小さな国の大きな奇跡~キューバ人が心豊かに暮らす理由~

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  • WAVE出版 (2008年5月15日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784872903508

小さな国の大きな奇跡~キューバ人が心豊かに暮らす理由~の感想・レビュー・書評

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  • 著者が見たリアルなキューバという国
    日本に住んでいるとキューバがどんな国でどの様に
    国民が生活しているのかなど知らないことが多い。

    物資少なく無駄がなくそれでも人々は小さな不満を
    こぼしながらフィデルを愛するリアリストな国民の姿が
    印象的だった。
    フィデルカストロが亡くしたキューバがこれから先
    変化が訪れることがあるのかが気になる。

  • この国に足を一歩踏み入れたとたんに打ち砕かれる先入観。陽気な笑い声とまちなかで見られる人間的な情景、勤勉で規律正しく生きる気高く活力溢れる人々。経済的困難の下で物資不足に悩まされる貧しい暮らしを強いられながら、その背後にある豊かな暮らし。そこには人々が惜しみなく愛を注ぎあい、知恵を出し合って生きる本当の幸せがあった。
    キューバがいい国だと知ってはいたが、社会主義で独裁国家なのかと勘違いしていた。フィデル・カストロは本物の理想主義者で、革命家である。私利私慾がなく、国民のことだけを考えて行動し、アメリカの経済制裁で非常に貧しく厳しいときも、他国の困っている人々に手を差し伸べ続けてきた。キューバ国民にはチェ・ゲバラなどの英雄の精神が生き続け、貧しくとも分け与えることを喜びとして生きてきた。物資が少なすぎるので不満はあるが、心豊かに幸せに暮らしている。アメリカがフィデル・カストロを悪者に仕立て上げ
    ていたのだ。
    キューバはチェルノブイリで汚染された地域に住む子どもたちを無償で受け入れ、治療や療養を行うことを続けている。行き帰りの飛行機代も親の宿泊費、生活費も無料である。
    キューバでは大学まで全て無料、病院も無料なので、高学歴で教養のある貧困者が多い。
    キューバでは15歳で成人になり、親戚中集まって大々的にお祝いをする。その後は完全に大人の扱いをする。
    キューバでは人種差別が全くない。人種を超えてカップルができ、見た目では全くわからなくても東洋の血が混じっている子もいるし、それをとても誇りにしている。
    結婚してアメリカに住んでいる娘に会いに行った母親が、朝から焼いていたケーキを食べに来いと近所の子たちを誘ったところ、娘が怒鳴った。ここはキューバじゃない!アメリカでは保護者の許可なく子どもを連れ込んだら誘拐になる。たとえ保護者の許可をもらってケーキを食べさせても、それで体調不良になったら訴えられて多額の慰謝料を請求される。アメリカでは他人の子どもの頭を撫でることも許されない。これが自由の国アメリカの姿だ。キューバのおおらかさとは対極である。
    キューバ人は将来の不安が全くない。個人の望みで家や車を買うことが難しくても、ホームレスや栄養失調の人も見当たらない。教育費も医療費も全て無料、葬式代や墓代も無料である。日本で人生設計に必要なものが全て用意されているのだ。物資不足や生活費に困ることがあってもちょっとした小遣い稼ぎでなんとかする。だから不安になることがないのである。
    キューバには職業による所得の格差がないために、自然に性質に適した仕事を選んでいくようになる。医師の7割近くが女性であり、科学者など専門家は6割以上、また議員も4割が女性である。キューバに女医が多いのは、女性の性質が医師に適しているからだという。産婦人科や皮膚科、内科や小児科はほとんどが女性である。国民に聞いたところ、男性は重労働や工場、情報システムや建築家が多いという。キューバでは職業の貴賎や地位による偏見などもない。弁護士も医師も教師もウエイターや販売員も、社会的地位は同じである。だから、無理をせずに自分のやりたい職業に就くのである。男性は男性の役割で、女性は女性の役割を果たす。キューバでは所得に対する格差のない社会が、自然に男女の個性と役割を生かした社会を構築したのである。
