理系も一緒になってこの本は作られている。
面白がるのも手だが、学問の深さを感じるのも手だ。
一歩まちがえば、牽強付会と衒学趣味に堕しかねない問題設定だ。
教授連のふところの深さと真面目に遊べるユーモアを期待したいところだが、さて、どうだろう。
ブログACH & PFUI より転載
http://achpfui.com/pfui/?p=3938 -
大学1・2回生向け、ということですが、社会人が読んでも十分勉強になります。
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【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
https://opc.kinjo-u.ac.jp/ -
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「ドーナツを穴だけ残して食べるという方法」というお題に対して、大阪大学のさまざまな分野の教員がそれぞれの考えをつづった本。
そもそもこのお題自体がインターネット上ではすでに何度か「流行った」テーマであり、それに対して数多くのとんちの効いた答えがネット上でも見つけることができるという。
その事実を早くも本書の第0章で紹介したうえで、それでもこのテーマを各教員に問いかけることで、ドーナツという身近なトピックからどこまで様々な視点やアイデアが生まれるかということを感じてもらうことの大切さを提起している。
実際に、最初の方こそそれぞれの専門分野からひねり出した「ドーナツを穴だけ残して食べる方法」が論じられているが、そこから先は、ドーナツという言葉に触発されたそれぞれの専門家が、その分野の研究成果を紹介したり、人間や社会のあり方を考えるきっかけになる話を語るという内容になっている。
ドーナツの穴を極力残す加工の方法を検討したり、数学的にドーナツの穴を残すというロジックを考察するといった取り組みは、一つのテーマを深く掘り下げて考えることの面白さを教えてくれる。
一方で、この設問を解くことではなく、この設問自体がわれわれに語りかけてくることとは何かを考えるといったスタンスもある。
例えば、この設問を契機に、ものごとをミクロに捉えることとマクロに捉えることの違いを検討したり、人間はこのような論理階型の誤りを含む問題を考えることで何を学ぶことができるのかといったテーマを論じた議論を読むと、このような不思議な問いを考えることこそ、われわれが常識やルーチン化した思考を乗り越えるきっかけを与えてくれるのではないかということに気づかされたりもする。
化学、法学、歴史学、機械工学、数学、美学、経済学など、文理にわたる幅広い学問分野がランダムに登場するので、本全体を通じてまとまりや構造のある話の展開ではないが、とにかくバラエティに富んでおり、またそれぞれの教員がなるべくわかりやすく自らの学問領域や考えを説明しようと知恵を絞ってくれているおかげで、それぞれの章を楽しみながら読むことができる。
知ることそのものの楽しさと、その先にある、ものごとを少し深く捉えてみることで得られる新しい発見の可能性を感じさせてくれる、面白い本だった。 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/62018