キネ旬総研エンタメ叢書 「おもしろい」映画と「つまらない」映画の見分け方

  • キネマ旬報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784873763699

感想・レビュー・書評

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  • 私は今一つだったりつまらない映画を観てしまうと、どうしようもなくモヤモヤが積り、ひどい時には何ヶ月も映画館から足が遠退いてしまうたちだ。映画嫌いに成りかける場合もある。故に本書と遇えたことは本当にありがたかった。
    もちろん本書を唯一絶対の基準にするつもりはないが、凡作駄作を鑑賞しなくて済む、または鑑賞後に考察する余裕ができたような気がしている。「13フェイズ構造」や「リマインダー」といった概念や理論は一見取っ付き難そうだが、驚くほど多くの映画に対応できる。自らの経験で言えば、何故自分は『コンパートメントNo.6』に感動したのか、何故『チャーリー・モルデカイ 華麗なる名画の秘密』や『新解釈・三國志』といった作品をつまらなく感じたのかが解ったような気がする。
    ただし、本書で提示されている理論は必ずしも万能ではないのだろう。例えば、①理論に当て嵌まらないが、おもしろい映画(個人的にはスタンリー・キューブリック監督の『シャイニング』や、エミール・クストリッツァ監督の『アンダーグラウンド』等)、②意図的に理論から逸脱している映画(ヌーヴェル・ヴァーグ、またジム・ジャームッシュやオタール・イオセリアーニといった監督)だ。このようなときはケースバイケースなのだろうか。

  • 「おもしろいドラマでは主人公が変化する」

  • こいうことを全く考えないで映画を
    観ていたので、画期的だった。
    映画の観た方を
    縛られるのはいやなので
    ひとつの参考として
    頭に入れておきたいと思う。

    でも、まあ核心だなと思う
    ------------------
    「ストーリーの主人公」と
    「リマインダー主人公」がいる
    というのは新鮮だった(P150)

    『付録4「魔法少女まどか☆マギカ」
    のSFオマージュ』(P196)
    は素晴らしかった
    ------------------
    P53
    昨今は「犬を出せば」ヒットすると
    錯覚している製作者が増えているようだ。
    また、「誰かが死ねば感動する」と
    錯覚している作家も増えているようだが、
    これも間違いだ。
    「死」は喪失による「悲しさ」が生じるだけで、
    直接「感動」をもたらしてはくれない。
    「感動」には「想いが伝わる」ことが必要なのだ
    --------------------

  • 町山智弘、シネマハスラー・ファンにオススメ!
    何故、その映画がオモシロイのか或いはつまらないのかを論理的に語る手引きとなるだろう一冊。

    <blockquote>良い「ストーリー」を感動的に語る「テリング」。これが「おもしろい」エンタテインメントの構造なのです。</blockquote>
    「テリング」とは感情を表に出す行為。音楽や美術、役者自体の魅力などが映画での「テリング」に当たる。これは見る人の好みに左右される。
    対して「ストーリー」は誰もが納得できる物でなくては面白みがない。

    そこで本書では序破急、起承転結を緻密にした13フェイズ構造というストーリーの組み立て方を紹介している。
    <blockquote>■第一幕 【対立】 0.背景 1.日常 2.事件 3.決意
    ■第二幕 【葛藤】 4.苦境 5.助け 6.成長・工夫 7.転換 8.試練 9.破滅 10.契機
    ■第三幕 【変化】 11.対決 12.排除 13.満足</blockquote>

    基本的に本編中に「変化」するのが主人公であり、「つまらない」映画の多くはこの主人公の描き方が散漫になっている。但し、「おもしろい」映画の中には裏の主人公が設定されている場合がある。例えば『ソーシャルネットワーク』の主人公は「フェイスブック」であり、『悪人』では被害者の父がそうである。
    これら主人公が変化する物語が映画の面白みを分析する上で鍵となる(映画評論家・町山智弘氏の方法論はこの物語とその背景を丁寧に読み解くというものだ)。




    論理的に「おもしろい」映画と「つまらない」映画の見分け方を論じているのに、著者の経験上でも語っているのが面白かったのでメモ。

    ●海外の辛口レビューでの高評価。
    ●予告編で深い破滅の淵、危機感を描いている。
    ●「売り」の映像がないのに上掲の13フェイズが予告編で分かる。
    ●リピーター・キャンペーンを行っている。→作品中に伏線を巧妙に仕込んでいる。
    ●製作が順調なのになかなか本編映像を予告編で見せない。
    ●少数の「見せ場」カットをじっくりみせてしまう映画、他の作品のBGMを予告編で使っている映画、脚本化・監督の名前を殆ど出さない映画、他のヒット作の名前を「売り」に出す映画は「つまらない」傾向。

  • 映画の構成を言語化した本。神話の法則をジョージ・ルーカスさんが学んでスター・ウォーズを作ったという話を聞いたことがある。ネタバレだらけの映画本なので、見たことのある映画以外は飛ばして読むか、見てからこの本を読むとよい。

  • 「おもしろい」映画に共通する構造を分析して、「13フェイズ構造」として解説した本。
    出版当時の近作を例に、具体的に解説されており、非常に勉強になりました。
    タイトル通り、「おもしろい」映画と「つまらない」映画を見分けられるようになると共に、日本映画の課題も理解できました。

  • 図書館にあり(人口三万人の市なのに三冊!)、タイトルを見て「こんなの、人に教えてもらわなくてもいいよ!」と思ったけれど、友人に勧められて読んだら、なかなか勉強になった。日本映画の弱さをここまで把握して、分析している文章にあたったのは初めて。
    特に「ジブリ映画は全部おもしろい?」「主役級の俳優が複数でている映画で当たりは少ない」など、うなずけるところも多数。
    あと、内面葛藤についてもきちんと描かれていて、その通り!と。
    読みやすいし、映画好きの人なら楽しんで読める。

  • セオリーを語られても、わかることとわからないことがあるなぁ。実感っていうのか。著者の。人となりの。それが希薄。

  • 物語作法に参考になる

  • 「おもしろい」映画と「つまらない」映画の見分け方を理論的に分析しながら解説。
    「真の主人公」=「変化のある主人公」、対立・葛藤・変化の三幕構成、
    (背景)・日常・事件・決意・苦境・助け・成長工夫・転換・試練・破滅・契機・対決・排除・満足の13フェイズ
    などなど。

    アマルフィや千と千尋の神隠しなどの例を挙げながら理論を説明しているのでわかりやすかった。
    アマルフィはまだ見ていないのでこの書を元に見てみたいと思う。
    (だいたい内容がわかってしまい、さらにはつまらないとまで言われているのではあるが)

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著者プロフィール

<ぬまた・やすひろ>
1962年生まれ。玩具と出版をつなぐデザイン会社でのキャラクター・ビジネス経験の後、作家・長谷川潤二氏に師事し、フリーランスの編集・脚本家となる。脚本家としてテレビアニメ「SDガンダムフォース」他。ゲームには数多くの匿名リライト作がある。シナリオアナリストとして、VIPO「シナリオアナリスト養成セミナー」講師などで活躍。著書に『「おもしろい」映画と「つまらない」映画の見分け方』(キネ旬総研エンタメ叢書)がある。

「2011年 『超簡単!売れるストーリー&キャラクターの作り方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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