    キューバでは性教育を積極的に行い、正しい知識や情報を与えているので、ラテンアメリカ諸国では10代の無計画な妊娠が50%近くあるのに対し、1%未満である。HIVの感染率も0.03%と世界最低である。
    キューバは革命の前は超格差社会で、革命の後は富裕層たちがこぞって海外に逃げた。逃げた富裕層たちは、革命期の宮葉を憎んでいる。そこでカストロ政権の悪口を言うわけである。革命後、カストロが政権を取ると、国内ではすぐさま農地改革が推し進められた。その時優秀な日系人の農民がいるとの噂を聞いて、フィデルとチェゲバラは日系人のいる青年の島を訪れた。彼らはスイカを見てその大きさと甘さに驚いた。何が他の畑と違うのか尋ねたところ、キューバ人は作物を乱暴に扱うが、日本流に反省に心を込めて育てれば農産物も立派に育つと答えたのである。それを聞いたフィデルは農地革命の一環で彼らの土地も国有化する予定だったが、即座にその考えを捨てて、今のまま農場を続けた上で他の農場にも苗木を分けて指導してほしいと要請したのだ。その時、チェゲバラは原田さんの奥さんが握ったおにぎりをほおばって、口の周りにご飯粒をつけながら、野菜の育て方を詳しく質問した。そんな飾り気もなく威張る様子もないフィデルとチェに、原田さんたちも感心したという。そんな5分からも、日本人を尊敬するキューバ人は多いのである。
    キューバの革命とはそもそも社会主義樹立を目指した戦いではなく、劣悪なアメリカ支配からの脱却を目指したものだった。その後、アメリカが冷戦で対立していたソ連との連携によって社会主義へと進んだのである。
    キューバでは、子供から大人に至るまで国民は全員がまるで身内の話をするかのように国家元首のフィデルカストロをフィデルとファーストネームで呼ぶ。国民のチェに対する思いは、フィデルとは少し違い、フィデルには家族のような親近感を抱いているが、チェには異国で戦った英雄に対する敬意と感謝を捧げている。キューバではチェは神よりも偉大な存在だという。チェの言葉。僕はジーンズを買うような若者よりも、本を買う若者が増えるような世界を作りたいんだ。
    キューバは医師の数が多く、医療技術も非常に優れている。さらに医療システムが画期的である。地域に住み込みのかかりつけ医がいるので、何時でも家に駆けつけてくれる。地域の診療所で対応できないときはその上の段階の施設に行き、最後は総合病院までの5段階の病院が地区に設けられている。ただ、物資不足で設備は悪い。伝統的自然医療も積極的に取り入れられている。
    キューバにはラテンアメリカ統一の夢がある。第三世界の貧困層を主な対象として目の病気を無料で手術する奇跡の計画がある。目の手術は最新の医療機器や技術を必要とするので、高額で貧しい人には受けられなかった。奇跡の計画では患者の負担は一切ない。ボリビアである老人がキューバ人の先生、目を治してくれてありがとうという記事を投稿した。その老人は1967年に上官の命令でチェゲバラに銃弾を打ち込んだ元兵士だった。
    現在、キューバは110を超える国から2万人の青年を受け入れて、教育を施している。
    革命のあと一度だけぼうどあがあった。経済難や経済格差の拡大によって、1994年に大規模な暴動がハバナで起きた。1万人近い国民が外国人用のホテルに押しかけたのだ。多くの警官が暴動を抑えようとする中、フィデルは国民に絶対に危害を加えないよう指示して、自らホテルに駆けつけて玄関に立ち塞がり、このような事態になったのは、全て私に責任がある。この事態に対処するよう我々政府は全力で取り組む姿勢である。それでもこのホテルを襲撃するというなら、今この私を倒してから行くがいい。そして人々は口々にフィデルと叫びながら、フィデルを先頭に行進を始めた。それ以来キューバでは暴動が起きていない。
    キューバでは、明日できることは今日するな!という言葉をよく耳にする。明日は明日の風が吹くさという楽天的な気分でありながら、今しかできないことは徹底してやる、その結果充実した人生を生きる暮らしを実現した。この国には余計な物は少ない。生きるために最小限のものしかない。明日を満足させられないかもしれないが、今を満足させるだけのものはある。だから今を大切にする。それさえも奪い合えば誰もが足りなくなるけど、分け合えば誰もが満たされる。だからキューバ人は分け合うことを恐れない。奪い合うことが自らの満足を奪うことだと知ってるんだ。
    ユネスコの調査で、国語と数学の点数がほかのラテンアメリカ諸国の倍になった。

