M/D マイルス・デューイ・デイヴィスIII世研究

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  • Amazon.co.jp ・本 (776ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784872951141

感想・レビュー・書評

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  • 横文字を連発しながら、断言しまくり飛躍と的を突いてるのか突いてないのかわからないけど、幻惑されながらも惹かれてしまうのが、マイルスなんだというとても素敵な講義でした。

  • 【メモ】
    ・講義録にあれこれ盛り込んでレンガ本に。
    ・刊行当時のPR・ニュースなど、
    https://natalie.mu/music/news/5938
    ・その後、版元は消滅。
    ※2011年に文庫化された(2分冊)。

    【書誌情報】
    著者:菊地 成孔
    著者:大谷 能生
    装幀:千原 航
    出版社:Esquire Magazine Japan[エスクァイア マガジン ジャパン]
    ISBN:9784872951141
    判型:B6 ハードカバー
    頁数:776
    定価:4700円(本体)
    発行年月:2008年03月


    【簡易目次】
    目次 [002-004]
    プロローグ(2008年2月7日/追記 2008年2月22日 菊地成孔 [005-013]
    凡例 [014]


    第1章 マイルス・デューイ・デイヴィス3世誕生(1926‐1944) 015
    |1| マイルス・デイヴィスの20世紀 016
    |2| イースト・セントルイスのセンチメント 045

    Skeches of Miles: 01 : マイルス、ティーンエージャー時代のポップス10選 大谷能生 066
    Skeches of Miles: 02 : 「どの10年を使うつもりだ?」 菊地成孔  074


    第2章 ニューヨークの速度とビ・バップ(1945‐1955) 077

    |1| 都市/速度/スウィーツ 078
    |2| パリのリュクスと青春の高揚/失望 109

    Skeches of Miles: 03 : ヴァーノンの女前[高村是州×菊地成孔×大谷能生 マイルスファッション鼎談]前半 178


    第3章 メジャー・デビュー、帝王の完成(1956‐1965) 171
    |1| メジャー・デビューとオリジナル・クインテット 172
    |2| アンビヴァレント・アメリカの1950年代 205
    Skeches of Miles: 04 : 神々のモーダリティ 244
    |3| “都市音楽”から“汎都市音楽”へ 258
    |4| レヴォリューション/モードチェンジ 305

    Skeches of Miles: 05 : 「純ジャズ理論史」は「マイルス理論史」たりえるか? 菊地成孔 354

    Skeches of Miles: 06 :楽曲分析:《ソーラー》 360
      リディアン・クロマティック・コンセプトによる《Solar》のアナライズ 布施明仁 
      チャーリー・パーカーの語法とマイルス 濱瀬元彦 


    第4章 電化、磁化、神格化(1966‐1976) 381

    |1| アコースティックからエレクトリックへ 382
    |2| さらなる電化/磁化への道程 424
    Skeches of Miles: 07 : ベルギー王立音楽院のビッチェズ・ブリュー 菊地成孔 460
    Skeches of Miles: 08 : テオ・マセロの鋏の角度 469
    |3| エレクトリック・マイルスの構造分析 476
    |4| 『オン・ザ・コーナー』から引退まで 512

    Skeches of Miles: 09 : すべては「本当の帝王の服」に向けて [高村是州×菊地成孔×大谷能生 マイルスファッション鼎談]後半 560


    第5章 帝王の帰還(復帰‐1991) 593

    |1| 帝王のいない6年 594

    Skeches of Miles: 10 : 悪童の深き友情 620
    Skeches of Miles: 11 : ファーゼル・マイルス・デイヴィス : ケイ赤城インタビュー 1 622

    |2| 80年代の感傷的な速度 636
    Skeches of Miles: 12 : 多調性のブルース : ケイ赤城インタビュー 2 670
    Skeches of Miles: 13 :楽曲分析:《デコイ》 690
      リディアン・クロマティック・コンセプトによる《Decoy》のアナライズ 布施明仁
      後期マイルスの半音階的充満 濱瀬元彦
    |3| 帝王の退場、20世紀の終わり 708


    エピローグ(2008年2月29日 大谷能生) [757-758]
     スタッフ・クレジット [759]
    人名索引 [760-774]
    フォト・クレジット [775]
    著者紹介/奥付 [776]

  • ビートルズにしてもそうだがそのジャンルの殆ど総てを築いてしまった人というのは前衛的な方向に進む。

    おそらくその出自も関係あるだろうが、媚びるような要素を全く持ち得なかったが、Miles Davisは20世紀後半の音楽総てに影響を与えた。

    黒人のモノと言う枠に固められがちなジャズの中で、誰よりも輝いたMilesがヨーロッパ伝統の(つまり極めて白人的な)クラシックの要素を予め持っていたことは大変重要な要素だ。

