- Amazon.co.jp ・本 (152ページ)
- / ISBN・EAN: 9784872751734
感想・レビュー・書評
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ビジュアルといい着想といい、これからの社会をイメージするのにとてもよい一冊。建築の視点から語られているけど、けと晴れ、コミュニティとプライバシーの組み合わせという考え方はあらゆる今後のシステムに共通すると思う。
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町を散歩してるといろんな「ムダ」が目に付く。
貸しアパート、物件、駐車場.... 目に付くこと以外でも〇〇さんの一軒家の中には使ってない部屋とか使ってない風呂なんかのムダが無限にあるのだろう。
そんなことを考えてた自分にとってバイブルとなりそうなかなりヤバイ内容でした。
そういったムダを省き、共有する事でそり社会は豊かになる! そんな本書の内容。
「1住宅=1家族」という考えに縛られている日本の住宅事情や、国の主導による持ち家政策のゆがみ(「老後にはローンを払い終わっていることを暗黙の了解のレールにしてる」等かなりハッとさせられた...)について言及しながら『地域社会圏主義』という新しい形の暮らし方を模索している。
「少子高齢化と生き方の多様性」に対するかなりリアルで現代的な住宅モデルじゃないかなー って思いました。
また「リアルで現代的」っていうと昔の未来像からするとかなり貧乏臭い未来がリアルになったんだなーと改めて。
もちろんいろいろと問題点もあると思う。
サニタリーの共有とか貧乏学生的なことには耐えられない人も多いと思うし、本書では「地域ポイント」を地域社会圏内での労働で得られると書かれているけどこういったクローズドな環境内ではかなり線引きが難しい気がする。(お隣さんが自分の使うトイレを掃除しはるんはイヤやなー とか)
この本で一番いいなーと思うのが昔のムラ社会とかコミュニティ論への回帰じゃないところですね! -
社会の新しい運営方法を建築、空間を中心として提示。1家族1家ではなく、500人単位のコミュニティを基本とする。
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お風呂やキッチンなどをシェアしながら、身軽に住まう新しい住まい方・ライフスタイルの提案。
さらに、「家は所有するものなのか?」、「一住宅=一家族というシステムはすでに現実感を失っているのではないか?」といった、現在の社会システムに対する問いかけも含む。
提案をさらに具体的に表現するために、郊外高密モデル、都心超高密モデルとして、実際の敷地を想定した具体的なプロジェクト提案を行っている。
・郊外高密モデル
敷地:横浜市鶴見区下野野町
敷地面積:14,722㎡
延べ床面積:42,619㎡
居住人口:1,700人
・都心超高密モデル
敷地:横浜市中区不老町
敷地面積:11,000㎡
延べ床面積:55,000㎡
居住人口:1,650人
一読して感じたのは、このような取り組みは、特定の敷地における単体のプロジェクトとして立ち上げることがはたして適切なのだろうかということである。
まず、これほどの規模のプロジェクトとして立ち上げるためには、相当の資金と事業リスクを引き受ける必要がある。
また、身軽に住まうという方法を選択するためにも、近隣及び他エリアに同様のプロジェクトが複数立ち上がって来なければならない。各人のライフコースの段階に応じた引っ越しができなければ、結果として選択できないと思われる。
むしろ、このような住まい方を広げていくことは、既存の老朽化マンション、社宅、高齢者施設、旅館などの再生を通じて可能となるのではないかと感じた。
そのためには、社会システムの在り方としてプロジェクトのファイナンスの手法(住宅ローン制度の見直しを含む)や、都市計画法、建築基準法、旅館業法、消防法など、現在改修やコンバージョンを阻んでいる様々な規制の見直しが必要である。
一方、このような具体的な提案は、ライフスタイルを訴求するという点では非常に有益であると感じた。
対談の中で、金子勝氏や上野千鶴子氏が述べているように、シェアしたいものとシェアしたくないものの繊細な感覚やつながり過ぎずにつながっていたいといった距離感が、今後の実践の中で具体的にどのような形で建築的、ソフト的に解かれるのかが大変興味深い。 -
「いいなぁ、こういう生活がしたい。」率直にそう思った。持ち家に対する憧れは皆無だし、「小さな専有と大きな共有」という考え方には非常に共感を覚えた。装丁的にも、判(?)が大きくて絵が見やすいのが、内容を理解するのに非常に役立っていると思う。
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都市だから成り立つモデル。氏の近未来の都市、住宅のあり方に対する危惧に大変共感する。
人口密度や使用するエネルギー量などを今以上に建築側から規定する計画は良いと思う反面、コミュニティはこうあるべき論に支えられた計画には危うさを感じる。
絵は見ていてとても楽しい。こうなったらいいなという明るい未来論か。
金子勝氏との対談が面白い。
「若い人はトイレの共同には耐えられないだろうというのが僕の正直な感想。(途中省略)共用にどれだけ慣れることができるか。ホテルにあるようなデラックスなトイレだったら、みなで共用するのもありかもしれない。」
建築家の職能とその領域について考えさせられる。 -
アマゾンのお勧めがしつこく山本先生の本を紹介してくるので、購入してみた。
よんでみても、ながめてみてもおもしろい。
自分が勝手に要約すれば、セミパブリック空間が大きい、マンション型のコレクティブハウジング。これをプレハブ可能なのうように、キューブの組み合わせてつくる構想。
自分なりの感想。
(1)これをゼロからつくること、さらに、それに行政の支援をもらうことは、ちょっと無理だと思う。私有財産的だし、そもそもそんな実験的なプロジェクトにお金をだせる余裕が国にも地方公共団体にもない。むしろ、工場とか倉庫とかいらなくなった大空間(実は海外進出であいている工場はごろごろある)をつかって、キューブを持ち込んで、住まい始めてしまうというゲリラ的発想がいいのではないか。
うまくいけば、UR賃貸などのモデルになるかもしれない。
(2)かなり大規模な750人とかのプロジェクトを想定しているが、この手のなんとなく知っている関係が重要なプロジェクトは、せいぜい、50世帯、150人が限界ではないか。そのぐらいで、ゲリラ的に始めるのがいいと思う。
(3)被災地では、行政への言い訳としても、すぐに立ち上げる必要があるという意味でも、仮設のつみあげによって本設につなげていくプロジェクトが求められている。
このキュービックをつみあげていくプロジェクトをどこかデベロッパーと組んで、実験的に始めたらどうか。最初は、建設業者の簡易ホテル代わりにつかって、将来的には移設して本設の中心部の住宅プロジェクトにするとか、いろいろ可能性がある。
いずれにしても、3分の1行政がカネをださないと動かないような発想では永久に動かない。動ける範囲のお金と規模でまず、被災地で動いたらどうでしょう。いろいろ、候補地はありますよ。 -
「いまとこれからの日本の住宅・地域」について建築設計、経済、社会学、建設、自動車などなどいろんな角度からアプローチ。図や写真も多くて雑誌のようなつくり。あと、渋家のっててなんだかわらった。ふふふ。
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すごくわくわくする本。建築がコミュニティを作るというのは考えたことがなかった。
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書いてある内容は遠い話なのだが、読み始めてすぐにインスピレーションが湧き、アイデアがたくさん浮かんできた。非常に刺激的な本。