  • 2015/02/04【図書館】

  • キューバ人の考えにフォーカスを当てて、どれだけキューバ人がキューバでの暮らしに幸せを感じているかということが書かれている本。
    本の構成上か実際のキューバ社会が表されているかは分からないけれども、やっぱりみんなキューバが好きでっていう、言論の自由が認められていない"社会主義"という印象を受けた。
    これも、皆が幸せに、平等にという考えから来ているのかもしれないけれど、キューバは困っている人に対して、人を選ばずに助ける。だから、自国(キューバ)が経済的に貧しくても、国際支援を惜しまずするし、留学生も無料で受け入れる。けれど、それが国家として本来あるべき姿なのか?やっぱり、本で読んでいる限りはキューバ政府はもっと自国民を経済的に豊かにするべきではないかと思った。
    アメリカとの国交回復がそれに上手いこと作用すればいいなと思います。

  • 日本にいてはあまり様子がわからないキューバ。
    何度もキューバに通う著者が書いた、キューバという国の姿と人々の暮らし。

    たしかに、国民の生活は苦しい。不満だってないわけではない。それでも人々は希望を持って明るく暮らす。革命の精神を語り継いで生きている。

    しかし、1冊読み切ってもまだ「本当だろうか・・・?」と思うのは何でだ。
    本当にこんな国があるのならやっぱり奇跡だ・・・。

  • 「僕は、ジーンズを買うような若者よりも、本を買う若者が増えるような世界を作りたいんだ。-チェ・ゲバラ-」(本文より引用)


    キューバという国の国民が、どうして心豊かに暮らせるかに迫った本です。

    学校などで習ったキューバというのは、「カストロが支配する、共産主義の独裁国家。自由も何もない」という内容でした。

    しかしこの作品を読み、見方が一気に変わりました。確かに、街中には古い車や建物、服も必要最低限しかないようです。つまり、物質的な豊かさはあまり見受けられないように思えます。

    でも、感想としては、その分心の豊かさが溢れていると感じられました。医療や教育は先進国以上に充実し、写真で見る限り、大人も子供も自由気ままに生活しています。停電や断水もしばしば起こるようですが、その時には怒るのではなく、知恵を出し合って皆で助け合い、平常時は資本主義経済のように無理に競わず、スローライフを送っています。

    私はキューバには行った事はありません。しかし、似たような政治体制の国には行った事はあります。ラオスです。かつて足を運んだラオスに共通する部分はあるように感じました。
    どういう事かというと、日本が忘れ去ってしまった何かがラオスやキューバにはちゃんと存在しているように感じました。

    今の日本は物質的に豊かさです。どこに行くにも不便せず、好きな服や娯楽が手に入ります。ただ、物質的な豊かさを手に入れた代わりに、心の豊かさはどこかに行ってしまったのではないかと、この本を読んで感じています。

    無理に競わない社会や皆で助け合う国、そして、「ジーンズを買う若者よりも、本を買う若者が増えるような世界」も悪くないと思いました。

  • この国には余計な物は少ない。
    生きるための最小限のものしかない。
    明日を満足させられないかもしれないが
    今を満足させるだけのものはある。