    ジュリアード音楽院でのマイルスの発言が総てを語っている。
    <blockquote>「俺は金に苦労したことがなく、恵めれていますが、ブルースを奏でます」</blockquote>

  • 東大で行われたマイルスのゼミを書籍化したもの。
    物量の多さにうんざりで、中身の濃さにさらにうんざり。

  • 776ページの辞典並のマイルス講義。
    実際に東京大学での講義を口語でまんま収録した本。
    にしても、饒舌でかつ理論家の菊地氏のマイルス解説、なかなかに深い。

    サブテキストとして自叙伝ともう一つの解説本を挙げてるわけだけど、
    確かに、自叙伝では割にオープンに語られてはいるけど、自身の一人称であるわけで、第三者から分析されたマイルスの人となりと音楽は、見え方が全くと言って良いほど違う。まさに目から鱗。

    一環して主張される「異端の黒人」としてのマイルス(実は異常なほど裕福な家の出身である)、そしてマイルスの持つ精神性(アンビヴァレンス、ミスティフィカシオンと度々表される)、この二点については長らくマイルスを聴いてきたけども、盲点だった。これを知ってるのと知らないのとでは、マイルスの音楽の聴こえ方が180度違うと言ってしまっても良い。

    よく言われるモード革命、は本書では敢えてすっ飛ばしているけれども、
    それ以外、特に「ビバップという革命」、そしてインアサイレントウェイに代表される「テープ編集」には改めて目を、いや耳を開かされた思いがした。
    ビバップが音楽的にいかなる革命なのか、音楽をやらない者なので理解は出来てないけれども、やはり本書を読む限り、チャーリー・パーカーの偉大さを改めて感じざるを得ない。後に帝王となるマイルスの前に立ちはだかっていたバード、言うなれば怪物、いや大魔王とでも呼ぶべき存在なのかも知れない。
    テオ・マセロによって大胆になっていくテープによるエディット。先入観無く、いやむしろ先入観を知らずに持ちながら聴いていたのか、マイルスのレコードは全部ライブ録音だと思い込んでいた。だがしかし、多くの編集が施されていたという真実!その手法はまさにヒップホップにおけるサンプリングに等しい。ジャムセッションから使える部分を引っ張り出してきて繋げていくというアルバム制作、まさにマイルス研究=考古学になっているというわけである。

    いろいろ驚きと発見がある内容なのだけれど、これを読破後でも、まだまだゴールしたという感が無い。マイルス大陸に足を踏み入れただけのような気がする。そこは非常にぬかるんでいるわけだけど、果たして出口があるのかも分からないような異様なほど広大で煩雑なパンゲアであり、アガルタなのだろう...。

  • 文庫が出たのでそちらで読むことにします。こちらは永遠に積読になります。

  • 『東京大学のアルバート・アイラー』(青アイラー、赤アイラー)に続く、菊地成孔&大谷能生による東大教養学部での人気講義の単行本化。今回のテーマは「マイルス・デューイ・デイヴィスⅢ世研究」。
    マイルス関連本は数あれど、マイルスの服装(モード)の変遷やつぎはぎだらけでサイボーグ化していく肉体をここまで彼の音楽と結びつけて論じた本はない。まさに異色のマイルス論である。

    総文字数57万字、総ページ数776ページの大著でありながら、1ページも飽きさせることなく、最後の最後まで読む者をひきつけるその語り口はさらに進化している気がした。
    とにかくある現象を言語化する能力に秀でている。表現が的確すぎて思わず笑ってしまうとか、「なるほど」とひざをうつとか、その頻度が尋常でない。

    講義はもちろん、途中に挿入されるコラム、写真や音源(マイルスのCDはたいてい持っているので、それを流しながら読んだ)についての正鵠を射たコメント、欄外の脚注やアルバム紹介にいたるまで、すべて読まさずにはおかないという過剰なばかりの自意識と、徹底したエンタテイメントぶりが、この二人の真骨頂。
    細部にまで気を配ったデザインも含めて、本を読むという行為を隅から隅まで堪能できる好著である。

    帝王マイルスの新たな見方を手に入れるために、ぜひ。マイルスの代表作のCDを10枚以上持っている人は、もっと楽しめます。

  • 中山本を読んで、再読。

  • お二人からサインいただきました!

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著者プロフィール

ジャズ・ミュージシャン/文筆業。

「2016年 『ロバート・グラスパーをきっかけに考える、“今ジャズ”の構造分析と批評(への批評)とディスクガイド(仮』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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