ワイルダーならどうする?―ビリー・ワイルダーとキャメロン・クロウの対話

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制作 : 宮本 高晴 
  • キネマ旬報社 (2000年12月19日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (450ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784873762364

ワイルダーならどうする?―ビリー・ワイルダーとキャメロン・クロウの対話の感想・レビュー・書評

  • ジャック・レモンがテニスのラケットでスパゲティの湯を切る場面。マティーニのオリーブをカウンターに並べる場面。「アパートの鍵貸します」の印象的なシーンは忘れることができない。そのビリー・ワイルダーが同じ脚本家兼監督のキャメロン・クロウを相手に、いかにも楽しそうに、時には辛辣に映画について語っている(ハンフリー・ボガートとの確執と和解は胸を打つ)。脚本家出身であるワイルダーにとって、アクションや特撮に頼った映画は批評の対象にすらならない。凝ったショットもいらない。いい脚本と、それを生かす役者の演技さえあれば、おもしろい映画は作れるのだ。90年に出た『定本映画術ヒッチコック/トリュフォー』(晶文社)を意識したのか同サイズのしっかりした造本。しかも装幀は和田誠ときている。ワイルダー狂ならずとも、映画ファンならぜひ手にとってみたくなる一冊。(宮本高晴訳)

  • p50 BW …略…私のめざすところはただひとつ、観客を楽しませること。やり方はいろいろだが。観客を楽しませ、かつ同じことを繰り返さない。そして失敗は最小限度にとどめる。

    p46
    要約 『アパートの鍵貸します』
    キスシーンで終わるような甘いラストシーンにしたくなかった。
    男が自殺してしまったかも知れないと思った女が、彼の家へかけつける。銃声が聞こえたと思ったが、シャンパンの栓を抜く音だった。
    彼女は「ああよかった」
    バクスターは尋ねる。「どうしたの?」「何にも。ジンラミーの片をつけましょ」トランプがちょうどテーブルの上にある。バクスターは想いを言葉に出す。
    「愛してます、ミス・クーブリック」
    それを受けて彼女が言う。「だまって、配りなさい」そしてバクスターは十枚以上いつまでも配り続ける。


    p58
    要約 『ニノチカ』
    ニノチカが資本主義の魔力に取りこまれるのをどう見せるか

    ボルシェヴィキの同志三人とホテルに入るとき、彼女には、ショーウィンドウの帽子がいかれたデザインで、資本主義のシンボルに映る。
    「女性の頭にこんなものを平気でのせる文明は早晩滅びるわ」
    二度目に帽子の側を通るとき、彼女は舌打ちする。
    三回目、彼女は同志たちを追い払って一人になる。引出を開けると、当の帽子を取り出す。そして頭にのせる。

    なんてすごい演出!!

    p268-9
    CC “書かれた”感じのする台詞というものが、そもそも観客の耳になじみにくいからですよね。
    BW そのとおり。自然に口をついて出、自然に耳に入るものでないとね。人物のなかから無理なく出てくる言葉でないといけない。その一方で、全体のレベルはつねにできるだけ高く保っていないといけない。そこには一貫したひとつのスタイルがないと、ひとつの声が存在しないといけないわけだ。
    CC 構造が最も困難な部分です。あなたはその作り方を本能的に知っていらっしゃるように思われます。長ずるにしたがって自然に理解されていったように。
    BW 構造は学んで身につけるもの。私の場合も長い時間がかかった。同じことは三度繰り返さない。観客を退屈させない。これが第一の規則。第二は、無駄をなくすこと。簡潔に表現すること。……略……

    p305
    「第三幕はどうなっているかね?」問題点が二、三あって、それを解決しようとしているところですと答える。「もしも第三幕に問題があるなら」とワイルダーは同じライターとしてアドバイスを与えてくれる。「問題の根は第一幕にある」


    p325
    BW いいコメディにしようと思ったらまじめに監督しなkyちゃいけない
    CC いいコメディには苦痛も多く描かれるものですか?
    BW もちろんだとも。苦痛はある。そうしておいて、観客の思ってもいなかったハッピーエンドが主人公にもたらされる。いつもいつも的の真ん中を射抜こうと思ってもそれはむずかしい。でも真ん中に近いところに当たれば、それでじゅうぶんだ。


    p332
    1 観客は移り気である。
    2 観客の喉元に食らいつき、絶対に離さぬこと。
    3 主人公の行動は直接的にすっきり展開させること
    4 どこに向かっているかつねに心得ておくこと
    5 ストーリーポイントを隠す手際が巧妙であか抜けているほど、優れたライターである
    6 第三幕で行き詰まるのは、第一幕に問題があるからだ
    7 ルビッチからの助言――答えは観客に出させること。そうすれば放っておいても観客の心を虜にできる(二と二を見せれば観客は自分で四を出す)
    8 ナレーションは、観客の目にしていることを語ってはいけない。新しい何かを語ること
    9 第二幕の幕切れはエンディングに直結する
    10 第三幕は店舗においてもアクションにおいても最後の瞬... 続きを読む

  • 『アパートの鍵貸します』『お熱いのがお好き』といったソフィスティケイティッド・コメディ映画の巨匠ビリー・ワイルダー監督へのインタビュー集です。インタビュアーのキャメロン・クロウも監督です。脚本について、監督について、ルビッチタッチについて、俳優・女優について、ワイルダー自身について語ります。インタビューは1年以上に渡り、初めは迷惑がっている感じのワイルダーですが、回を追うごとに二人の仲が親密になっていくのが分かります。
    ワイルダーの話はウィットに富んでいて、映画のセリフのようです。写真も沢山載っています。ヘップバーン、モンローよりも『アパートの鍵貸します』のシャーリーマクレーンが可愛いです。久しぶりに映画を観たくなりました。
    一流のプロ同士の密度の濃い会話が好きな人、ワイルダー映画が好きな人は間違いなく楽しめると思います。

  • ファン必読。名監督ビリー・ワイルダーの人柄も、裏話も満載!!

  • キャメロン・クロウの映画は全部観てるがワイルダーの映画はまだまだ全部は・・・
    観たいのです 

  • 私にクラシック映画の面白さを気づかせてくれたバイブル本。ビリー・ワイルダー好きはもちろんとして、古い映画にちょっとでも興味がある人にも是非。

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ワイルダーならどうする?―ビリー・ワイルダーとキャメロン・クロウの対話の作品紹介

1906年生まれのビリー・ワイルダーは今年(2000年)で九十四歳、1957年生まれの著者は四十三歳になる。この本は1997年から98年にかけて、つまり三前年から二年前にかけて、著者が聞き手となって断続的におこなわれたワイルダーへのロング・インタビューの記録である。ちょうど著者が『ザ・エージェント』でアカデミー賞のノミネートを受けた直後に第一回のインタビューが始まり、『タイタニック』が作品賞を獲った翌年の同賞の授賞式直前に最後のセッションが終了したようである。しだいに老いの影が忍び寄るとはいえ年齢に比して格段に壮健なワイルダーの、日々の生活が生き生きと描かれている点でも、本書は貴重なドキュメントとなっている。

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