    だから今を大切にする。
    それさえも奪い合えば誰もが足りなくなるけど
    分け合えば誰もが満たされれる。

    だからキューバ人は分け合うことを恐れない。
    奪い合うことが自らの満足を奪うことだと知っているんだ。

    -本文より-

    今、キューバから日本が学び真似、取り入
    れるべきことが、たくさんあると感じた。

  • 日本人があまり知らないキューバの姿。中学の社会の授業ではカストロ政権の独裁とか教わったのだけれど、実際はそんなことはないそうで、国民は自ら考え選択しているし、国自体も第3世界への医療、教育を中心に自国の経済が厳しい中積極的国際貢献もしている。このような姿を知らされなかった日本での教育の少しおかしな側面にも気付かされた。ソ連崩壊とアメリカからの経済制裁もあり、経済的困難にあるのは間違いなく、生きるための最小限のものがかろうじて保証されているそんな中でも、キューバ人の、人としての生きる力、つまり現実を直視した上で今を大切にする、そして、未来に生きるために今を感じる時間を惜しむことはしない、そんな強く生きる哲学を持つ彼らに学べることはたくさんある。

  • この本を読むまでは私のキューバに関する知識は、アメリカのフロリダの近くに存在している共産主義の国で、最近、長年にわたって独裁者であったカストロ氏が亡くなったという程度でした。

    ソ連が崩壊してからどのようになったのだろうと思いを馳せたこともありましたが、情報も少なく分からないことが多かったと思います。

    この本を読むことで、キューバの人たちの暮らしが資本主義の観点から見ればけして豊かには見えないけれども、多くの国民が心豊かに過ごしているということが分かりました。多くのものに囲まれて毎日働き続ける我々と、彼らはどちらが幸せなのだろうかと考えさせられた本でした。

    以下は気になったポイントです。

    ・キューバへは米国から直接入国不可で、メキシコやカナダを経由する必要があり、20時間程度かかる(p11)

    ・コロンブスによって発見された後、疫病や集団自殺により、30万人の先住民が絶滅した(p19)

    ・1月の儲けは2000円程度で、年金よりも良い(p23)

    ・キューバ人が日本食で興味を示すのは、ラーメン、お好み焼き、カレー、珈琲には砂糖を多く入れるが、砂糖を使った料理は好まれない(p29)

    ・キューバの配給の特徴は、一般の国民も有名人も、閣僚級の人たちも同じ条件で配給所に並ぶこと(p31)

    ・キューバには国民が使用する、ペソクバーノと、外国人用の兌換ペソがある(p32)

    ・15歳を迎えた成人は、喫煙も飲酒も認められるようになる(p49)

    ・キューバでは先進国に見られるような職業の貴賎や、地位による偏見もないので、自分のやりたい職業につく(p62)

    ・国民の選挙に関する関心、意識は高く、投票率は97%と高い(p73)

    ・革命によってできた新政権による財産の没収を恐れたキューバ人は、マイアミを中心に20万人が亡命した、フロリダ州の票はキューバ人の意向が影響する(p104)

    ・1991年12月31日、突如ソビエト連邦は崩壊した、それにより年間1200万トンあった石油の輸入がゼロになった、現在は400万トンでやりくりしている(p109、113)

    ・農産物の冷蔵、貯蔵コストを引き下げるのに農園を都市部(当時80%がコンクリートに覆われていた)へ集中させた(p129)

    ・キューバ人はもともと野菜は食べなかったが、ソ連崩壊により精肉等の配給が止まったため、野菜を食べるようになった(p158)

    ・中学までの義務教育以外にも、大学院まで教育費がゼロ(p154)

    ・キューバの医療体制は5段階に分けられる、ファイミリードクターから総合病院まで(p178)

    2010/10/23作成

  • 社会主義として成功した国。
    知らなかったキューバが興味深い。

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小さな国の大きな奇跡~キューバ人が心豊かに暮らす理由~の作品紹介

世界で唯一成功した社会主義国キューバ。医療も学校もみんな無料。日本人が格差社会で失った、キューバ人の平和で豊かな素顔と幸せな暮らしぶりを目線低く描写する。

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