オープンデザイン ―参加と共創から生まれる「つくりかたの未来」 (Make: Japan Books)
- オライリージャパン (2013年8月24日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
- / ISBN・EAN: 9784873116310
作品紹介・あらすじ
デザインは、もはやデザイナーだけのものではない。ソフトウェア、コンテンツ、ハードウェアに続く新しい流れ、「オープンデザイン」について、22本の論考、多数の事例で全体像を明らかにする。日本発の事例も多数紹介。
感想・レビュー・書評
-
今までのものづくりの過程は、スタジオ内の少数のデザイナーたちのアイディアからはじまるのが主流でした。実際にものを使うユーザーは、使用後にフィードバックを返すぐらいでしょう。情報を独占することが不可能な今の時代に、ものづくりのプロセスは変わっています。そこでデザイナーの役割とは何でしょうか。
この本では、*Fab labの共同創設者でもあるBas van Abel氏を先頭に、「つくる人=使う人」の概念を共有する多くのデザイナー、研究者たちが「オープンデザイン」の事例を挙げています。オープンデザインとは、その文字通り、全てのソース(情報)をオープンし、発案、製作、改善まで誰もが参加できるデザインプロセスを言います。誰もが参加することによって、アイディアがどう広がり、どのような形で人々の生活で使われているかがプロジェクトごとに書かれています。芸術・デザイン専攻の方にぜひお勧めします。
*Fab Lab: 自由なものづくりの可能性を広げるための実験工房。なんと、つくばの天久保にもFab lab&カフェがあります!
*「すべてをオープンせよ!」と唱える彼らの意念は、http://opendesignnow.org/ でみられます。フリーライセンスを結ぶことによって、本の全てのコンテンツが公開されています。
(2013 ラーニング・アドバイザー/感性 HONG)
▼筑波大学附属図書館の所蔵情報はこちら
http://www.tulips.tsukuba.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=1482164&lang=ja&charset=utf8詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
オープンデザインに関する論文の翻訳。
ちょっと前の本なのにものすごく古く感じるのはそれだけ変化が激しいってことなのだろう。
実例集が見てて楽しい。 -
デザインをオープンにするのか、それともオープンにデザインを募るのか・・
-
3Dプリンタとかfabcafeとかがもてはやされ、モノづくりがオープンになった、参加型になったとバズってた2〜3年前頃の感覚の本。今読むとちょっと古いかなと感じる。その後、コミュニティとか会議とか仕事の進め方とかにまでデザインという言葉が使われる領域は広がっていて、オープンデザインというタイトルに、そういう内容を期待してしまったから。前半の難しい部分を頑張って読み通してもいまの自分にはあまり得るものはないかなと感じて途中で読むのを中止したのだが、でも後ろの事例集はリアルで良い。前半の論文集より遥かに先を行っていて、今に即しているように感じた。中から気になった言葉メモ。
50ドル義足プロジェクト。個々人の状態によりパーソナライズが必須の義足を安価に作るプロジェクト。エンドユーザーが参加することで、自立に向け一歩を踏み出せる、外観のデザイン性が重要、生産に関する知識をエンドユーザーに伝えること。
デザイナーの役割。デザイナーはその作品がどのようにして仕上げられるかは正確には知らないが、それでもやはり仕上げられた作品が他ならぬ彼の作品であることを知っている。つまるところ彼が様々な可能性を提示したのだ。
デザイナーはコラボレーターである。
デザイナーは「でざいんをきめる」のではなく、むしろ「デザインを決めるプロセスをファシリテートする」というところでさらにかつやくしなければならない。 -
未来のデザイナーはメタデザイナーにならなければいけない。ものをデザインするのではなく、経験のないユーザでも自分のものがデザインできるような環境を整える。
オープンイノベーション、オープンソース、オープンデザイン。
3Dモデルデータの共有 thingiverse.com
オープンデザインは、分散型製造であり、消費者主体。
作り方の投稿サイト fablabjapan.org/recipe/
服の型紙と作り方のオープン化 theatreyours.tumblr.com/ -
【選書者コメント】この選書ツアー自身が参加と共創から生まれるオープンななにか、であることを目指したいと思っています。
-
本文レイアウトがすごくかっこいい。しかしその分読みにくいかも。文章読むのに目が泳いだ。かっこいいと読みやすいは両立しにくいもんだねえ。後半の事例は興味深かった。
-
最初から最後まで各人が言いたい放題。語り口も違うし、文脈のメタレベルが全然違うテキストが非線形に並ぶ(現場でのものづくりから、そのプロセスデザイン。成功と失敗。ハクティビズムと法制化。デザイナーの役割とアマチュアにできること)。現在、世界中で分散的に進行しているMakerムーブメントの全体像を捕らえるのは簡単ではなさそう。
でも、この本から伝わってくるメッセージは「いつまでそっちにいるんだ?こっちへ来れば楽しいぜ」という希望の光。「世界をよくするアイデアを、集合知で育てる」という試みを前に、興奮しないわけない! -
貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784873116310